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ブロックチェーンならではの「コミュニティ」の可能性とWeb3業界への挑戦

川口 美樹(かわぐちよしき)
0x Consulting Group|マーケティングディレクター
元俳優。web3業界に参入する前は、「婚活の鬼コーチ」として、恋愛・婚活メディア『LoveBook』の編集長を務め、恋愛の専門家としてTV出演もはたす。出版した書籍はAmazonでベストセラーになる。 


初めまして、0x Consulting Group の川口です。本稿に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

本稿では、web3業界で仕事をすることについて、僕の「俳優から婚活のプロを経てweb3の業界に入ってきた経歴」を元にお伝えします。

中でも、正解のないweb3市場で僕が経験してきた
web3ビジネスの難しさ
✅ 過去のキャリアを活かして成果に繋げるコツ
✅ コミュニティづくりの大切さと可能性 
についてお話ししたいと思います。

web3で活躍中の方も、そうでない方も、何かの参考になれば嬉しいです。

※本稿での「コミュニティ」は、DiscordやLINEオプチャといったユーザが参加するSNSに限定せず、もう少し広い意味の、「プロジェクトとユーザーが作るエコシステム全体」を想定した定義で使っています。


1. 「熱狂するコミュニティ」の方程式


ChatGPTより生成

いきなりですが、「熱狂するコミュニティの条件は何か?」と問われたら、あなたはどんな風に考えますか?

さまざまなコミュニティ設計と運営を経験したいま、僕は、
コミュニティの熱狂=「①ビジョンの浸透度合い ✖️ ②コアファンの数 ✖️ ③ユーザ目線の体験価値」
だと考えています。

①ビジョンを加速させる装置こそがコミュニティである

このことを初期に背中で教えてくれたのは、スクエニのBCG事業部の畑さん・玉手さん・豊田さん、そしてコインムスメの辻さんです。

テキストでは伝わりにくいため詳細まで書けませんが、敢えて言葉にするならば、勇気・行動量・クリエイティブへのこだわり、、、全てに「命を賭したクリエイターとしての熱量」をビシバシと感じます。

そして、このクリエイターの熱量が、コミュニティの熱量として伝播するシーンを幾度となく目にしました。

コミュニティは、作り手やプロジェクトのビジョンの加速装置であるべきです。人を巻き込み、仲間にして、その世界観の中に惹き入れていく役割を果たさなくてはなりません。

②誠実に対話を重ねることでファンが生まれる

「web3になぜコミュニティが重要なのか?」と聞かれれば、それは「ファンが買い圧を生み、売り圧を抑制するから」と言えるでしょう。

これを教えてくれたのはSTEPNです。STEPNの経済圏は確かに暴落しました。でも、STEPNのビジョンを信じたコアなファンは残りました。

これを支えたのが、STEPN運営の毎日AMAとも言えるほどの「コミュニティとの対話量」だったと僕は思っています。

STEPNは「ポンジノミクスの失敗例」だと捉えられがちですが、むしろ「ユーザとの信頼関係を築いた成功事例」だと思って見るべきプロダクトだと僕は思っています。

③ユーザー目線で価値を感じる体験の提供

「コミュニティを作ってエンゲージメントが高まれば、退会率とか課金額とかLTVとか上がるよね」

これはビジネスサイドの完全なエゴです。ユーザーは最初からコミュニティを求めているわけではありません。

もっと正直に書くと「行く価値のない、ただの消費者の集まりに、人はわざわざ時間を割かない」ということ。

コミュニティ設計側は一生懸命「コミュニティに参加するとこんな良いことがあるよ!」と宣伝しますが、ユーザーは正直です。
「価値があればくる。来ないなら、そこに価値を感じていないということ」。

コミュニティ設計の中で、特にユーザ目線を忘れがちなのがこの部分ではないかと思います。


2. 自分の能力とweb3の仕事をつなげるコツ


ChatGPTより生成

これらのコミュニティの成功要因は、実はこれまでの僕のキャリアでの気づきがヒントになっています。web3ともマーケティングとも関係がないキャリアを積んできたからこそ見えた本質が、今の仕事に全てつながっていると日々痛感しています。

  1. ビジョンを加速させる装置こそがコミュニティである:俳優業の経験

  2. コアファンの作り方:恋愛・婚活アドバイザーの経験

  3. ユーザー目線で価値を感じる体験の提供:SEOメディア運営の経験

①俳優経験の活かし方

僕自身、日大芸術学部出身ということもあり、最初のキャリアは俳優からスタートしたわけですが、そもそも俳優は0→1を生み出す仕事ではありません。

ご想像の通り、脚本があり、役があり、初めて俳優に仕事が来ます。その役における「1から100までの空白」を埋め、物語の世界を広げるのが役者の仕事です。

これになぞらえると、プロジェクトにおけるクリエイターやプロデューサーは、ゼロからイチを生み出す脚本家と言えます。ならばその世界観や物語を伝え、そこにお客さんを巻き込む役者としての本領を、マーケターとして発揮すればいいのではないか、とこう思ったわけです。

