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乾敏郎・坂口豊著「脳の大統一理論 自由エネルギー原理とはなにか」読後感想

2027/02/17 読了 書きかけ草稿

今更かもですがカール・フリストンの「自由エネルギー原理(free-energy principle:FEP)」について入門的な理解をしたくて購入・読了。

数式や用語等の概念理解しながらなので、上っ面だけを理解するつもりでも、結構集中したり読み返したりで時間がかかった。
元々、人工知能であるChatGPT等の生成AIの仕組みの考察から、生体脳・神経システムの仕組みの考察と、双方のフラットな比較のつもりで読み始めたのだが、想像以上に類似点が多く、むしろ生体脳のFEPをリバース・エンジニアリングしてコンピュータシステム上で再現するのが大規模言語モデル(LLM)の基本設計でないかとすら思えた。

具体的には
・、外界の状態や原因を認識・推定するために、内部的な感覚やシステム構築のために、確率的な推論を行っている

・自由エネルギーというコスト関数を最小化するように学習している。事前予測と観測結果の不一致を表す自由エネルギー指標を最小化するためにスコア評価する

・両者とも、階層的な構造を持っており、低次から高次までの情報処理が連続的に行われている

・システム外の世界の環境変化(未来予測)を予測することにより、未知の状況(対話命令文)にも確率論的な対応が可能

FEP理論を基本として、生体脳のシステムを人工知能上に再現できれば、
理論システムとして再現性・客観性を持つことが科学的に証明されたということでは無いかと思う。
その過程において、知能とは?知覚とは?感情とは?意識とは?、そして人間とはなにか?という哲学的な問いが科学的な答え(客観性・再現性を持つ機械)として語られるかも知れない。脳内の主観的な内部モデルが数式を用いた化学反応・物理反応として解明されるかも

東大の松尾教授がAI関連のNHKの番組で「知能とは予測である」みたいなことを語っていたと思うが、この本を読んだ後だとこの言葉がスッと理解できる気がする。

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