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J2 第4節 岡山vs金沢レビュー

この記事はポッドキャストで配信した内容の書きおこしです。配信はこちらからチェックできます!

写真提供:hide(@fagi1598)


どうも、ゼロファジです。

ファジサポ談話室。この番組はサポーターによるサポーターのためのファジアーノ岡山応援プログラムです。


よかった!J2第4節ツェーゲン金沢戦。3-0での快勝ということで。いやー、ここ正念場だと思ってたんでね。少しホッとしたってのが正直な心境です。

プレビューでも話しましたけど、開幕戦から少しずつトーンダウンしていて、いまいちうまくいってない。後ろからボールを運ぶことも、どこかギクシャクしている、と。さらには、メンバー選考の面でも台所事情が苦しい。
なので、今いるメンバーでもっと戦えるようにならないといけないよねって話でしたけども。結果はもちろんのこと、内容的にも収穫の多いゲームになりましたね。

今回は、快勝したってこともあるんですが、どんな風に木山ファジが良くなったのか?について、重点を置いてお話していきたいなと思います。

いつも通り、まずは試合の流れをざっと振り返って、そして金沢の特徴。それから、注目ポイントについてしっかりやっていきましょう。



試合のふりかえり


前半開始してしばらくは金沢ペースで、4分にはこちらのGKからのパスミスを奪われてピンチを迎えました。ちょっと岡山としてバタついたスタートで、大丈夫かな?と思いました。

しかし、次第に落ち着いてくるとそこからはほぼ岡山ペースで進んだゲームだったと思います。まあ、途中ちょいちょい金沢ペースになることはありましたけど、そこまでシュートまでいかれることはなかったので良かったと思います。

21分には素晴らしいボール運びから河野のクロスを田中雄大がボレー。これをGKが弾いたところをソロモンが詰めたけど、ボールに力なくクリアされるという決定機。前半はこの決定機を含め、金沢コートにうまく入って、ラストパスやクロスを上げていくシーンをたくさん作れていました。

45分には、左サイドのペナ角からちょい離れた位置からのFK。河野のボールをニアですらして、混戦からバイスが押し込むと。

うん。まあ、これ...オフサイドだと思います・・・笑

J2にはVARないので仕方ないですけども、ラッキーも味方して前半の最後に先制して終わることができました。いい攻撃ができていたので、どこかで取りたいと思っていたんですが、やはりセットプレーの価値は高いですよ本当に。河野諒祐はキッカーとして貢献しましたね。


後半も開始からしばらくは金沢ペース。

55分には金沢に決定機。例の岡山の弱点。中盤でボールを失った直後ですね。石原ですよ。パスを出したのは。ここ、バイスはオフサイドを取ろうと思ったんですけど、うまくラインが合わずに林な抜け出され、ニアゾーンからクロスを折り返される大ピンチでした。

59分には岡山のCKを跳ね返した金沢がバイアーノの単騎カウンター。ここ、輪笠がよく対応してことなきを得たシーンでした。ボールを失った仙波もしっかりもどって対応できてました

63分にはムークのメッシみたいなゴールが決まって2-0。この2点目はムークと仙波を起用した良さが凝縮されたようなゴールで素晴らしい。

68分には河野に代えて本山を投入。70分過ぎると両チームともに疲れが見えはじめましたね。ここから、ボールが行ったり来たりするオープンな展開になっていきましたが、これはちょっと嫌でしたね。オープンな展開になると岡山も追加点取れる可能性が上がりますけど、金沢にも得点を取る可能性が上がるんですよ。金沢は3-0にされても負けは負けなので、もう行くしかないわけですけど、岡山はそれに付き合って2-1とかになったらめんどくさいでしょう?なので、ゲームを落ち着かせてペースを落とすようにできたらいいなと思ってました。

78分には木村太哉に代えて高木友也。仙波大志に代えて田部井涼を投入。この交代を境に岡山は3バックに移行します。守備時は532のような並びになっていました。

そして、84分。高木友也がボックスに持ち込んで左足を振り抜きニアをぶち抜く圧巻のゴール。これで3-0

最後は2トップをルカオ、イグォンに代えて、そのまま試合終了。先制、中押し、ダメ押しと、理想的な追加点の取り方で快勝しました。

ということで、こういう流れで進んでいった試合でした。では、次に、この試合で見えたツェーゲン金沢の印象からいきましょう。

ツェーゲン金沢の印象


フォーメーションは442で、SHが中に入るという形でした。金沢はやはり2トップにかなり信頼を置いているというか、そこで収めて押し上げていきたいという意図を感じました。FWのプレスバックもそこまで積極的じゃないし、攻撃の後FWを前残りさせるので、MFのラインと2トップの間で岡山がボールを拾いやすくなるんですよね。そうなると、岡山の攻撃を跳ね返してもまた拾われて波状攻撃を食らうと。前半なんか特にそんな印象でした。