実際に、マーケティングには「クリエイターやプロジェクトのビジョンの翻訳」の側面があると思っています。

クリエイターが面白いと思ったことを、いかに噛み砕いてシンプルに伝えられるか?それをカスタマージャーニーというシナリオに落とし込んで、クリエイターが作った世界観に沼らせていく。

その考え方が、コミュニティをデザインする際に役に立っています。

②恋愛・婚活アドバイザー経験の活かし方

実は、僕は恋愛のインフルエンサーとして、フォロワーをゼロから1.5万人まで増やしたことがあります。そのフォロワー獲得のためにとった作戦が、「フォロワーとの会話量をどのインフルエンサーよりも多くすること」でした。

質問箱サービスにきた恋愛の質問に、1000文字の単位で回答する。その回答への質問が来たら、また1000文字くらいで説明する。どんな質問に対しても、とにかく幸せな恋愛をするための考え方を一生懸命伝えることを徹底しました。

多くの質問に回答したかったこともあり、恋愛相談もお金を取らずに進んで乗りました。その結果、正論が刺さる時と刺さらない時の塩梅、共感だけで良い時と具体的なアドバイスをすべきタイミング、色んなひとの心の機微がわかるようになっていました。

そうすると、フォロワーが増えてくるにつれ、1000人、2000人とファンがついてきてくれるようになりました。その想いが、他の恋愛インフルエンサーや、婚活業者にも伝わって、僕のアカウントを応援してくれるようになりました。

ファンとの信頼関係は丁寧に丁寧に時間をかけて培っていくもので、一朝一夕でできるものではありません。

お客さんをプロジェクトに沼らせるためのシナリオもとても重要ですが、最終的にファンが残るかどうかは運営とユーザーとの信頼関係に依存する、と僕は思っています。

この時の経験をもとに、web3マーケティングにおいて「信頼・信用」といってKPIには現れにくい、定性的な要素を重要視しています。

③SEOメディア運営経験の活かし方

「とにかくユーザー目線で考える」

この感覚は、メディア事業時代の師匠に口を酸っぱくしていわれていました。

ユーザーは、夢を見させてくれる、元気をくれる、説得力がある、信用できる、なんかすごそう、単純に面白い、、、などいろんな理由で見るメディアを選びます。

どれだけ真剣に書いた記事でも基本は流し読みです。タイトルと画像をみて、一瞬で読むかどうかを判断します。こちらの意図通りに遷移してくれることはほぼありません。

メディア運営において、書き手の主張が正しいか正しくないか、コンテンツのクオリティが高いか低いはあまり重要ではありません。ユーザーにとって価値があると思うかどうかが全てです。

DiscordやXのタイムラインを設計する際にも、ユーザー目線に立って、本当に使いやすいのか?毎日でも見たくなるなるか?など自問自答しながらPDCAを回しています。


3. 「web3ビジネスの難易度高すぎ問題」の対処法

ChatGPTより生成

トークンエコノミクス難解すぎ問題

もともと婚活市場にいた僕ですが、web3業界にコミットする引き金になったのが、STEPNのレポート発行でした。

弊社の細金や新谷が研究していたSTEPN経済圏分析を聞き、僕がテキストに落とす、といった形で2022年の3月頃から毎週レポートを出していました。

このレポートを書き始めたときは、web3の知識もほとんどなかったですし、トークンエコノミクスも全然わかっていませんでした。

しかもSTEPNの運営(Find Satoshi Lab)が毎週猛烈なスピードでPDCAを回してくるので、トークン価格が動く動く・・・

冗談ではなく、毎週、死ぬ気でレポート書いてました。とにかく「人よりも文章を書いた経験が多くある」ことだけを命綱にものづくりをしていました。

結果として、5/25発行のレポートはSTEPNバブルが弾ける直前に書いたレポートで、60万インプレッション、2万ダウンロードくらいきました。web3初バズりです。web3市場の爆発力を感じた瞬間でした。

デジタルマーケできないんかい!問題

ゲームのマーケティングはほぼ未経験でしたが、マーケティングディレクターとして活動するために、アプリマーケの書籍を読み漁りました。

SEOやリスティング広告などの知識もあったことで、「広告を打って、LPに飛んでもらって、予約してもらい、遊んでもらったら、課金してさらに遊ぶ。」という流れは違和感なく受け入れられました。

