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奈良クラブvsFC岐阜 マッチレビュー J3第14節 【2-1】

どうも、『やわらかフットボール』というサッカー観戦術入門講座をやっているゼロファジと申します!


いろんなチームの試合を見てマッチレビューを書いてみよう!企画第2弾。今回はJ3の奈良クラブvsFC岐阜の試合について、なるべくわかりやすく解説してみたいと思います。


※私ゼロファジはどちらのチームのサポーターでもなく、なおかつ事前情報も調べているわけではありませんので、内容について粗いところがあろうかと思いますがその辺はご了承くださいましな


スタメン


奈良クラブは433。岐阜は442。どちらも後方からボールをつないでいきたいチームみたいですね。奈良は守備時にはフォーメーションを変化させて、


右WGを下げてそれぞれが移動していき、442の並びで迎え撃つ構えをとっていました。一方の岐阜もボールを持っているときは、


2人のCBにダブルボランチでボールを安定して保持しつつ、両SHが中に入り、サイドはSBに担当させる。442のチームだと結構こういうSHを中にいれるチームを見かけますね。

選手の立ち位置がどう変わっているか?を注意深く観察していると、このように最初の位置から変化させていることに気がつくことができるのでおすすめです。

運びたいけど運ばせてもらえない奈良


奈良はショートパスをつないでボールを前に運びたい。しかし、前半はそこまで思うようにやらせえもらえませんでした。なぜか?というと岐阜がそうはさせまいと邪魔してきたからです。奈良が最終ラインで左右にボールを動かして前に運ぶすきをうかがっても、


ボールを受けたい奈良の選手とそこを邪魔したい岐阜の選手の人数が同数なので、奈良の選手がボールを受けてもすぐさま岐阜の選手のプレッシャーが飛んできます。これでは、あまり余裕がない。


もし、プレッシャーを回避できないとどうなるか?たとえば、このようにボールを受けた奈良の選手が潰されて奈良コートの深い位置でボールを失ってしまうケース。サッカーではボールを失くした時点でスリーアウトチェンジなので、これでは攻撃どころの話ではなくなってしまいますよね。てか、逆にピンチじゃん!ってなっちゃう。20:45のシーンなんかはこのパターン。


あるいは、出しどころに困ってロングボールを蹴らされるケース。こうなると「ショートパスをつなぎたいよ!」という奈良のスタイルを諦める格好になってしまう。これで競り勝ってマイボールにできるならそれはそれでよしなのだけど、最初からそういう狙いでロングボールを蹴ることを織り込み済みな印象は受けなかったですね。すくなくとも前半は。

なので蹴らされたり、潰されて奪われたりしているときはあまり奈良の思うようにボールを運んで相手コートに入ることができていないと判断してもいいのかなと思います。ちなみに『やわらかフットボール』では攻撃のSTEP1がクリアできていないと表現しています。攻撃のSTEP1とは”相手のコートにボールを運ぶ”です。

奈良がうまく運べているときを見てみよう


では、逆に上手く運べているときはどうか?というと、象徴的なのが22:50あたりからのシーン。最終ラインで横パスをつないでいくことは変わらないんですが、そこにアンカーの神垣が落ちてくる。


神垣が空けたスペースにインサイドハーフの中島ズレてきてボールを引き出す。そうすると、岐阜の守備のラインとラインの間で中島が前を向くことができました。そうするとそこからタテパスをスペースに流して前線の選手を走らせようという展開が作れた、という流れでした。

パスが合わなかったのでうまくいかなかったですけども、このように岐阜のプレッシャーを交わして前向きを作って、パスやドリブルで運んでいく。そういう形が作れると、奈良も相手コートにボールを運んでいくことができます。なので、「前向き」を作った瞬間を見逃すともったいない!ってことになりますね。後半の51分のシーンなんかも、嫁阪を相手のボランチの脇に落としてきて、そこでワンタッチで落として前向きを作ることに成功しています。

岐阜コートに押し込むことができると、嫁阪の決定機のシーンのようにショートパスとワンタッチプレーを絡めた攻撃でボックス内に上手に侵入することができていたので、チャンスを作る力はありそうな感じ。したがって、いかに相手コートに侵入するか?がやはり奈良にとっては大きなテーマなのかなと思います。そこまで運べないとチャンスを作るところまでいけませんからね。


奈良の守備のルーズから漂う若干のルーズさ


一方の守備はどうか。基本的にはミドルプレスを軸としながら、ときおり前からプレッシングに出るというのが奈良の考え方なのかなと思います。ただ、前半気になったのが奈良の守備から若干ルーズな印象を受けるんですよね。


