「一般消費者のブロックチェーン利活用に向けた展望」-スクウェア・エニックス 畑 圭輔氏 基調講演-
3月4日(月)、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)加盟企業を一堂に集めたイベント「第7回 BCCC Collaborative Day」が、4年ぶりにリアル開催されました。
0x Consulting Groupも、BCCC会員の一員としてイベントに参加してきました。
基調講演では、「ブロックチェーンが社会インフラになることを見据えた 一般消費者のブロックチェーン利活用に向けた展望」をテーマに、株式会社スクウェア・エニックスのブロックチェーン・エンタテインメント事業部長 畑 圭輔さんが講演されました。
0xCでは、スクウェア・エニックス様のプロジェクト「SYMBIOGENESIS」をともに伴走させていただいておりますが、今回の内容はWeb3事業開発において重要なエッセンスであると感じ、レポートとして残しておきたいと思います。
実際に事業を進めてきて分かった、Web3事業の本質や可能性について(第1部基調講演)
ーー以下、講演内容から抜粋
そもそもNFTとは?
NFTは販売数やフロアプライス等の定量的なものが目立ちがちですが、1番大事で本質的なのは「定性的な部分」だと思います。
NFT=あくまで「規格」です。
なぜNFTに価値がつくのかというと、
不可逆
改ざんが困難
希少性
著名なIP、クリエイターの関与
見た目のユニーク性(唯一性)
などが理由です。
NFTに関する誤解として、NFTの価値は永遠ではありません。
NFTはデジタルデータではなく「デジタル資産」です。
ユーザーはNFTのユーティリティや仕組みを楽しむのと同時に、NFTの資産価値が上がることに期待していることがほとんどです。NFTはサービスがあってこそ価値がつくものであり、サービスの確立と継続が欠かせません。
なぜ、Web3事業に取り組むのか?
エンターテイメント・リーディングカンパニーとしての使命があります。
NFTそのものを発行するのは難しくありませんが、手軽であるがゆえに価値を醸成させる難易度が年々あがってきています。
2018年から、ブロックチェーン技術に関するタスクフォースのリーダーとして調査・レポートを担当していく中で、他社がブロックチェーンを活用した価値や経済圏の構築、事業の可能性にチャレンジしている姿を目の当たりにして、「スクエニもやらねば!」と思っていました。
「我々にしかできないこと」をコンセプトに、プロジェクトのコンセプト・方針を決めて現在も開発・運営を行っています。
Web3事業における「Web3らしさ」とは?
「保有」ができるようになったことで生まれる、事業貢献かなと思います。
ブロックチェーン上に刻まれた、不可逆で改ざん困難な記録により、データに対する「保有」の概念が生まれました。
ユーザーがコンテンツのオーナーシップを持つことで、「C to C」でデータの送り合いができるようになり、ユーザーがサービスに介入できるようになりました。
これにより、「自分や他人の利益等のための活動」するという変化が訪れました。
自分が保有するNFTを移譲する・交換することでのコミュニケーションや、サービス内で利用するNFTを売買することでの市場の需給バランスの変化などです。
Web3事業の本質は、「オーナーシップ」と「コミュニティ」
NFTを持っている人たち=サービスに共感している人たちであり、自分が持つNFTの価値がどれくらい上がるのか?ということに対してモチベーションが上がります。
コミュニティは「種火」なので、燃えやすく消えやすい存在です。
NFTの価値という共通の話題で盛り上がることができる一方で、好き勝手に話すこともできるため荒れ放題になりがちです。
そこで、ファシリテーターをいかに生み出すかが、サービス設計において重要になります。
プロジェクトのコンセプトに共感している人たちから選抜できることが望ましいですが、なかなか難しいところでもあります。
コンセプトに共感してファンになってもらうために、
SNSの発信
リアルイベントでのシール配布
ファンミーティング
などを行っています。
Web3事業を早期で取り組んできたからこその学びがあり、社内横断で連携することで新しい価値を生み出していきたいと思っています。
まとめ
スクエニ畑さんの講演では、まさに今、先駆者として事業を行っている方の生の声を聞くことができ、同様に事業を推進している方やこれからという方にとっても、非常にリアリティを感じる内容だったのではないかと思いました。
その後の第2部では、テーマがステーブルコインへと移り、日本円のステーブルコインJPYCを発行する、JPYC株式会社の岡部 典孝さんによって「ステーブルコインの現状、課題、展望」について講演されました。
以下はその一部です。
岡部さん:
「日本では、昨年、銀行法が改正されるなど、ステーブルコインの規制が大きく進んでおり、来年になると、ステーブルコインと銀行が結びつくようになります。
資金移動業、電子決済手段等取引業(2024年夏サービス開始予定)等の規制緩和により、外貨両替、外貨預金に近いこともできるようになります。
今後は、
・銀行預金、QR決済、電子マネー、クレジットカードの代わり
・プログラマビリティによる商流・金流リンク
・トレーサビリティによる取引の透明性
など、「お金」を利用する場面で多く使えるようになっていくでしょう。
また、金融庁は先月「合同会社型DAO」の規制緩和を出しましたが、DAOは「みんなで口座を管理」する必要があり、このようなケースではステーブルコインが活きると思います。
従来型組織では、銀行口座を管理している人・権限を持っている人だけがお金を管理していますが、DAOでは横領のリスクが非常に高まります。
ステーブルコインを用いることで不正ができない状態を作ることができます。
このように、新しいことをやるときに、ステーブルコインの活用が期待されています。
既存の決済手段に限らず、イノベーションの手段として活用していただきたいですし、我々も協力していきたいです。」
岡部さんのお話によると、ステーブルコインも2024年に大きな転換点を迎えるのではないでしょうか。
Web3と一言にいっても幅広い分野がありますが、各分野で、法整備が進んだり、参入事例が出てきたりすると、まだまだこれからではあるものの、少しずつ前に進んでいるなと感じます。
開催概要
日時:2024年3月4日(月)13:30~18:00
会場:赤坂インターシティコンファレンス
参加企業:BCCC会員企業
主催:一般社団法人ブロックチェーン推進協会
http://bccc.global/ja/
登壇者および講演内容
第1部
基調講演「Web3事業運営の理想と現実から見えてきた本質と可能性」
畑 圭輔氏(スクウェア・エニックス)
パネルディスカッション「NFTの一般市民への普及の展望」
主な登壇者
畑 圭輔氏(スクウェア・エニックス)
神本 侑季氏(N.Avenue)
第2部 「ステーブルコインの現状・課題と現状」
講演 岡部 典孝氏(JPYC)
パネルディスカッション
岡部 典孝氏(JPYC)
齊藤 達哉氏(Progmat)
今津 雄一郎氏(北國銀行)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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