『Jリーグの成長戦略と配分金』について語り合うファジサポのAとB
B「あの、あのさあ・・・」
A「お、どした?そんな難しい顔して」
B「なんかみんな”配分金”がどうたらこうたら騒いでてさ」
A「あー、お耳に入りましたかついに」
B「おれ今年からJリーグみはじめたじゃない?」
A「そうだね」
B「だから、みんなが何を騒いでるのかよくわかんなくて。なんか大変なことが起こるの?」
A「うーん、まあ大きい変化はあるかもね」
B「ちょっと、そのへんのことややこしいからAに教えてもらおうと思ってさ」
A「なるほど、Bはなにが知りたいの?」
B「いやー-それが自分でもよくわかんなくて」
A「ふむ、じゃあまずJリーグが何を言ってるのか?どうしたがってるのか?そのへんの話を説明しつつファジにとってどう影響がありそうか?みたいな話をしてみるかな」
B「おお、ファジにからめた話聞きたい!おねがいします」
Jリーグの成長戦略とは
A「話のとっかかりになるのは11月15日にJリーグからでたこんなリリース」
B「"Jリーグ新たな成長戦略とリーグ組織の構造改革について"か。すでにややこしそうな雰囲気がするな」
A「この中のまず”Jリーグの新たな成長戦略”についてだけど、Jリーグは今後こう動いていくよ!と宣言したことが2つある」
B「2つ」
A「ひとつめはそれぞれのクラブがより地元で際立った存在になるようにがんばっていくよ!ということ」
B「ふーん・・・」
A「まあ、これまでもJリーグクラブはそれぞれの地域に根を張ってやってきたわけだけど、Jリーグとしてもさらに徹底的に支援して今以上に地域で輝くようにやっていくよ!ということだね」
B「なるほど」
A「それぞれのクラブの特徴に合わせたサポートをJリーグからやっていったりするみたい。とくに現時点で力を入れるのは、地元への露出を大きくしていくってことみたいだね」
B「ファジとかはかなりTVとかでも見かける機会多いほうだと思うけど、それをもっともっとやっていくのかな?」
A「細かくどういうアクションが起こしていくのか?はわからないけど、露出を高めていくって言うんだからたぶんいろんなメディアで見る機会を増やしていくつもりなんだろうね」
B「地元でもっと人気な存在になるように!ってことでいいのかな」
A「まあ、いまのところはそんなイメージでいいんじゃないかな」
B「うん」
A「で、いま大きな話題になってるのが2つ目の”トップ層が、ナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く”こっちの話」
B「おお、これこれ!なんか騒いでるよね」
A「これは、Jリーグのなかでトップ10くらいのクラブが世界に出ていっても戦えるコンテンツになったり、国内で日本全国にファンがいるような人気のクラブに成長することで、Jリーグ全体の成長を引っ張ってもらおう!ということなんだよ」
B「うん?うん?どゆこと?」
A「サッカービジネスの中で金額的にいちばん重要とされるのは放映権料なんだ」
B「放映権料?DAZN?」
A「いまはDAZNだね。Jリーグを放映してお客さんに見せる権利を、やりたい!放映したい!って会社に売る。それで得たお金が放映権料ってわけ」
B「そこはだいじょうぶ」
A「Jリーグがやりたいのは、放映権料が入ってくる金額としては一番大きいんだからそれを伸ばしていきたい。もっと、Jリーグに入ってくるお金を増やしたいってことなんだよ」
B「うん」
A「じゃあ、そのためにはどうするの?ってなると、”Jリーグを観たいな”って人を世界中に増やす。そして日本の中でももっと増やす」
B「よその国のひとやこれまで観てなかった日本のひとが”Jリーグを観たい!”ってなったらどうなるの?」
A「今以上に見たい!ってひとが増えるとJリーグを放映する価値が上がる」