やはりロングボールは使わず、後方から繋いでボールを運んでいきます。ですが、あまりボランチを経由してという感じじゃなかったですね。この試合で特に金沢が狙っていたのがこちらのSBを引き出して、その裏にFWが走り込んで起点を作ろうという形。

これ、何度かトライしていたんですけども、やっぱり柳とバイスが強いので、なかなかそこのバトルでFWが収められなかったのが金沢にとっては厳しいとポイントだったなぁと思います。

組み立てのところも、選手があまり立ち位置を変えないので岡山のプレスをモロに受けてエラーが起きるシーンもありました。全体としてはちょうど前節の岡山のように前と後ろがうまくつながらないような、そんなイメージでしょうかね。

印象に残った選手としては、やっぱり石原崇兆。後半から右SHで登場しましたけども、なかなかにいい仕事をしていました。55分に金沢の決定機の起点は石原でしたからねえ。相変わらずスピードと浮き玉のパスのうまさは変わらないなあと苦笑いしましたけども笑その後、2-0になったあたりからはもう右SHのポジションを離れて中央や左サイドに顔を出してかなりフリーになってました。

ただ、金沢がなかなか石原をうまく使うことがなかったのでそんなにピンチになりませんでしたが、元々空いてるスペースとかよく見つける選手なので、金沢の組み立ての助けになれる可能性あるのになあと思って見てました。試合後GATE10に挨拶に来ていたみたいですけど、久しぶりに石原のチャント聞いて、めちゃくちゃ懐かしかったですね笑


それから、この日の金沢で最も印象に残ったのが左SBのバイーア。想像していたよりもさらによい選手で驚きました。まず、ドリブルがあるので岡山のプレスをある程度一人でいなせるのが厄介でしたね。田中雄大も手を焼いていたと思います。それから、ドリブルで持ち込んでから、抜き切らないところからアーリークロスとかね。結構いいボールを蹴っていたので、彼はブレイクしそうだなと思います。守備の方でもボヤッとしてなくてちゃんと対応できるし、なかなかに手強い選手だったなあと。いずれどっかから声かかってもおかしくないんじゃないか?と思いました。

岡山のビルドアップの改善点:ボトムチェンジ


ここ2試合はドローということで、なかなか思うように開幕戦ほどボールが前に運べませんでした。佐野航大と坂本一彩が代表で抜けた影響も大きく、彼らの不在をどうカバーするか?が大きなテーマでした。そういう意味では木山ファジはひとつの回答を出せた。それが金沢戦の1番の収穫だったと思います。

では、何がどう変わったのか?

まず、この試合に起用されたスタメンを確認してみます。前節からは田中雄大が右SHに復帰して、トップ下に仙波、そして、ムークを一列あげてソロモンと2トップを組ませる形に変えてきました。以前から、そういう組み合わせもいいんじゃないか?と話がありましたけど、これでやってみてひとつ手応えを得ることができた。開幕戦でみた木山ファジのすがたに一番近いのがこれなんじゃないか?そんな印象を与える内容でしたね。

具体的にどこが良くなったのか?これ、いくつかあるのでひとつずつ見ていきます。まずはボトムチェンジ。最終ラインの形を変えることについて。

この試合の前半は、柳とバイスの間に輪笠が降りて、3バックになる形を採用していました。これは、サリーダラボルピアーナ、略してサリーダ、サリーなんて呼ばれますけど、ボランチをCBの間に落として3バックになることで相手の2トップよりも人数的に優位になるようにする形ですね。ちなみに、前節水戸がやってました。

輪笠が落ちてサリーダすることで、バイスと柳は3バックの両脇のCBになれます。そうすると、金沢の2トップの脇から縦パスを蹴りやすくなるので、組み立てのとっかかりのところで2人の展開力を活かしやすくなるわけですね。柳からの縦パスも良かったですけど、バイスお得意の対角フィードもこの試合多く見られました。つまり、それだけ柳やバイスに前を見る余裕があったというひとつの証明と言っていいでしょう。

