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「みんなを、スタァライトしちゃいます!」~舞台「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The Live-#1 revival」感想~

初投稿から随分と間が開きましたが、2件目のnote投稿となります。今回はタイトルの通り、アイカツに関してではなくレヴュースタァライトという作品についてになります。

私がこの「レヴュースタァライト」を知ったのは去年夏で、当時Twitter(現X)のタイムラインでこのアニメが大変話題になっており、自分も見てみることにしたのです。その独特ながらも素晴らしいストーリー展開、登場キャラクター、音楽に魅了され、「一度見ると忘れられない」作品となりました。
これはアニメだけでなく「舞台」という形でも展開していることは前々から知っていましたが、その舞台が今回無料配信されるということを知り、ついにこの舞台を見ることができたのです。
これから綴っていくのは、スタァライトという作品の大まかなあらすじと、「舞台」のスタァライトを見ての感想になります。

この作品の主人公は、歴史ある舞台俳優養成学校「聖翔音楽学園」の俳優育成科に在籍する愛城華恋・露崎まひる・大場なな・石動双葉・花柳香子・天堂真矢・西條クロディーヌ・星見純那、それに加えて転入生の神楽ひかりの9人の「舞台少女」です。中でも華恋・ひかりの2人は幼なじみ、尚且つ幼い頃に舞台「スタァライト」を見たことがきっかけで「二人で一緒にスタァになる」という運命を交換した、特別な関係です。
華恋たち8人の舞台少女は聖翔の仲間でありライバルとして、共に「舞台人」となるため日々進化します。そんな彼女たちが、ある日突然開催を宣告されたたった一人だけの「トップスタァ」を目指して「キリン」が主催し学園の地下で行われる「オーディション」に身を投じる───。これが大まかな作品のあらすじです。
この大まかなあらすじはアニメを見ていたからすんなり受け入れられましたが、衝撃を受けたのはキャラクターの「根幹」の部分は壊されていないにせよ舞台少女の中にはアニメとキャラクター性が大きく異なるものがいたことです。それを特に感じたのが華恋・ひかり・真矢・クロディーヌの4人でした。華恋は舞台少女としてそれはどうなの?と思わされる姿をアニメ以上に大いに晒していたし、ひかりはアニメでは絶対に口にしないような言葉を口にしていました。そして真矢・クロディーヌの2人はアニメよりも性格の高慢さが増していたように感じました。しかしこの舞台に私が感動してこれを書くに至ったのはその違いのおかげもあります。
そしてこの作品の最大のポイントと言ってよい「オーディション」。このオーディションはキリンが言う通り「トップスタァを目指して、歌って踊って奪い合う」ものです。少女たちがこれに身を投じるのはたったひとつしかない「トップスタァ」の座を欲するから。ここもアニメとの違いを感じるところでしたが、舞台版でのレヴューは「奪い合う」ことが強調されたものであることを感じました。この「奪い合う」ことはこの舞台を読み解くためのキーワードであるとも感じます。

ここからメインのあらすじに入ります。
激昂、絶望、嫉妬、傲慢、迷宮。舞台少女たちはそれぞれのレヴューでそれぞれの相手と戦い、キラめきを奪い合うことになります。
しかし、オーディションの場に華恋の姿はありませんでした。舞台少女にあるまじき姿を晒していた彼女はオーディションに参加する資格がないと看做されていたのです。にも関わらず、華恋はオーディションの場に姿を現してしまうのです。ひかりと交換した運命のせいでしょうか。
そして華恋はなんとステージに上がり、ひかりと交戦していた純那を打ち破るに至ったのです。
その後も敗北者は次々に増えていき、残ったのはひかりと真矢、そして華恋とななの4人となります。そしてひかりと真矢は激突寸前となるのですが、その激突を阻止したのが他ならぬ華恋だったのです。「キラめきは奪い合うものなんかじゃない!」の言葉とともに。
このシーンは、華恋が言葉通りに「キラめきは奪い合うものではない」とはっきり口に出したシーンですが、このシーンを見た時私は感じました。舞台とアニメは全く違うのだと。
なぜなら、アニメでの華恋は1話で「舞台少女」として目覚めて以降「ひかりと共に舞台に立つ」という意思のもとにレヴューに全力であった、すなわち他の舞台少女のキラめきを奪うことに躊躇しない人間であったからです。その華恋が先ほど太文字にしたセリフのような言葉を口にするのですから。
続いて華恋は(この時華恋はななとの戦いの最中でした)、「あなたの相手は大場さんでしょう?」と突っかかる真矢も押しのけて思いの丈を8人に伝えます。以下が華恋・なな・ひかり・真矢のやりとりです。

華恋「私たちが夢見た舞台って…こんなことなの?傷つけ合うことなの?
たった一人がキラめくこと、それが本当に大事なのかな?
私は、9人で輝きたいよ!
ばななだって本当はそう思ってる。みんなだって!」
ひかり「いいえ!キラめきは奪い合ってこそ、トップスタァになれる!」
華恋「そんなの寂しいよ!私の知ってるひかりちゃんは、自分のために人を傷つける人なんかじゃないよ!」
(ひかりに攻撃しようとした真矢をななが止めて)
真矢「なぜ邪魔をするの!」
なな「私は、みんなと舞台を創りたいの!華恋ちゃんの言う通り、みんなと輝きたい!」