こんな風に岐阜の最終ラインのボール回しを442で迎え撃つわけですが、ボールを持っているボールホルダーに対してもそこまで厳しくプレッシャーにいくわけではない。パスが出て別の選手がボールを受けても、やっぱりあんまり厳しくいかない。すると、相手は余裕が生まれてしまう。


22分のシーンなんか顕著かなと思いますけども、ボールホルダーにプレッシャーがかからないので岐阜の選手は前向きにプレーできますよね?そうすると前向きのパスが出せるので、このように裏のスペースへスルーパスを通されるシーンを作られてしまいます。幸いパスが合わなかったので事なきを得ましたが、これを放置しているといずれやられてしまう。

相手の左右の揺さぶりに対して、しっかり対応してブロックがスライドしていく。そして継続的にボールホルダーにプレッシャーをかけていく。前半の途中からは改善されて安定しましたけど、この点は注意しておきたいポイントかなと思います。

グスタフソンの投入でギアチェンジする奈良


前半はショートパスで運ぶ意思を見せていた奈良クラブでしたが、後半はややロングボールを使って前線の強さをシンプルに使う場面を増やしていました。特に交代で入ってきたグスタフソンへの信頼は高いようで、起点となるプレーをしばしば見せていました。たとえば、68分のシーン。


このようにロングボールで中盤を省略してFW競り合わせてこぼれ球を拾う。あるいはスペースに流してグスタフソンに前を向かせるシーンが増えてきます。

さらには、岐阜の選手の体力が落ちてきたことで奈良の組み立てを邪魔する力も落ちてきます。そしてラインとラインの間にスペースができる「間延び」の状態になっていく。奈良としてはボールを持ちやすくなるし、FWにいい形でボールを届けやすい状態になっていきました。70分のシーンもGKからの展開でしたが、岐阜が戻り切れていないのでスムーズにタテボールを運びグスタフソンに届けることができていました。

そうすると、先ほど言った岐阜コートに入れれば攻撃の形を作れる奈良の良さが生きてくるわけで。この70分からのシーンも最終的にはクロスで攻撃を終えることができています。しかも決定機だったし!

逆転ゴールもグスタフソンの競り合いから岡田が持ち込んでミドルを突き刺したということで、後半に攻め方を変えた奈良の狙いが見事実を結んだかなと思います。


試合をふりかえってみて


選手のクオリティ的には岐阜の方が高い印象でしたし、岐阜は岐阜でそんなにうまくいっていないわけでもなかった。前半の終了間際にゴールを奪って折り返すという最高の形でしたし。ところが、あまりうまくいっていない奈良に決定機を2度も作られていたりと不思議な印象のゲームでもあったなあと思います。

奈良としては前半は攻守ともにやや苦しみました。決定機も逃してしまったしリードも奪われてしまった。しかし、後半岐阜の体力の消耗によりボールが動かしやすくなったこと。そして、グスタフソンをはじめとする交代策でのギアチェンジがうまくハマりゲームをひっくり返すことができたなと。

相手コートに押し込むと岐阜の守備をかなり困らせていたので、今後さらにボールが持てるようになるとその分だけ相手を押し込むことができるようになるでしょう。まだまだ課題もあるでしょうが、今後攻守ともにブラッシュアップしていけばさらにいいチームになりそうだなと思います。

奈良クラブのサッカーを楽しむために


ということで、奈良クラブについて1試合じっくりと観察してみました。いかがだったでしょうか?なんとなく試合を見るのも楽しいですが、「ここを注意して観てみよう!」ってフォーカスを絞って観ることができるともっと楽しくなってくるんじゃないかな?と思います。

ショートパスをつないでいくときは、いかにして相手の邪魔をかいくぐって前向きにプレーできる選手を作ることができるか?ロングボールでいくならば、どの選手だったら相手のDFを上回ってボールを収められるか?このあたりは注目ポイントになろうかと思います。

守備の方では442の守備ブロックがどれくらいコンパクトで、なおかつボールにプレッシャーをかけられるか?相手にいかに前向きを作らせないか?をしっかりと観察していきたいところです。

こんな風にサッカーを観て言葉にできるとサッカー観戦はもっと楽しくなっていきます。そういう仲間を全国に増やしたい!ということで、これまで培ってきた知識の中から厳選したテーマをピックアップして『やわらかフットボール』でお伝えしています。

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