ところが蓋を開けてみると、広告は仮想通貨やNFTへの規制で出せない、アトリビューションは追えない、アプリストアが使えない…

おい、デジマできないんかい!!!」と思わずツッコミをいれました。

自分の持っているマーケティング知識がほとんど使えない・・・すでにこの業界でマーケティングに取り組んでいる皆さんは同じ葛藤を持たれた経験をされていると思いますが、お先真っ暗になった瞬間でもありました。

インプットすべき知識量多すぎ問題

そして、とにかくweb3マーケは、範囲が広い。

トークノミクス、PFP、DeFi、CEX上場、エアドロ、レイヤー2、MPCウォレット、zero知識証明、DID、、、、

さらに、web3業界はインターネットの7倍(ドッグイヤーのドッグイヤー)で進むという猛烈なスピード感。

「もうやめて!とっくに川口のライフはゼロよ!」

「今自分の中にあるモノで戦うしかない」と決めた

ChatGPTより生成

web3は、ビジネスの総合格闘技です。
あらゆる役務が必要になることから、web3にジョインしたての頃は、自分の能力の活かしどころに悩む人も多いのではないでしょうか。

僕も「自分にできないこと」に目を向けて、メンタルを削られていた時期がありました。でも、web3は全てのビジネスが新規事業。事例なし、ノウハウなし、テンプレートなし、これが当たり前。

ならば、そこを逆手にとって、「自分の中にあるもの」で勝負してテンプレートを作ってしまえ!と思ったのです。

そこで生まれたのが冒頭の「熱狂するコミュニティの条件」です。自分のキャリアから無理やりにでもコミュニティマーケを紐解こうと思ったのです。


4. web3コミュニティビルディングの可能性


ChatGPTでもまだ適切な単語が扱えない、それがweb3…

では、なぜそうまでして挑戦をするのか?

それは、やっぱり、日本への危機感が強く、同時にトークンエコノミクスに期待しているからです。

先進国から貧困国になってしまった日本

残念ながら、日本はもう豊かな国ではありません。税金は高く、国民の多くが貧しく、そして悪い意味でいろんなものが安い。

日本のコンテンツは確かに素晴らしいです。アニメ・ゲーム・漫画、世界中に大ファンがいる。これは誰もが思う日本の誇りでしょう。

でもそのコンテンツで儲かってるのは、ネットフリックスやアマゾンだったりします。優秀な労働力も、海外資本の会社にどんどん引き抜かれているといいます。(参考:NHKクローズアップ現代『バーゲン・ジャパン』

トークンエコノミクス ✖️ コミュニティ = 経済格差の是正へ

web3のいいところは、海外の認知をいきなり取りに行けるところ。いまなら、ティアの高い取引所に上場できれば、一気に注目を集めることができます。

そして、その取引高や流動性は、トークンホルダーの資産に恩恵をもたらします。

STEPNが証明してくれたように、STEPNが好きで好きで、価格が下がっても、毎日プレイしていた人たちは、ある日いきなり100万円分のGMTがエアドロップされる。

これを日本のあらゆるコンテンツでできれば、クリエイターも、それを応援するファンも、そして、関わる人々が自分の好きを全うできるだけではなく、もっと豊かになれるはず。

日本人の「推し」の文化と、web3 ✖️ コミュニティの相性は抜群です。自分の「推し」に貢献すればするほど、自分の好きを活かせば活かすほど、貢献への対価として報酬も得られるだなんて、最高じゃないかと本気で思っています。

僕は一人の親として、自分の子どもに、自分らしい人生を生きる人生を送ってほしい。そして、そんな人が溢れる日本の明るい未来を残してあげたい。そう思うからこそ、生き残りをかけたこの勝負に日本が勝つためにも、この業界での挑戦したい、心からそう思っています。


5. まとめ


以上、僕の経験から、

web3ビジネスの難しさ
✅ 過去のキャリアを活かして成果に繋げるコツ
✅ コミュニティづくりの大切さと可能性 

についてお伝えしました。

web3はまだ正解のない業界だからこそ、自分自身の挑戦が世界の成功モデルになることもあります。ハードですが、その分、エキサイティングであることは間違いありません。

そして何よりも、いまの偏った資本主義から大きなパラダイムシフトを引き起こすポテンシャルを秘めていると思います。

web3はコンテンツ力の強い日本にとって、経済復興するラストチャンスじゃなかろうかと思うのです。web3で戦っている日本人の多くは、多かれ少なかれ、同じような想いを抱いていると思います。

僕はその中で、トークンエコノミクスとコミュニティの掛け算によって、ひとびとがより自分のやりたいことにフォーカスして生きていける世界を作っていきたいと思っています。

0x Consulting Group は、そんな仲間を、こころから、募集しています。



最後までお読みいただきありがとうございました。
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