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ファジアーノ岡山2021新加入会見を読む

どうも、ゼロファジです。

年が明けて新しいシーズンがやってきました。昨年はコロナ禍でかなり厳しい情勢の中なんとか最後まで日程を終えたJ2リーグでしたが、今年もまだまだ楽観視はできませんなあ。いちサポーターとしては、無観客試合になったり、中断期間をはさまず順調にシーズンが進行していくことを願うばかりです。クラブ、Jリーグ、そしてJFA、関係各所でサッカーを支えておられる方々には改めて感謝のことばを申し上げたいなと思っております。

さて、今回はわがファジアーノ岡山のお話です。今年は岡山の話をもうちょっとしっかりやっていきたいと思います。

先日、2021新体制会見が行われ社長、強化部長、監督、選手の声がYouTubeライブにて配信されました。

そこで、今回の記事では北川社長、原強化部長のコメントからいくつかポイントを取り上げて所見を述べていきたいと思います。有馬監督のコメントからはさほど踏み込んだ内容がなかったので割愛します。

寺田弘幸さんのファジラボという有料マガジンにてこちらの会見の内容の書きおこしが無料で公開されていますので、会見みてない方はぜひご一読くださいまし。ちなみに、ファジラボで読める内容は岡山の現状を理解するのに大切なテキストがたくさん発信されていますので、ファジアーノ岡山のより踏み込んだ情報を知りたい方はぜひ登録しておくことをおススメします。


2020シーズンの振り返り

昨年のチームの状況についてはおおむね予想していたどおりの回答であったなと思います。岡山は2019シーズンで有馬新体制となり、仲間隼斗のブレイクもあって過去最高勝ち点を記録したり、それまで破れなかったジンクスをいくつも破ることができた年になりました。

そこから仲間は移籍したものの抜けた分を十分補えるような補強もできていましたし、2020シーズンはこれはもしかしたら!?という期待感を抱いたシーズンインでしたが・・・

結果的には残念ながら17位と。

中断明けで目にしたチームの練度は想定したよりもかなり低く、その時点で2019年のクオリティには程遠い感触をもちました。チームのコンセプトがなかなか浸透していかない部分に加え、過密日程によるけが人の続出、コンディション不良でメンバーがなかなか固定できずスタメンで送り出せる戦力にばらつきがあったことも高い戦力を維持する観点から難しかったなと思います。

まあ、だからこそ「選手層」が大事なんですよね。そして、拮抗した実力をもつ選手どうしのポジション「競争」がさらにチーム内成長を高めます。

そして、3つ目の2020年新加入選手の台頭があったこと。これについては社長の意図がいまいちつかみづらいかもしれませんが、新しい取り組みをはじめた2020シーズンの中核を担う選手として新加入選手がよく稼働してくれたということだと思います。

これはつまり、成績はひとまず置いておくとして選手の獲得方針としては間違ってなかったと。2020年は新しいチームになりました。そこで新しいやり方も加えつつチームを作っていくうえで、核となる部分に新加入選手が食い込んでプレータイムを伸ばしてくれた。つまり、狙い通りの選手が獲れていたという強化の実績に対する評価と解釈していいのではないかなと思います。

経営の面で行くと、赤字額が8000万~8500万円くらいになりそうな見込であるということ。そして、強化費のほうですね。こちらは今シーズンもコロナの影響で不透明な部分があるのでアクセルを踏み込むわけにはいかないというむずかしさがあることは十分理解しておくべきポイントだと思います。強化費自体やや削らざるを得ないということもしっかり覚えておいた方がいいですね。シーズンがうまくいって収入が回復すれば・・という期待感をもちつつ。

2020年の振り返りに関して、社長コメントの中から特に重要だなと感じたポイントがココです。

ただ、一つ皆さまと共有したいのは、売上が上がらず強化費を減らすから若手に切り替えるというわけではございません。核となる選手が残ってくれ、即戦力として若手が加わった。もし予算を削るのであれば、核となる選手も外して中心にブラジル人選手を2人連れてくれば、もしかしたら予算を削れるかもしれません。そうではなく、われわれは戦える戦力を整えたということを皆さまと共有したいと思っております。

