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絵を描いて好きなものをまとめた創作キャラを作る話

「絵を描こう」

と思ったきっかけはなんだったか。元々乗り物オタクだったので、小さい時から電車や車の絵を描いていた。物心ついてから多分初めて描いたのは、写真を見て一目惚れした京成スカイライナーだったと思う。白い車体に赤と青のラインがよく映えていた。あとリトラクタブルライト。あれは男の子ゴコロを大変にくすぐるものだった。小さいながらに「絵がうまい、絵がうまい」と褒められまくったので、浮かれてたくさん描いていた。

旧京成スカイライナー。新幹線みたいだしリトラクタブルライトだし、かっこよくて好きだった。(Wikipediaより引用)

スカイライナーから始まり、流線型の特急が好きでひたすら絵に描いていた記憶がある。地元の関西には近鉄特急のアーバンライナーや伊勢志摩ライナーのほか、今でも大好きなサンダーバードなど、流線形で速そうな見た目の特急を見るために、祖父を連れ回しては、京都駅などに1日中入り浸っていた。

車も好きでちょこちょこと描いていた。ただ、種類がよくわからないから、赤い車はスポーツカーだから速い。みたいな、偏見しかないイメージで、ひたすら赤い車を描いていた。気に入っていたのは、ホンダのNSXだった気がする。これもリトラクタブルライトがついていた。

小学生になってから、あまり絵を描かなくなった。ゲーム機を手に入れて、弟や友達とゲームをすることが増えたからだ。ひたすらマリオカートやポケモンバトルに勤しんでいた。

中学生の頃には、めっきり絵を描かなくなり、高校生の頃には、ついに美術の授業で赤点を取ってしまうほどになってしまった。追試もないし、成績に影響しないかったが、知識云々はともかく、純粋に絵が下手だった。幼少期のお絵描きレベルから成長していなかったと言ってもいい。やる気がなかったのも確かだ。

しかし、大学生の頃に転機が訪れた。

先輩からの勧めで、ソシャゲを始めた。ここで初めて推しキャラという概念が生まれた。『ステーションメモリーズ!』という、スマホの位置情報を利用して、鉄道の駅を回るゲームに出てくるキャラクターの、「青砥そら」という名前の女の子だった。

青砥そら。初めての推しになった。今でもこの子以上に推せるキャラはいない

当時、このゲームを始めてからすでに、1年ほど経っていたが、特に課金もすることなく、のんびりダラダラとプレイしていた。しかし、この子が来てから、のめり込むようになった。生まれて初めての課金も、この子が来たことによるものだった。

しかも、面白いことにこの子は、非公式ではあるが、現行の京成スカイライナーをモデルに生まれた、とされているキャラクターだった。なんという因縁か。普段そこまでゲームに本気にならないのだが、この子に関する1番を手に入れたかった。

現京成スカイライナー。旧スカイライナーからデザインが一新された。青砥そらとどことなくデザインが似ている気がする。

当時、まだ登場したてということもあって、あまりファンアートは描かれていなかった。いや、1ヶ月も経つ頃には新しいキャラクターが登場し、しかもその子が登場から数年経っても、未だに熱が冷めないほどの人気キャラだったから、すぐに話題を掻っ攫われた。正直あまり人気とは言えなかったと思う。

「この子をもっと知ってもらいたい、いろんな人が描くこの子を見たい!」

いつしかそう思うようになった。しかし、無名のオタクがいくら叫んだところで、誰も見向きもしない。

だったら、自分で描けばいいじゃないか。うまくできれば最強の自給自足ができる。

ということで、描いてみた。

初めてのファンアート。なめとんのか?

なめとんのか?と言われても、何も言えない出来栄えの絵しか描けなかった。当たり前だ。最後に絵を描いてから、最低でも3年は経っていたし、美術の成績も10段階で1を取るくらいだったのだから。

しかし、なんのおふざけもなく本気で描いていた。これが当時の僕に出せる全力だった。

あまりにも描けなかったのが悔しくて、それから毎日1枚、彼女のファンアートを描くようになった。絵を描くようになって、Twitterに投稿するようになると、創作をするフォロワーも増え、絵の描き方を教えてもらうことができた。日に日に絵のレベルは上達していた。

