『本山遥の東京V戦』について語り合うファジサポのAとB
「あの選手使えねー」「いらねー」みたいな声をどう考えるか
B「あのさあ」
A「お、どした?」
B「東京V戦みたよね?」
A「もちろん観た」
B「あの試合の2失点目、本山遥がバックパスをミスっちゃったじゃない?」
A「うん」
B「それもあってか現地で試合観てて、ブツブツ”本山dis”を延々やるヤツがいてさ・・・なんかめっちゃムカついて!!!」
A「あー・・・それは災難だったね・・・」
B「試合に負けたことも悔しいけど、そういうことがあったから余計モヤモヤするし、イライラするし!!」
A「うん」
B「どうにもなんないからAと話そう!と思ってさ。ちょっと付き合ってくんない?」
A「おお、いいよ」
B「おれはうまく言葉にできないんだけど、Aもこういうのたくさん見てきたでしょ?」
A「こういうの?」
B「なんかある選手が重大なやらかしをしてチームが負けちゃったりするとか」
A「うん」
B「ミスばっかで足を引っ張っちゃうとかさ」
A「うん」
B「そういうときどう考えたらいいのかなあ?ってさ」
A「そうだなあ。まあ、サッカーの試合をどう見るかとか、”応援すること”をどう考えるかはひとそれぞれだけどね」
B「うん」
A「簡単に言えば”いいこともわるいことも共有するのがチーム”ってもんで、ファン・サポーターはそういうものを見てるんだってことかなあと」
B「ほお」
A「今回だと本山遥が重大なミスを犯して、チームの可能性を狭めてしまったでしょ?」
B「うんうん」
A「たしかにそれ自体はよくないことだし、批判されるのは仕方ないと思うんだ。絶対にやってはいけないミスをやっちゃったわけだからね」
B「まあ、それはそうかもしれない」
A「観客の期待も裏切ることになるから、不満をあらわにする人も出てきちゃう。Bが現地で近くにいて迷惑をこうむったようにさ。」
B「思い出すとまたムカついてきたわ」
A「ただ、知っておかないといけない大事なことがあって。サッカーにはいいこともわるいことも起こるから、観客が都合よく”いいところだけ”を抜き出して味わうなんてわがままは通らないんだよ」
B「あー・・・全部受け入れないとダメってことなんだな」
A「そういうこと。Bが東京V戦でイラついたヤジラーなんかは、”自分の満足いくものを見せてくれ。それ以外はいらない”って心構えで試合に臨んじゃってるわけだ」
B「なるほど」
A「だから、自分の期待にこたえない選手は”いらねー”とか”つかえねー”みたいな考えになるのよ。邪魔に思えちゃうんだな」
B「うーん・・・」
A「でもさっきもいったように”サッカーにはいいこともわるいこと起こるし、それを共有するのがチーム”だからさ」
B「うん」
A「本山がミスったからって”じゃあ使えないんで要りません”みたいにつまはじきなんてできないし、絶対にしちゃいけない。そんなもんはもはやチームとは呼べない」
B「そうか、仕事でも誰かミスったら他のひとがカバーしてなんとか回していったりするけど、サッカーもそこは変わんないってことか」
A「いいたとえだな。そもそもサッカーなんてものはどれだけうまくミスと付き合えるか?を競うようなゲームなんだと思うわけよ。ミスのスポーツと呼ばれるくらいなんだしね」
B「なるほど」
A「ミスは0にはならないから、なるべく減らす。それでもミスは起こるからどうカバーするか?そういうものだと思っておくのがいいと思う」
B「サッカーをどうとらえるか?みたいなことか」
A「今回は大きいミスが起こったからわーわーいう人がでてるのかもしれないけどね、ではなぜ本山遥はここまで試合に出られるんだろう?と考えてみるといいんじゃないかな」
B「え、どういうこと??知りたいなそれ」
A「だって、本山遥はたしかにパスミスが多いし、今回は重大なエラーを起こしてしまったわけじゃない?でも、木山監督は試合に使ってきた。試合には成果を出してチームを助けられる選手が基本出るもんでしょ?」
B「そうだね」
A「じゃあ、なんで本山遥が試合にこれだけ出られたのか?」
B「・・・考えたことないな」
A「それはミスのマイナスを上回るものを本山遥がもたらすことができると信頼されてるからでしょう」
B「あーそうか!」
A「完璧な選手がこの世に存在しないように、どの選手にも一長一短があってさ。いいところとわるいところは、選手個人の中にも同居してるわけだよ。それが個性だし、それをどう組み合わせてチームにするかって話じゃない?」
B「あー・・・おれもうまいやつをできるだけならべりゃいいんだとしか思ってなかったわ」
A「ということは、ひいきのチームを応援するときに、都合よくいいところだけを抜き出して味わいたいってわがままもなかなか通らないよね。やっぱり」
B「ああ、ちょっとわかった気がする」
A「今回の本山遥のミスがらみではいろいろと語っておきたいことがあるんだよ」
B「というと?」
A「ちょっと手前味噌になっちゃうんだけど、本山遥があのミスパスをしたことについて自分はそこまで驚かなかったんだ」
B「えー??どうして?」
