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叫び、歌え。12番目の選手よ

最初に明言しておくと、これはただの惚気で、下に貼っているリンクの記事の返し歌だ。

とりあえず先に下の記事を読んでください。

読んでもらったテイで書くから僕のことについては省略するが、知っての通り僕の彼女は松本山雅FCのすごく熱心なサポーターだ。だが、僕はそのことを知らなかった。

一緒にやっている位置情報ゲームのSLをモチーフにしたキャラクターを推していて、彼女を主体とした創作をする女性、という印象しかなかった。つまりTwitterで見た二次創作がファーストコンタクトだ。

彼女は僕の書いた話を読んでコメントをくれた。僕もそれ以前からTwitterをフォローはしていたが、絵が上手い人だな、くらいの印象しかなかった。しかし、送られてきたコメントを見て驚いた。何の気なしに書いた文章をここまで熱く語ってくれるなんて想像していなかった。残念ながら当時の僕のアカウントが凍結されてしまったので、拾うことはできなかったが。

正直「有川浩みたい」と言われた時は、人気作家と並べてもらえて少し嬉しかった反面、パクッてるとでも言いたいのか、と釈然としなかったりしたが、僕の文章をすごく好意的に見てくれていた。それがとても嬉しくて、調子に乗って何本か追加で物語を書き、その物語に合わせた絵まで描いてもらった。次第に触発されて、僕はイラストを描くようにもなった。

現在では飛行機に関連する物語を書くこともほぼないので、彼女はひたすら同じ話を読み返しているのだとは思うが、そのうちまた新しい物語を書こうと考えていたりはするので楽しみにしててもらいたいものである。

彼女は熱いオタクだ。感情表現が豊かで、胸焼けを起こしそうなほど暗く重々しいシリアスなものから、明るく軽いパッションが弾けるようなものまで、なんでも創作に表現することができる人だ。彼女の創作には、そこに彼女の込めた感情が生き生きと伝わってくる。初めて彼女が描いたイラストを見た時、「すごい」と思った。

ただ純粋にすごい。当時は創作なんてほとんどしたことがなかったので、上手い表現ができなかった。だが、すごいとしか言えなかった。同じゲームをしていた友人に「この人の描いてる絵がすげえんだ」と見せに行って、Twitterで名のある人であることを知った。

そこでフォローをしたのが彼女を知ったきっかけで、その後僕自身もいろんな人に教えてもらいながら少しずつ創作を始めた。その時に彼女から初めてのコンタクトがあった。

東京で開催されたイベントで初めて出会い、簡単に名乗っただけだったが、やたらテンション高く返事が返ってきた記憶がある。今までちょこちょこと書いていた物語のあそこが良かった、ここが凄かったと語ってくれた。

その後も、彼女は覚えていないようだが、僕が就活の時はわざわざご飯に呼んだ上で応援してくれて、面接のコツなどを教えてくれた。

今思うと、当時は彼女が年上だからと甘えて、自分のことばかり話していた。彼女のことはほとんど知らないままだった。すごく頑張り屋な感情豊かな女性、というくらいしか知らないままだった。交際がスタートするまでは。

就職してからしばらくは、たまにTwitterへアップされるイラストをリツイートするだけだったが、どうやら何かしらあったな、ということだけはわかった。ただ、よく知らずに首を突っ込むのもよくないかと思って、彼女が開催する筋トレキャスやスペースに参加して、よく煽りあっていた。なんなら付き合うようになる前日までそんなことをしていたような気がする。

彼女が熱いサッカーファンだということを知ったのは、なんとここ最近の話。

僕の彼女は強い意志を持っている。松本山雅チャントの一節に

「どんな時でも俺たちはここにいる」

というフレーズがある。彼女は松本山雅のホーム、サンプロアルウィンで松本山雅が試合する時、必ずアルウィンに行く。それがどんな天気でも、どれほど体調が悪くて、次の日外せない用事があったとしても、松本にいる限り必ずゴール裏へと車を走らせる。

