「地雷と未来と掃除ロボット~デスゲームを添えて」第3話


「私とゲームしません?負けた方は一生相手の奴隷っていう♡」
ゲーム?ここでいうゲームとは大抵ろくでもないだろう。だが受けるしかないというのもそれも事実、ここは相手の提案に乗ってしまおう。
「受けて立とう、最も私が負けるのはありえないことだがな!」
「どこから来るんです?その自信…まあいいとして、そうですねじゃあここはシンプルにお約束のポーカーで勝負するのはどうでしょう?」
「いいだろう…私は勝負事にはめっぽう強いからな、そのポーカー?というのにもおそらく負けることはないだろう、でそのポーカーというのは素手での殴り合いのことを指すのか?」
「殴り合いのどこがゲームなんですか!え…まさかポーカーのルールを知らないなんてことありますか?どんな未来でもトランプはあったっていうのに…まさかトランプの存在しない未来出身なんですか?」
「いや、そのトランプというのは私の未来でも聞いたことがある、ただトランプは一人でプレイするゲームではないだろう?だから友達のいない私にとってトランプは馴染みのない物だったんだ」
「シンプルに悲しい理由なんですね…じゃあルール教えますよ複雑そうに見えてポーカーのルールは意外とシンプルなんですから」
ミネはどこからともなくトランプを取り出す、違ったよく見ると普通に背中にあるバックから取り出した。
「えーっとこれがトランプです。つまりは一定の種類を持った54枚のカードです。地域やルールによって異なりますが今回はジョーカ―を加えた54枚のカードですね。それを最初にシャッフルして山札から各自に5枚配ります」
「まず5枚のカードを確認して、そこで役が作れそうか?というのを確認します。役というのはカードの種類で決まっていて…」
パァン!シスは説明で油断しているミネの顔を引っ叩いた!。
「え…なぜ私を殴ったんです…理不尽?」
「説明が分かりづらい、急にいろんな用語が出てきて混乱しただろ」
「すみません…以後気を付けます…それでどこがわかんなかったんですか?」
「カードの役というのがわからなかった」
「それを今説明しようとしていたところだったんですよ!」
ミネも勢い余ってシスのことを殴ろうとしたが難なく回避された、単純な物理戦ならエージェントのシスが上回ることが確定した瞬間だった。
そのあともミネは苦心しながら丁寧にシスにポーカーのルールを教えた、その結果はまず現実世界のルールを先に教えたほうが早いでは?という具合だった、ポーカーとかゲームのルール以前に常識がない、どんな未来で生きてきたんだ?と疑わずにはいられなかった。
「なあ、もうトランプとかいいからスマブラやらない?得意なんだ」
「ちょっと黙っててください…スーちゃんで骨まで溶かしますよ…」
案外この脳筋はスライムでは溶けないのでは…と危惧しながらもミネは考える。一つ問題がある、このシス・フェディエという未来人は性格はアレだが容姿は本当にタイプなのだ!なんとしてでも自分の物にしたい…ミネはゲームというシステムを使った特殊な呪いをかけることができる、すなわちゲームで敗北した者を自分の虜に出来るのだ…失敗すれば呪い返しがかかって自分が相手の虜になってしまうのだが、だからシスを自分の得意なゲームに引きずり込むしかなかったのだ、スマブラは苦手だし。
「トランプにも小学生でもできる簡単なゲームがあるんですよ、ババ抜きとかどうです?すっごく簡単ですよ?」
「私は小学生ではない優秀なエージェントだ」
小学生のが素直な分シスより優秀だと言おうと思ったが、シスを怒らせると何をするかわかったもんじゃなかったので、ぐっとこらえる、あれ?最初は私が有利な状況じゃなかったっけ。
ともかくババ抜きは運の要素も絡んでくるためこちらとしてもリスキーな選択なのだが、このまま一生シスの相手をするのも嫌なのでババ抜きの説明を始める。
「まずジョーカーを一枚入れたカードの束を均等に配るんですよ、で数字が同じカードをペアにして捨てるんです、これで準備完了です。そのあとはお互いのカードを交互に引き合ってまた数字のペアが出来たらカードを捨てるんです。こうしてカードが先に完全になくなったら勝利です。でもジョーカーというカードは一枚しかないので確実に最後まで残る、つまりこのゲームはジョーカーというカードをどちらかが持っているかがカギなんです」
「ババというのはつまりジョーカーのことだろう?なんでババって呼ぶんだ?」
知らないよ…なんか昔から皆そう言ってるし…こういうところがあるから、たぶん友達いなかったんだろうなと思いながらなんとかババ抜きのルールを理解してくれたことに安堵する。
「でもこのババ抜きっていうゲーム2人でやるのは面倒じゃないか?単純にカードの枚数多いし、あと誰か一人ぐらい連れてくる?」
「なんでそんなところには気が回るんですか…あなたと私は未来人で正体知られたらまずいでしょう…常識を持ってください」
「でも人とトランプするの初めてだから楽しみたいし…」
「ピピピホコリがたまって掃除できないよー」
「あ、そうだこのピーナッツとかいうこの掃除機ロボットを仲間に入れるのどう?」
「正気ですか?手がないと不便すぎてプレイできないでしょう」
「あーそっかこの時代のAIは進んでないからそういうことできないんだな」
「シスセンセーの未来では掃除機ロボットもトランプできるぐらい便利だったんですか?」
「いや掃除機ロボットにトランプする機能なんて付いてないよ、どう考えても不要でしょ?」
…いい加減シスセンセーの相手をすることにも疲れてきた、早いとこ決着をつけよう。
4話に続くリンクは下記にあります


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