B「うん?価値が上がるとどうなるの?」
A「2017年にJリーグはDAZNと10年間で2100億円で放映権の契約をしてる。そこからさらにJリーグ自体の魅力が上がって人気が出たら、その2100億円がさらに大きな額になっていく可能性がある」
B「もっと高値で売れるようになるってことか」
A「そういうこと。そこの入ってくるお金を増やすためのカギになるのが、トップ10くらいのクラブの人気なんだってさ」
B「ほええ?」
A「たぶん、よその国のリーグでもそうなんだろうと思うけど、トップ10くらいのクラブが要はそのリーグ一番の看板商品みたいなもんなんだと思うよ。そのトップ10の人気の高さが決め手になるらしい」
B「なんか、週刊少年マンガ雑誌にも似てるな・・・」
A「そうそう。”あの雑誌にはアレが載ってるからな”ってのはかなりデカいじゃない?」
B「そこはめちゃくちゃデカいね。特に気になる作品を読みたくて買ったりするからね。ついでに、他の作品も読んだりして」
A「Jリーグも同じでよそから見て”あの人気クラブはJリーグにいるチームなんだな”となれば、注目度が変わってくるのかもしれない」
B「いまはそういうクラブはないの?」
A「いくつかそれっぽいところはあるっちゃあるけど、そのくらいの人気クラブになるには多少の成績の落ち込みがあってもある程度継続して強くないといけないよね」
B「週刊少年マンガ雑誌も切れ目なくトップ人気の作品がないと人気が落ちてっちゃうもんな」
A「欧州なんかだとそこの強いクラブとそうじゃないクラブの差が激しいところが多くて、トップクラブは常にトップ争いをしているイメージ」
B「ずーっと強いところは強いんだ?」
A「そう、だから人気も継続するし、よそから見ても名前が知れた有名なクラブになるんだろうね」
B「なるほどなあ」
A「数年単位では強さをキープできるところがいくつかあるけど、5年・10年くらいのスパンになるとそうでもなかったり、なかなか中長期で安定して勝てて強いってクラブはJリーグにはあんまないかもね」
B「ここまでの話だと、そういう強いクラブ10個くらいが出てきてJリーグそのものに人気や存在感をアップさせたい!って感じで思っておけばいいのかな?」
A「うん、そういうイメージでいいと思う。ここまでの話を簡単にまとめると、Jリーグは地域でもそれぞれのクラブがもっと存在感をもつようにしたい。そして、海外や日本国内でもさらに人気を集めるようなトップクラブが出てきて、Jリーグに入ってくるお金が増えて成長できるようにしたい。こんな感じじゃないかな」
B「でもさあ?Jリーグがさらに放映権料をもらえるようになったらどうなるの?」
A「そこ、気になるよね」
B「ジャンプがサンデーとかマガジンとしのぎを削ってるみたいに、Jリーグもしのぎを削って切磋琢磨したいのはわかるのよ」
A「うん」
B「でも、それでJリーグが儲かったらどうなるんだろう?ってさ」
A「そう、そこで大事なのが配分金なんだ」
B「お、やっと出てきたな!」
A「自分も配分金については詳しく知らないんだけど、Jリーグから各クラブから支給されるお金のことを配分金というのね」
B「ほお、Jリーグからクラブにお金が入るんだね?」
A「そういうこと。では、Jリーグの稼ぎがイマイチだと配分金はどうなるか?」
B「そりゃあ・・・そこから配分金が出るわけだから、イマイチになっちゃうんじゃない?」
A「そうならざるを得ないよね。配分金にはいろいろ種類があって、ACLに出たらいくら〜とか、降格したチームにはいくら〜とか、使い道によっていくつかあるわけ」
B「へえー!それは知らなかったなあ」
A「たとえば均等配分金っていうのがあってね。今季はJ1が3億5千万円。J2が1億5千万円。J3は3000万円だったらしい」
B「これは、みんなもらえるお金?」