強化費≒チームの強さという公式があります。ですから、お金を持ってるクラブが自然と強くなる傾向にあるのはサッカーの常識であります。そこへいくと、親会社もなく資金的に強い立場にいない(J2で上から数えて真ん中程度にとどまる)ファジが上を目指すのは普通に考えて相当に難しいことは間違いありません。しかし、「われわれは戦える戦力を整えた」と言ってます。現有の戦力でも十分に昇格を狙える可能性を捨てないで目指していける感触を社長が持っていると。そこが明言されているのはとても興味深い。「上はもう目指せないので、若手を集めて育成していきます」じゃありませんと言ってるわけですね。

【重要】お金で選手を連れてくるのは難しいから

クラブとしてはまず先立つ収入を確保した上で強くしていくことをコンセプトとしておりましたので、いかに収入を確保していくかをやってきた過去の12年間でございました。

前述のとおり、強化費≒強さという公式がありますからクラブとしてはたくさん収入を増やしてその中から強化費にお金を投入していくそこを目指して頑張ってきた12年間だったわけです。

当初は売上で10億円程度でJ1に手がかかるのでは?と言われていましたが、やがて、15億、いまでは20億が必要と年々ハードルが上がってきています。2016年にファジはPO決勝まで進みましたが、あれはDAZNマネーが入ってくる前の最終年だったんですね。岡山の成長のタイミングと、ハードルが最も近いタイミングが2016年だったというのは非常に理解できる話です。

2016年にJ1まであと一つというところまで行けたので、つづく2017年以降も近いうちにチャンスが来るかもしれないと期待していた人も多いと思います。しかし、実はその裏でJ1昇格のハードルはどんどんあがりつづけていたんですよね。2016年までは岡山トップ8くらいには入れるポテンシャルがありました。しかし、長崎や湘南、町田のようなケースがあったり、徳島・松本・長崎のようにJ1経験クラブに成るクラブが現れたことで岡山の立場はどんどん後退することになっていました。もちろん、岡山は成長していました。クラブは間違っていなかったと思います。しかし、リーグの変化の方が激しかった。昇格へのハードルの上がり方はこちら成長度のだいぶ上をいっていたわけです。

ここを理解せずにクラブの責任を問うことは到底できない話でしょう。

2016年は20億円以上のクラブがJ2で3クラブでしたが、昨シーズンは6クラブとなっています。この20億円はわれわれが一日でも早く達成しないといけない数字ではございますが、お金で選手を連れてくるというよりはむしろ、しっかりと岡山のコンセプト、プレーモデルにあった選手を連れてくることが重要だと思っています。今年の選手は岡山のプレースタイルにあった選手が来ていることを皆さまと共有したいと思います。

さて、社長の話の中で自分が最も気になったポイントはここです。

昨今、お金で選手を連れてくることは難しくなっているという話があります。ましてや岡山はJ2で17位でしたから、J1の上から数えればせいぜい35番目かそこらのポジションしかとれていないんですよ。そりゃ日本で10本の指に入るようなクラブと35番目くらいのクラブが選手の綱引きしたって勝てっこないんですわな。

そういうことを踏まえたうえで、「お金で選手を連れてくるというよりはむしろ、岡山のコンセプト、プレーモデルにあった選手を連れてくることが重要」と社長が明言したことは大変に意義深いです。

プレーモデル・・・というのは聞きなれない言葉ですが、ざっくり「チームの共通理解」とか「チームのコンセプト」と理解しておいていいと思います。で、北川社長が言ってることはわかりやすく言えば、「去年の北九州みたいにやりましょう」ということでいいと思いますね。

北九州は小林監督の指揮のもと久しぶりに復帰したJ2で大活躍しました。その活躍が認められて今シーズンはたくさんの選手がステップアップしていったようですが、彼らはもともとJ3の選手たちでしょう?つまり、そんなに高値の選手たちじゃないわけですよ。レンタル組は別としてね。なのに、あれほどの好成績を残せているわけです。それはなぜか?というと、彼らが採用したコンセプトに沿った選手たちが、それを上手にゲームで表現できていたからだと思うんですね。

これって、なにも北九州だけの話じゃないんですよ。

過去にJ2でクラブの強化費があまりない中で躍進を遂げたクラブのほとんどすべてがこのタイプの成功者なんです。パッと思いつくのは上野さんのときの山口とか。相馬さんのときの町田とかね。忘れちゃいけない片野坂さんの大分なんてまさにそうじゃないですか?