毎日ファンアートを描くことで、彼女と共に僕の名前も知られるようになった。どこかで「そら狂いのスノウ(意訳)」と呼ばれ、ゲームの創作同人イベントでも、イラスト本を出したりはしなかったが、界隈のそうそうたる絵師と共に並べられた。

初めてのファンアートから大体1ヶ月。下手なりにポーズを作れるようになった

自分一人の力で彼女の知名度が上がったと自惚れているわけではないが、お陰で最近Twitterで流行りの、「#○日チャレンジ」のようなものの走りになったのでは。と自負している。あのタグは全く別の形で生まれたものだろうけど。

3ヶ月近く経つ頃には割と様になってきていた。デフォルメを描けるようになり、この辺りが今の絵に繋がる転換点になった気がする

仕事の影響もあって、結局1100日分ほど描いて、毎日描くのはやめてしまったが、かなり成長したと思っている。ノートの切れ端に描いていた絵が、スケッチブックになり、気がつけば、iPadでデジタル絵を描けるようになった。まだスケッチブックは手放せないけど。

一番最近描いたファンアート。だいぶ成長したはずだ。

いつのまにか出来上がってしまった独特な絵柄はともかくとして、それなりに描けるようになったんじゃなかろうか。毎日描けば描けなくても描けるようになる。というのを図らずも立証してしまった。なので個人的には、もう「下手だからやらない」みたいな、言い訳ができなくなってしまった。

推しをひたすら描き続けて5年ほど経った頃、仕事にライフサイクルが崩されて、毎日描くのをやめてしまい、時たまなんとなく惰性で絵を描くようになってしまっていた。急にこのままではダメだ思った。

しかし、推しの姿をうまく思い通りに描けない。

これは重症なのでは?

と思い、仲の良いフォロワー数人に相談した。その結果、オリジナルのキャラクターを創作してみよう。という話になった。

ということでまずはテーマを「自分の好きなもの」として、描いてみることになった。

僕の好きなものはなんだ?ということで3つほど挙げてみた。

乗り物
歴史
北陸地方

まあこの辺だろう。

乗り物は特に好きなのは鉄道・バイク・飛行機だが、正直船も車も好きだし、全部好きだ。

歴史は高校・大学時代に専攻科目だったというのもあるだろう。しかし、ぶっちゃけ地理の方が得意な気もする。最近は特に、年表よりも地図を見ていた方が楽しい。社会科が好きなんだ。

北陸地方は、鉄軌王国富山県、SSTRで有名なツーリングの聖地石川県、恐竜と歴史の国福井県と、僕の好きなもの全てを取り揃えていたからだ。あと何より飯がうまくて海と山が綺麗で自然が豊かというところだろう。北陸の山海珍味、ぜひ味わってもらいたい。めちゃくちゃうまいので。特に富山県。

この中で一番、キャラクターとして創作しやすい要素はどれだろう。おそらく一番好きなのはバイクだ。間違いない。自分の愛車を元に創作するのは楽しいだろう。しかし、僕の愛車は万能であるため、要素を盛り込むのが結構難しい。もう少し慣れてからにしたい。

愛車のHONDA 400X。カスタムのしがいもあるし、オフロードもオンロードも似合う最強のツーリングバイク(個人調べ)

じゃあどうしようか。鉄道に関連するゲームをプレイしていることもあり、オリジナル創作をしているフォロワーの中で、鉄道擬人化は人気ジャンルだった。鉄道車両はデザインもおしゃれだし、小さい頃から慣れ親しんでいるので、なんとなく想像がつきやすい。

ということで、まずは鉄道モチーフのキャラクターを創作することにした。一緒に考えてくれたフォロワーも、同じように鉄道をモチーフにするらしかった。

じゃあどの鉄道をモチーフにする?僕の好きな鉄道は速くてかっこいい特急と、地方を走る新形のローカル線。この二つの条件では、流石に候補が多すぎる。そこで、もう一つの好きなもの、北陸の要素を入れることにした。福井・石川・富山・新潟の4県を走る鉄道をモチーフにしよう。

鉄道擬人化ではなくモチーフであることが個人的に非常に大切なのだ。擬人化にすると縛りができて大変なので、今後、あるのかないのかわからない展開を踏まえ、モチーフに留めたいと思う。服装とかだけ。鉄道モチーフの服にする的な。