A「そういうこと。成績とか関係なく、各カテゴリーのクラブに均等に支給されるお金」
B「ほお」
A「さっき言ったJリーグのやりたい2つのことを達成していくために、この配分金を配るやり方を変えていくよ!ってのがいま話題になってるわけさ」
B「配分金配分金ってみんな言ってるのはそれか」
A「具体的にどうするのか?Jリーグがいま言ってることが2つある」
B「うん」
A「ひとつめは配分金の支給の仕方について、J1に手厚く支給するやりかたに変えるよ!ってことだね」
B「むむむ」
A「ファジはJ2だから、ここの変化はかなりダイレクトに影響してくるかもしれない」
B「気になるなあ」
A「これまでのJ1:J2の配分金比率は2:1くらいだったのね」
B「へえ」
A「ところが、スペインとかだと1部:2部は、9:1らしい。ドイツでも6:1くらい」
B「えええ、1部が圧倒的にもらえるじゃん!」
A「なぜか?というと、さっき言ったトップクラブがリーグの価値を上げてバンバン稼ぎ頭として動いてくれるかららしい」
B「ほお」
A「そうして稼いだ分はリーグに還元されて、分配される形になってると」
B「うん」
A「だから、J1に手厚い支給して稼げるトップクラブを出していく。そうしてJリーグが稼いだ分はそれぞれのクラブに恩恵として支給される。たぶんこういうことだと思う」
B「なるほどなぁ・・・」
A「トップにはいるクラブには順位に応じてそういう配分金も支給されるみたいだから、より有利な報酬を得るために競争はより一層激化していくかもしれないね」
B「なんかJ1は派手になっていきそうだね」
A「そうかもしれないね」
B「この変化をうけて、ファジにとってはどんな影響があるの?」
Jリーグの成長戦略でJ1昇格レースはどうなるのか?
A「ちょっと、前置きが長くて悪かったけど、これを受けてJ2やJ1昇格レースがどうなりそうか?について話してみようか」
B「待ってました!!」
A「配分金をどう支給するか?細かい取り決めについてはあらためてリリースがあるはずだから、詳細については現時点では不明」
B「うん」
A「明らかにJ1に手厚くなるわけで、その分J2は減るのは間違いないだろう。そうなるとどうなると思う?」
B「うーん。J1にいるチームはたくさんもらえて、J2にいるチームはだいぶ少なくなっちゃうわけだよね」
A「そうだね」
B「うん?するとJ1から降格してくるチームはどうなるんだ?えーと、もともとJ1なわけだからたっぷり配分金をもらった上で降格してくるわけだよね?」
A「いいね!現時点でわかることは少ないけど、ひとつ言えそうなことは"J2に降格してくるJ1クラブはよりムキムキで落ちてきそう"ということだね」
B「まじかよおおおお!」
A「そもそもJ1昇格レースってのはね?」
B「(やべ、この話Aに火がつくやつだ)」
A「J1経験クラブ、つまり一度でもJ1に在籍したことがあるクラブが昇格枠をほとんど占めてしまうような争いなんだよ。あれ、これ前言ったっけ??」
B「はい。すでに3回くらいお聞きしております」
A「あ、そう?じゃあ、そこははしょっていいか苦笑」
B「うん、大丈夫」
A「今後は落ちてくるJ1クラブがよりムキムキになって落ちてくるわけで、さらにはJ2クラブがもらえる配分金は減っていく。となると、相対的に落ちたばっかのクラブがより有利になるケースが想定されるんじゃないかなと」
B「落ちたクラブが一年ですぐJ1に戻ってくみたいな?」
A「イメージとしてはそんな感じかな」
B「ええっ?それは厳しいな」
A「ゆくゆくJ1もJ2もJ3も20クラブずつになるから、昇格や降格のチーム数とかはまた変更があるかもしれない。いずれにせよ、J1からJ2に落ちたクラブは翌年の昇格候補筆頭にそのままなるケースが増えるかもしれないね」