「どれだけ体調が悪くても、行って応援して疲れ果てて次の日何もできないほど寝込んでしまったとしても、行かなかった時の方がしんどい」

と言うのが彼女の弁で、本当に彼女はどんな時でもそこにいる。僕には考えられない。

その狂ったような熱意はどこから来るんだ、と思って初めてついて行った。そこで、周囲のサポーターに埋もれながらも、150cmしかない小さな身体を大きく動かし、身を捩るように応援する姿がとても印象的だった。

どれほど体調が悪くても、這ってでも応援のためにアルウィンへ向かおうとする姿に、その熱意に惹かれた。僕個人としては体調悪いなら休んでいて欲しいのだが、応援こそ彼女の生き甲斐なのだとその時に気づいた。それほど熱い応援だった。

松本山雅FCのプレー自体は、素人目に見ても、上手いとは言えないことが多いだろう。失礼とは思うが、試合単体を見るだけならW杯やプレミアリーグ、J1トップクラスの試合を観ている方が面白い。しかし、「サポーターは12番目の選手」とはよく言ったもので、松本山雅サポーターの応援は、どこよりも熱く、面白い。アウェイであってもホームを飲み込むような緑の大波が、視界いっぱいに広がる。

これがないと生きていけないと彼女は言った。だから最初のうちは結婚したら大阪で、という話もしていたが、僕が松本に行くことにした。ちょうど転職を考えていた頃だったのでちょうどいいやと思ったのもある。

彼女もまさしく、松本山雅の12番目の選手だ。どんなに苦しい時でも彼女はゴール裏にいて、松本山雅への愛を込めて叫び、歌っている。

これを無理に辞めさせてまで大阪に来いとは言いたくなかった。

だから僕が松本に引っ越すことにした。7月に花を送り、結婚して欲しいと頼んだ。

本当にいいのかと何度も確認されたが、もう内定も貰ったからと無理を言って、もう2022年も終わりという頃に彼女の住むマンションに寄させてもらった。

そして年が明けた1月23日、めでたく籍を入れることができた。

松本で出会う彼女をよく知る人たちから、お祝いの言葉をたくさんいただいた。そしてみんなから「彼女を幸せにしてやって欲しい」と言われた。

彼女が本当に人との縁を大切にしていることがよくわかった。「彼女の旦那になる人だから」といってみんなが僕を話の輪の中に入れてくれる。それだけ彼女は信頼されているのだと知った。人柄が良く、好奇心が旺盛で何にでも興味を持つ彼女は、どんな人とでも仲良くなれる才能の持ち主だ。しかも経験豊富で多趣味で多才なのでできることも多く、話の幅もめちゃくちゃ広い。

まさか飛行機はおろかバイクにまで興味を持ってくれるなんて思っていなかった。

僕の乗り物趣味に興味を示して、彼女から僕の趣味に合わせたプランを提案してくれたり、後押ししてくれたりする。これは非常に嬉しいもので、そんなことを言われて結婚を考えない男などいないだろうとさえ思う。

ただ、バイクでタンデムして日本一周は流石にちょっといくら限界ツーリングオタクの僕でもやりたくはない。できればそれは1人でやりたいし、お土産を随時送るから無事を祈って待っていてほしい。もしくは、二輪免許を取ってもらって、一緒に走りたい。と思うのは間違っているだろうか。

今までは彼女についてサッカーを見にいくだけだったが、彼女の熱に当てられてか、僕もサッカーに興味を持ち始めた。漫画を読みながら、小学生の頃に習ったルールを少しずつ覚え直し始めている。フォーメーションなどはまだよくわからないが、このオフシーズンの間に少しずつ覚えていきたい。

3月には僕の地元、奈良で松本山雅の2023年度オープンマッチが開催される。この試合は2人で観に行くつもりだ。奈良のアウェイを緑に染めよう。

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