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椎名一馬選手の退団によせて

どうも、ゼロファジです。


ながらくファジアーノ岡山の兄貴分的存在としてチームを引っ張ってきた椎名一馬選手が退団します。それにともないホーム最終戦にてあいさつが行われました。

一夜明けてすこし冷静になってきたので、ここで彼について思うことを書き記しておきたいなと思います。彼の退団、そしてあのあいさつを受けて、たくさんのファジサポが心を揺さぶられていましたね。そのもようについてはファジラボにて全文無料で掲載されていますので、見逃した方はチェックしてみてください。

皆さんに「椎名の声で助かっている」「椎名の声がなくては岡山ではない」「椎名のおかげで元気になる」と言われ、今日は声を出すのがツラいなと思ったときも、出すことができました。本当にありがとうございます。

ファジラボ

椎名一馬の大きな魅力であった”声”についてはよく知られていますので、ここでは触れず、それ以外の部分にスポットライトを当ててお話してみたいと思います。彼のことをよく知らなかった、というファジサポも少なくないと思いますので、そういった方ににとってもなんかの足しになれば幸いです。


GKという特殊なポジション


GKは特殊なポジションです。今シーズン本来SBが本職である徳元が、左SHでポジションを取ったように、フィールドプレイヤーであれば本来のポジションとは違う位置で起用されることもあります。また、かつて岡山に在籍していた久木田紳吾さんのように本来FWだった選手がCBにコンバートされて出場機会を得るといった場合もあります。

しかし、GKにはそれがありません。

控えのGKが試合に出るには、スタメンGKがケガや移籍で出られない状況になるか、成長して自力で勝ち取るしかない。相当にシビアな世界なんですね。

幾千もの選手との競争を勝ち抜いて、実際にプロになるような人はその時点でかなりの実力者です。当然、誰だって試合に出たい。試合に出て活躍することで、成長もするし評価もされる。プロとはそういう世界ですから。

13年前、岡山に来てファジアーノ岡山の試合をこのスタジアムで観ました。とても感動しました。そのときにこのピッチに立ちたい。このピッチでファジアーノ岡山の力になりたいと思い、日々練習を頑張ってきました。

プロ6年目、その夢が叶い、素晴らしい雰囲気の中、皆さんに応援され試合に出ることができました。それから7年、ピッチに立つことはできませんでした。

ファジラボ

がんばってがんばってなんとか試合に出たい、でも、出られない。そういう状況下にありながら、13年もの長い間、腐らずに投げ出さずにやり続ける努力とはいったいどういうものなのか。「どうせやってもダメ」とか、「どれだけやれば報われるのか」とか思った日もたくさんあったでしょう。

しかし、いつ政田に練習を見にいっても、いやそれ以前、神崎山や財田に観に行った時でも、ずっと椎名は声を張って練習を引っ張っていました。あきらめずに投げ出さずに、いつも椎名は椎名だった。それが本当にすごいと思います。

椎名一馬と梅田透吾と


ホーム最終戦、残り時間わずかというところで椎名一馬のファジアーノ岡山での最後のプレータイムがやってきました。このゲームにベンチ入りしたことも、最後の出場時間を得たことも彼が勝ち取ってきたものです。

交代する選手は今季第一GKを務めていた梅田透吾。
彼は清水エスパルスからレンタル移籍してきた21歳と若いGKです。第一GKにふさわしい好セーブで幾度となく有馬ファジを救ってきた実力者。


交代時にはハグして送り出すシーンがありました。見ていて思わずグッと来てしまう非常にいいシーンでしたね。この交代は・・アツい。

梅田透吾のレンタル元、清水エスパルスには権田修一という第一GKがいます。日本代表のGKです。つまり、梅田透吾は権田修一がいるために出場機会がないであろうということもあって、ファジアーノ岡山に移籍してきた選手なんですね。椎名と同じ立場であったのです。

その選手が13年間、ほとんどを控えのGKとして過ごしてきた椎名と交代してピッチに出ていく。この交代はそういう絵だったわけです。

今後、梅田透吾はさらに成長していいGKになっていくことでしょう。J1で第一GKを務める選手になったり、もしかしたら代表GKになるかもしれない。違うチームにいくことなっても、今年彼が椎名一馬と出会ってその姿から学んだことはずっと残り続ける。椎名一馬が体現していたファジアーノイズムはこうして継承されていくのです。

椎名一馬が定義する”ファジアーノらしさ”


”ファジアーノらしさ”とはどういうものだろう?このクラブを応援するようになって11年になりますが、イメージを持っていても「これ」という決め手になる言葉を持っていませんでした。

勝っても負けても1万人。晴でも雨でも1万人。私なりに言い換えさせてもらいます。勝っても負けてもこのスタジアムに来てほしい。晴でも雨でもこのスタジアムに来てほしい。確かに、勝った試合を皆さんは見たいと思います。晴れているときに天気が良いときに試合を見たいと思います。

ですが、今日の試合を見てください。0-3から1-3です。すごい苦しい試合でした。皆さんの支えがありラストに1点取ることができました。私はこれがファジアーノらしさだと思います。

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しかし、あいさつの中で椎名が定義してくれました。
苦しい時でも、条件が悪い時でも、一歩前に進もうとする姿勢。これこそがファジアーノである、と。

少し個人的な話をさせていただくと、3年前に被災して以来いろいろと努力してきましたが・・・ぶっちゃけた話挑戦は失敗に終わりました。

がんばろうと注力すればするほど、他のことがおろそかになったり、ひとの心が離れていったり、そういうつもりはないのになぜうまくいかないのだろう。もがきにもがいた3年間でした。もういいや、と思うことも多々ありました。どうやって生きていけばいいのか・・・・

しかし、椎名の言う”ファジアーノらしさ”を聞いて救われたような気持がします。

オープンチャット『ファジアーノ岡山を語る部屋』

椎名がそういうんだったら、それはそうだよな。


今度は椎名を見送る番


椎名一馬はファジアーノ岡山に13年在籍しました。
ということは、岡山がJ2に上がる以前から在籍していたことになります。

毎年、チームが変わって退団する選手、加入する選手と入れ替わりがありますが、そのすべてを13年間見てきた。ただ一人の選手が椎名一馬です。

川原周剛も。
千明聖典も。
矢島慎也も。
岩政大樹も。
加地亮も。
赤嶺真吾も。

書ききれないほどたくさんの選手がチームを離れていくのをずっと椎名は見送ってきたわけです。

さあ、さびしいけれど今度は椎名を見送る番だ。

椎名一馬選手、長い間本当にありがとうございました。
ご自身が望まれる道筋が希望に包まれたものでありますように。
あなたこそがファジアーノです。




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