また、後半では違う3バックの形を試してして、輪笠を落とすのではなく、左SBの鈴木喜丈を中よりに立たせ3バック化する形も見られました。こちらは、清水戦の右SB吉田豊を3バックの右に見立てる形で清水がやっていたので、ここ2試合相手がやっていたボトムチェンジの形を吸収してこの試合で披露した。そんな格好になってますね。

こんな風に最終ラインの形を変えることで、前にパスを蹴れる人が蹴りやすくなる環境が整備された。そう考えていいと思います。

岡山のビルドアップの改善点:田中雄大と仙波大志と


次に、田中雄大と仙波大志について。

この試合スタメンに復帰した田中雄大ですけども、もはやチームの核と言ってよく、外せない選手になっています。いるといないでは大違いで、チームのパフォーマンスに大きな影響力を持っていますね。守備でもそうなんですが、特に攻撃を安定させる力は抜群ですね。右SHの位置で敵をひきつけ河野へのパスコースをつくる仕事や、右サイドで自分がボールを引き出す仕事、そして中よりに入ってボランチ化する仕事などなど、多岐にわたる貢献をしています。

さっき言ったように、輪笠がサリーダして最終ラインに落ちると中盤に誰もいなくなってしまうので、その空洞を埋めるために鈴木喜丈が中に入ったりするわけですが、右からは田中雄大がそこを担当します。だから試合見てみるとよくわかりますけど、田中雄大は相当真ん中のほうにいたりするんですよね。もう、ほんとボランチみたいなところにいます。

そして、この日トップ下に入った仙波大志はピッチのいろんなところに顔を出して、ボールの流れを円滑にする。これが大きかった。サイドと中央を橋渡ししたり、後ろと前をつないだりと。ムークに比べると、よりトップ下っぽいというか、ボランチっぽい仕事をできるタイプなので、選手と選手をつなぐリンクマンになっていましたね。

この田中雄大と仙波大志が中に入ることで、もともとアンカーにいた輪笠もかなりやりやすそうでした。というのも、中央にパスコースができるのでサイドサイドではなくて、中にも外にも選択肢が持てる。そして距離感が近いので、プレッシャーを受けていても逃がせる。すごく助かりますよね。
あと、仙波はトップ下なのでボランチが見るのか、それともCBが見るのか、マークがつきにくいんですね。なので、金沢のコートでフリーでボールを受けて前を向くシーンがいくつかありました。このあたりはムークよりも仙波の方が得意だと思いますね。

ちなみにですけど、右は田中雄大が入ってきて、左は仙波大志が下りてきて輪笠を助ける格好になっていたので、鈴木喜丈がボランチに入らなくてもよくなっていて、そのこともあって後半は鈴木喜丈を3バックの一角にするボトムチェンジに変更したのかもしれないですね。田中雄大も、仙波大志も、鈴木喜丈も中に入ると真ん中がごちゃついてしまいますからね。

ここまでの岡山の改善点が凝縮されたプレーが21:30あたりから田中雄大のボレーにつながる決定機のシーンです。もうほんといろんな要素が詰まってるからぜひ見てほしい。「ほんまや!」ってなるので。
輪笠を落とすサリーダも、
ボランチ化する鈴木喜丈も、
組み立てのスタート役になる柳のタテパスも、
ソロモンのポストも、
中に入って組み立てる田中雄大も、
トップ下で浮いてボールを引き出し仙波大志も、
大外で幅を取ってクロスに備える河野諒祐も。
いろんなポジティブな要素がぎっしり詰まったクオリティの高い攻撃でした。

岡山のビルドアップの改善点:ソロモンとムークと


このように、最終ラインのボトムチェンジでパスが出せるようになり。中盤が厚くなって後ろと前をつなぎやすくなり。そして、前線。FWに入ったムークとソロモンの役割分担もうまくいっていたと思います。

仙波がどちらかというとボランチよりのトップ下なら、ムークはよりFW的というかセカンドトップっぽい感じで、スコアリングにもっと寄ったポジションが得意なので、ソロモンと組んでそういう役回りを演じることができたので、この試合すごくイキイキしていましたね。

ちょうど清水戦のディサロ、水戸戦の梅田のように、FWの位置でじっと待つのではなく、そこはソロモンに任せてしまって、自分はサイドに出たり中央で落ちたりと動くことでボールを引き出す。開幕戦で坂本一彩が担っていた仕事をムークが問題なくこなしてくれたと思います。