B「今年のファジでもなんとか3位になったってのに、今後はさらにその3位以内に入るのすら難しくなるかもしれないのか」
A「その可能性は考えておいた方がいいかもしれんね」
B「ああ、そういえば・・・」
A「ん、どした?」
B「ファジの北川社長が今年の新加入発表の会見で言っていたような・・・」
A「よく覚えていたね。この中で北川社長は"市民クラブがJ1を目指せるのは遅くても2025年くらいまでではないか?"という見方を示してる」
B「2025年てもうすぐじゃん。それに確か2022年と、2023年の2年でなんとかJ1に行きたい!って話だったよね?」
A「その通り。当たり前のことかもだけどJリーグ側のこうした意向はクラブにも伝わっていて、それを踏まえて考えるとファジアーノ岡山が市民クラブのままJ1を狙うならもうあと少ししかチャンスできる年がないってことなんだろうね」
B「厳しいなあ・・・」
A「J2民としてはJ1昇格のハードルは今後どんどん高くなる。というか、DAZNが来てからずっとハードルは上がり続けていて、今後はさらに上がってしまうという流れなわけさ」
B「なんか、複雑だなあ。Jリーグがえこひいきというか、J1の方を手厚くすると、J2クラブを応援している身としては不利ばっかりな気がして」
A「・・・うん。ここは簡単な話じゃないし、それこそジャンプじゃないけど、看板作品がバンバン稼ぐから名前は売れてないけど才能ある新人作家が連載デビューできたりするわけでしょう?それと同じようにJリーグ自体が稼げなくなれば、そこに所属しているクラブに配分できるお金も少なくなる。それが、全国にあるJリーグクラブの成長、ひいては日本サッカーの成長って観点から見ればどうなのか?という話はわからない話じゃない。これは難しいよ」
B「でも、ファジはまだチャンスがあるんだよね?」
A「うん、社長が明言しているように2023シーズンはまた勝負ができるはずだから、Jリーグの変化が定着して昇格レースが厳しくなる前にもうひと勝負できるんじゃないかな」
B「なんか、すごい時期にファジサポになったんだなおれは・・・」
A「そうだね。すこし明るい情報を最後に紹介しておくと、Jリーグはこうも言ってるんだ」
B「おお、何なに?」
A「配分金を配る割合について、同一カテゴリーの中でも競技成績やファン増加などの成果に応じた配分へと段階的にシフトしていくらしい」
B「ふむ?」
A「成績はもとより、クラブがどれだけがんばってお客さんを集めたか?とかクラブの取り組み自体を評価して配分金の比率を決めるってことだね」
B「おお!」
A「ファジはJ2ではかなり集客の優秀なクラブだから、そこを評価しないわけにはいかないだろう。単純な成績だけじゃなくてそういう面でも配分金を多くもらえる可能性はあるね」
B「J2だと成績はいいのに、集客で苦労してるクラブもあるもんね。あんまよそのことを言ってはいけないけど」
A「そうだね。それぞれに取り組みや事情があるからあれだけど、Jリーグが地域でより輝いて欲しい!と言ってるのに、"お客さんはあまり入ってません"ではどうなの?ということもあるかもしれない」
B「なんだか、大変な時代になりそうだなあ」
A「まあ、古くから海外のサッカーとかで他国のリーグとかカテゴリーの差なんかを知ってる人だと、"まあ、普通じゃね?"ってなる話かもしれないけども」
B「そうなんだ」
A「自分なんかもサッカーファン歴が長いから、もともとそういう世界だって認識はあるね。まあでも、実際にスタートしてみないとわからないよ。どういう変化があってもできることをやっていく。それ以外にないね」
B「そうだね。おれはファジがずっと好きでいられるならいいわ。もちろんJ1には行ってみたいけど」
A「2023年がその年だよBくん!」
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