繰り返しますが、これはアニメの「空気」では絶対にありえないシーンである上に、さらに言えば素人の私ですらそれは少し展開に無理がないか?と思う節すらあるシーンです。しかし何故でしょうか、私はここに至るまでの一連のシーンを見て「エモい」と素直に思いました。それは何故でしょうか?
答えは一つ、私が華恋たち9人にスタァライトされたからです。ただそれだけ。理屈では説明できない何かが画面の向こうで起きたのです。

しかし、オーディションをキリンと共に仕切る聖翔の教師である走駝先生は「私の仕切る舞台を汚した」として、華恋のキラめきを奪うように指示した上で、9人に舞台少女として「喝采を浴びる」という試練を与えます。それは9人の前に現れたコロスの存在…。
初めはコロス達に立ち向かうことを躊躇っていたひかりも、走駝先生から「あなたは追いつけないの?前を走るみんなを見ているだけ?」と諭されたことと華恋にかけられた言葉を思い出して──。そして、ひかりへ暗い感情を向けていた自分を受け入れる決意を語ったまひるを皮切りにみんながひかりを自分たちの仲間として受け入れて──。
「今行くから!」 ひかりが正真正銘「仲間」になった瞬間、Star Divineという名曲が流れ始めたのです!
9人が正しく、「9人」になった瞬間とも言えるでしょう。

ここで一つ、そのセリフが出たのはひかりが「9人」の中に入る前のシーンなのですが、どうしても引用しておきたい真矢のセリフがあるので引用します。
「仲間という光が当たらぬ者がいるからこそ、私の輝きはよりキラめく!」
皆さんはこの言葉をどのように解釈しますか?
私の解釈は、「私が輝けるのは、その影に光に当たることができなかった仲間がいるから。だから輝きたいと思うのなら輝けなかった人の想いも背負う覚悟が必要なのだ」というものです。
仲間を蹴落とさねば輝けない。そういう世界の中に身を置いている舞台少女に必要な覚悟と、今この場で切磋琢磨する仲間たちへの深い愛情ゆえに真矢はこの言葉を口にすることができたのだと私は解釈しています。アニメでも好きだった天堂真矢という人物がこの言葉でさらに好きになりました。

そしてコロス達を一掃した華恋たち「9人」は、観客と先生から暖かい拍手を浴びます。華恋はその音を聞いて、「私たち9人への初めての拍手、私はこの音が聞きたかったんだ、この景色が見たかったんだ」ということに気づきます。
その様子を見届けた走駝先生は無言で立ち去っていきましたが、華恋はそれを見て「少しだけ認めて貰えたのかな?私たち」と言います。

全てが終わった後、9人は「潰し合うことではなく切磋琢磨するという気持ちがある限り、これからもきっといい舞台を創っていけるはずだ」という先生からのメッセージを受け取ります。
そんな中でまひるは次のような言葉をこぼします。
「どこまでがお芝居で、どこまでが本当の自分なのか見えなかったな。」と。
その言葉に、ひかりはこう答えます。
「生き様こそが演じる心に繋がるのは確かだと、私は思ってる。」と。

私はこの二人の言葉にこの作品の本質を垣間見た気がしました。
私は以前Twitter検索で遊んでいたところ、「レヴューは舞台少女としてどんな生き方をしているのかがそのまま出ているもので、虚構のようでいて間違いなく現実のものだ」という趣旨のツイートを目にしたことがあります。その言葉の深みを大いに感じました。レヴューとは、9人の少女たちの「生き様」を映すものなのだということです。その生き様が舞台少女としての姿を造り出す。9人はレヴューを通して、自分たちが舞台少女である意味を再確認できたと言えるでしょう。

自分たちが「仲間」であることを確認した華恋たち9人は、今日も明日もそのまた明日も、舞台少女として生きていくのです。

ミュージカルパートの後はキャストの皆さんによるライブパートですが、この部分の感想は端折ります。しかし、「舞台少女心得」の歌詞にある「私たちは舞台少女」「生まれながら舞台少女」「未完成の舞台少女」という歌詞があまりにもミュージカルパートを見た後の自分に刺さり過ぎたことだけはお伝えしておきます。本当にあの歌詞はやばいよ。

note2件目の投稿がアイカツでも特撮でもラブライブでもなくレヴュースタァライトになるということはこの#1を見るまで想像もしませんでした。しかし、それほどまでにこのレヴュースタァライトは素晴らしい作品なのです。24日の23:59まで#1~3の舞台、そして各種サブスクでアニメ版のスタァライトも配信されているはずです(24日23:59までアニメの一挙放送も配信中です)。だからこの記事を読んでくれた人、ぜひともこのスタァライトに触れてみてください。私のようにスタァライトされること請け合いです。

最後になりましたが、この記事がこの世の中にレヴュースタァライトという作品が少しでも広がっていくための助けになることを願ってやみません。

皆様、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。



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