彼らもそんな高価なタレントぞろいじゃなかったですよ。でも、かなりの好成績を残していました。あのときJ2もJ1のひとたちですら「大分やべーぞ」「山口いいねえ」「北九州おもしろいよね」と話題になっていましたよね。彼らはサッカーで世間をあっと言わせていました。

親会社がクラブを買って子会社化して市民クラブでなくなるところが増えたり、親会社がクラブに資金を入れやすくなってきている背景もあって貧乏な地方の市民クラブの競争力は相対的に低下してきています。いくらファジのフロントが頑張ってもそう極端に成長できるものではありません。しかし、J1昇格を諦めないために現実的にとれる路線はなにか?と考えると、もうこれしかないと思うんですよね。ですから、ここからは岡山があっと言わせる番がくるかもしれません。

こういった状況ですので原理原則に戻り、チームも少し忘れかけている原理原則に戻って、岡山らしさを取り戻していきたい。最後まで走り切る、誠実さ、球際の強さといったものを思い出させる選手が揃っておりますので、今シーズンも皆さまと一緒に戦っていきたいと思っています。

今季の選手補強の方針について

引き続いて原強化部長のコメントかたポイントをピックアップしてみていきます。まずは、今回の補強のねらいについて。

今シーズンに選手やコーチを補強していく上で何を大事にしたかと言いますと、もう一度『岡山らしさとは何なのか』『岡山とはどういうサッカーをしているのか』『どういうサッカーをしてきたのか』ということに立ち返りました。

社長からもプレーモデルという言葉が出ていましたが、ここでも「岡山はどういうサッカーをするべきなのか」という問いかけがあったことがうかがい知れます。つまり、コンセプトですよね。岡山ってどういうチームでどういうサッカーをすべきなのか?そこを考えて補強を進めてきたと。

では、「その岡山とは何か?」というと、

岡山と言いますと、皆さまが思い浮かべるのはハードワークとか攻守の切り替え、最後まであきらめない勤勉性、球際の強さといったところだと思います

うん、これはイメージ通りの岡山ですね。あくまでこのベースが基礎であると。しかし、それに付け加えてどんな「らしさ」をプラスしていくのか?というと

ここにいる有馬監督を含め現場のスタッフがもう一つ大事にしていることは、状況判断ができる選手、固有の武器を持っている選手、ポリバレント性を持った選手、というところです。

ポイントは3つ

1.状況判断ができる
2.スペシャルな武器を持っている
3.ポリバレント性がある

以上3点をチームに加えてくれる面々を集めたということでした。3のポリバレントという言葉はそのままユーティリティと置き換えていいです。つまり、複数のポジションや役割をこなせる特徴をもっているということですね。

この3つのポイントは実に的確に岡山の足りないところを分析しているなと感じます。2については昨季もそういう選手は入ってきていたと思いますが、3のところですね。ここは選手のやりくりにかなり苦戦しましたので、その辺の反省も踏まえてということではないでしょうかね。

2021年以降こファジアーノ岡山と上手におつきあいするために

ということで、ざっと社長と強化部長のコメントに対する所見を述べてみました。いかがだったでしょうか?

岡山が上を目指しにくい状況にどんどんなってきていることがお分かりいただけたら幸いです。そこから昇格を目指すには、お金持ちになってしまうか今岡山が舵を切ろうとしている方向か、まあ・・・どちらかしかないんじゃないかな?と思います。ほかに考えつかないもんね。

もちろん成績も大事なんですが、ぶっちゃけ日本で18位以内に入れるチームを作るというイメージも大事だと思うんですよ。それが実現できれば、いつか必ずJ1に手が届きます。だって、大分そうでしょう?

そうなるためには勝ち点を支払って身を切る時間も必要になってくるかもしれません。降格枠は4つもありますから、できればそこに巻き込まれずにじっくりと成長できるシーズンにしたい。

けどね、J3落ちても別にいいと思ってますよ自分は。そのかわり18位以内に入れるような素晴らしいチームがつくれるなら、ね。

目先の勝ちは大事ですが、どうせすぐすぐ昇格チャンスは来ないと思いますからじっくりチームの成長を1試合1試合楽しみたいなと思っています。

最後に、オープンチャット『ファジアーノ岡山を語る部屋』を紹介させてください。ゼロファジが管理人をつとめるこちらの部屋、メンバーも200名に達しようとしていてだいぶ活気が出てきました。誹謗中傷やネガティブすぎる発言もありませんし、心地よい感じになってきています。ファジに関することはなんでも話題にしていますのでよかったらぜひどうぞ!

オープンチャット「ファジアーノ岡山を語る部屋」

それではまた。

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