北陸の鉄道といえば、
北陸新幹線
北陸本線(IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道・えちごトキめき鉄道)
富山地方鉄道
北陸鉄道
福井鉄道・えちぜん鉄道
あたりが主流だろう。

北陸本線であれば、特急はサンダーバードやしらさぎが走り、JRで最速と聞く。北陸新幹線開業によって3セク化した北陸本線は、国鉄時代からの旧型車両が減り、新型の車両、521系が走っている。条件がピッタリと当てはまるのだ。

北陸本線とあいの風とやま鉄道の車両。スタイリッシュなデザインをしている。

ということで北陸本線、その中からあいの風とやま鉄道をモチーフにキャラクターを創作した。その末にできたのがこの子だった。

創作キャラ第1号、あいのふう。安直な名前とシンプルなデザインを意識した。

この子が思ってた3倍は人気になった。ものは試し程度の、10秒ほどで考えた簡単なデザインだったのに、これがウケた。めちゃくちゃウケた。

これを受けて、調子に乗ってさらにIRいしかわ鉄道、えちごトキめき鉄道をモチーフにしたキャラクターも創作した。

あいのふうがあまりにも何も考えてなかったので、逆に性癖を盛り込みまくった第2号、のれんあい。盛りすぎたと反省しているが、後悔はしていない。
急遽考えるのをやめた歴史要素を入れてみたくて、髪型に美豆良を取り入れた第3号、ときめすい。苦手だった帽子にもチャレンジした。

楽しいぞ......?キャラを作るの、思ってたより楽しいぞ......?

多分既存のキャラクターを二次創作で描くよりも、一次創作で作ったキャラクターを描いていた方が圧倒的に楽しい。多分、既存のものを改修するより一から作り上げた方が楽なのと同じなんだと思う。どっかの銀行のシステムの話で学んだ。

何よりも、自分で創作した大変かわいい「うちの子」たちなので、どんなことをさせてもいい。というのが大きかった。公序良俗とそのキャラに反しない限りは。着せたい服を着せることだってできるのだ。服のデザインさえ考えてしまえば、「僕の考えたうちの子に似合う最強にカワイイ服」を着せてあげられるのだ。

長野電鉄の特急ゆけむりからイメージした服を着せたイラスト。鉄道車両を服のデザインにするのも面白いと思う

とやって描き続けると、その絵を見て誰かが描いてくれるのだ。その絵を見てまた誰かが描いてくれる。この連鎖、創作した者として大変に嬉しい。めっちゃくちゃに嬉しい。

「うちの子」を描いてもらえるというのは、とても嬉しいのだ。子供を可愛がってもらえる親の気持ちになる。ちなみにこの日付は僕の誕生日ではない

みんなが描いてくれると、また描きたくなる。描くとまた描いてもらえる。これが連鎖して、内輪でワイワイ盛り上がっていただけのうちの子は、どんどん認知度を上げ、ちょっと知られた存在になった。

これで調子に乗った僕は、舞い上がって絵を描き始めた理由だった、青砥そらのファンアートを描く機会がすごい勢いで減り、うちの子や他所様の創作キャラクター、よその子を描くことが格段に増えた。

よその子として最近描かせてもらったキャラクター。特急サンダーバードの擬人化らしく、スタイリッシュでとても良い

正直、青砥そらのファンアート供給は、今でも他のキャラに比べると少ないと思う。他力本願だが、もっともっと供給してもらいたい。自己満足とはいえ、1100日分もほぼ毎日描いたのだから、そのくらいのわがままは言わせてくれ。

しかし、自分で描いて自給自足しようにも、今は描く気力がうちの子に持っていかれてしまっているのが現状だ。そのうちの子すら最近描く機会と気力が減っている。

なんとかこう、良い具合に描く機会が降ってこないものだろうか。とぼんやり考えることも多くなってしまった。なのでこうして文章にしているのだが、これは多分失敗だ。

いつかまた描く気力がムクムクと湧き上がる時が来るのを、今は気長に待とうと思う。

だが、愛車の擬人化を考えた時は正直燃えたのでこれだけ最後に見てもらいたい。あの時の燃える気持ちを頑張って思い出してくれ。僕。

400Xの走行距離が20000kmに達し、その時にタイヤとチェーン、スプロケを交換した時の絵。最近で1番楽しく描けた

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