このあたりの特徴が非常によく出ているのが2点目のムークのゴールです。ハイライトに載ってるので是非見てもらいたいんですけども、まず、FWの位置から落ちてきてマークにつきにくいところでボールを引き出す。ここ、相手のボランチの背後ですね。すごーく嫌なところです。

そしてボランチのマークを振り切って仙波にパス。仙波のこの味方と繋がれる力がよく出てます。ソロモン経由で帰ってきたボールをボックスの中に持ち込んでゴールを決めると。ムークのオーストラリア時代のプレーなんかをみても、こんな風にボックスに入ってきてゴールを決めるシーンが多いので、このあたりのプレーが彼の強みだと思います。

このように、最終ライン、中盤、そして前線と、チーム全体でボールを前に運ぶ機能が向上したことで、ここ2試合での停滞感が払拭された印象を受ける金沢戦の快勝でした。

代表組や欠場者がいても同じサッカーができたこと


代表組の2人やベンチ入りがままならない主力選手がいて、台所事情はいまだ改善途中ですが、メンバーが代わっても同じように戦える。そのやり方をひとつ見つけられたので、いやー正直、ホッとしました。

こうして戦い方が安定すると、交代策も明確になるもので、後半の交代なんかはようやく層の厚みを感じることができたように思います。これからまだまだ選手は戻ってくるわけですが、ひとまずベースとしてこういう戦い方ができますよ、と。その上にプラスアルファで戦力が乗っかってきますよ、と。こういうベースアップができたのはデカいですよ。

高木友也と本山遥。ルカオとイグォンですからね。全員スタメンで出ていてもおかしくないですけど、後半リードした状況で出せるという。こういうことが当たり前にできるチームにならないと優勝は遠いですよ。なので、ここでまだ台所事情は苦しいですが、それでもやっていけそうな兆しを見ることができた。そんな試合だったなと思います。

ということで、金沢戦のレビューでした。

木村太哉と河野諒祐と


この日はみんなよく見えたので、できることなら全員について語っておきたい感じなんですけどね。時間もあれなので、触れてない選手であげるとすると木村太哉がすばらしかったですね。

もう明らかに調子がよさそうな感じで、キレキレだったと思います。対面する金沢のSBを問題にしておらず、タテに抜け出す、キープしてタメる、はがしてクロスをあげると。さらにはハイボールの競り合いでも勝つという。ルーキーイヤーに見た太哉ののびのびとしたプレーが戻ってきていることを実感するゲームでした。

また今季はどちらかというと右で出ているときのほうがいいプレーができている印象でしたけども、もともと得意な左でのプレーということで良さを存分に発揮できていて非常によかった。
このあたりはやっぱりキャスティングの部分もあると思うんですよ。トップにいるのがイグォンではなくムークなので、左サイドを遠慮せずに独占出来ますし、その方が太哉にとってもチームにとっても有益なのかなぁと。すこしづつ理想的な配置・キャスティングが見つかってきているような印象をうけるゲームでもあるなと。

それから、前節失点に絡んだ河野諒祐がこの試合でもチャンスをもらったということで。しっかりと先制点につながるキックで貢献し価値の高さを証明してくれました。いや、攻撃は問題ないんですよ。アシスト王ですからね。問題は守備の方ですけど、この日は終始守備意識も高く、欲を出さないシンプルなプレーで問題なかったですね。再び本山遥との熾烈なポジション争いになりますけども、守備さえ問題なければ、河野のキックはやっぱめちゃくちゃ魅力なんで・・・

本山遥がどうやって価値を高めてポジションをとるか?
いいライバルがいるのでそこも楽しみにしたいと思います。
クロスうまくなったらいいですよ。本山も。昔岡山にいた田所諒も最初そんなクロスうまくなかったですからね。島田譲だってそうでした。みんな黙々とキックを磨いていきましたから。本山にクロスがついたらより死角がなくなりますから、本山遥推しの自分としてはその辺も楽しみにしたいなと思っています。

はい。
ということで金沢戦のレビューでした。次節もホームでヴァンフォーレ甲府戦ですね。ようやく強さを見せることができましたが、当然相手はこの岡山を封じ込めようとしてきますから果たして甲府がどんなことをやってくるのか?楽しみにしたいなと思います。

それじゃあ、またね。

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