A「それはここまでプレーを観察してきて”本山遥ってプレーヤーはこういうひとだな”って特徴が頭に入ってるからなんだ」
B「Aから見て本山遥はどんな選手に見えるの?」
A「まずは、対人守備がとてもうまい選手ってことだね。とくにキレイなタックルをするのでクリーンに相手を止める印象が強い。あとはあのスピードと豊富なスタミナだな。これも抜群だよ。カウンターで抜け出したFWを後ろから追いかけて捕まえてノーファウルで止める選手なんて久しぶりに見た気がする」
B「ほええ・・」
A「ただ、攻撃面は課題だらけだ。とくにボールを受けることやその準備はいいとは言えない。そしてパスの出し手としての力はさっぱりダメだね。これは受け手となるアタッカーと意図が通じてないシーンがほとんどだから、本山遥から効果的な攻撃が組み立てられる可能性は現状ほとんどないと思う」
B「あのさあ、なんか観察するコツとかってあるもんなの??おれ全然そんなこと意識してなかったから、なんとなーくイメージでしかとらえてなかったんだけど」
A「コツは”この選手どんなひとなんだろう?知りたいな”って思うことくらいだよ」
B「それだけ?」
A「そう。あとはその選手がいいプレーしたとき、よくないプレーしたとき、”このひと何が得意なんだろう?何が苦手なんだろう?”って観察する。それを積み上げていけば”ああ、この選手はこんなひとなんだな”ってのが少しづつ固まってくる」
B「ほえー」
A「だから、あのミスパス見ても、そこまでに積み上げた本山遥の印象があるから”ああ、あるかもな”ってなるんだよ。しかも、この試合ではほとんどやってこなかった右SBに途中からシフトしてすぐのプレーだったでしょ?」
B「そうだったね」
A「長らくやっていなかった定位置に戻ると風景も注意点も変わるから、そこの切り替えもスムーズじゃなかったんだろう。そう思ったな」
本山遥のバックパスと木山監督の選手育成
B「ボランチにコンバートされたのもシーズン開幕からなかなかのサプライズだったよね」
A「そう、だから本山遥は中盤でボールを受けるとか、さばくとかについてあんまり経験値を持ってない。そもそも、SBの選手なんだからそれも当然なんだよ」
B「経験値が少ないからミスも増える?」
A「そりゃもちろん。Bは昔居酒屋でバイトしてたでしょ?」
B「お、懐かしいな笑」
A「あのときずっとホールしかしてなかったけど、急に”はい、突然ですがあなたは今日から調理場です”って言われて配置かえられても戸惑うじゃない?」
B「そりゃ、厳しいな」
A「できちゃうひともいるかもだけど、そうそううまくはいかない。まあ、サッカーとは違うとはいえ通ずるところはあると思うんだよね」
B「そうだね」
A「だから、本山遥が中盤でエラーを起こす可能性を当然監督は許容してるわけだよ。やらせてるんだからさ」
B「そうかーそうだよな」
A「どうして試合でエラーが出るだろうってわかってるのに木山監督は試合に使うんだろうな?はい、Bくん」
B「ええっ?急になぞなぞきたな。なんだなんだ?うーん。ああ、さっきAが言ってたそれを上回るプラスがあるから?」
A「それもあるね」
B「え、"それも"?ほかにもあるの?」
A「ここまで木山監督のコメントとか読んでると印象的なのは、”わかいうちはいろんなポジションを経験しておいた方がいい”ってやつがあるんだよね」
B「ほお」
A「SBで使えばそれなりに出来るだろうけど、ちょうどほしいポジションに試したい本山遥がいた、と。使えばエラーは起きるだろうけど、木山さんはそうやってリスクとって若い選手をどんどん使うのが大きな特徴の指揮官だと思うのよ」
B「たしかに、佐野航大だってそうだったもんね」
A「でしょう?そうやって成功と失敗を経験させて、どんどんできることを増やさせていく。そうしてチーム力を上げていくのが木山さんのやり方なんだろうと思う。だから、若手が伸びるんだろうね」
B「そうか、チャンスをもらえるもんね」
A「この試合だって急にSBに戻されたら戸惑う。でも監督はそこも織り込み済みだと思うよ。そのうえで”やってみろ”ってのが木山流なんだろう」
B「肝が据わってるな・・・」
A「このくらいデカいミスをして、本山遥は試合後何を語るか?注目してみよう」
B「プレーの選択を悩んで中途半端なプレーになってしまった」
A「これを本山遥はずー-っと覚えてると思うよ。忘れられないはずだ」
B「試合後感情にも出てたもんな・・・」
A「もし、次にプレーを迷う局面を迎えたとき本山遥はこのシーンのことを思い出すはずだよ。そうなったときにどうできるか?」
B「うん」
A「この試合での失敗がなければ踏めるステップもないわけだよ」
B「そうだなあ・・・」
A「本山遥自身もどうやってこの失敗を糧にするか絶対考えてるはずだから、そういうことを積み上げて成長していくんだと思うんだよね」
B「さっきAが言ってた本山遥の特徴さ」
A「うん」
B「観察してるからいいところそうじゃないとこがわかるって話だったでしょ?」
A「そうだね」
B「ということは、うまくないところがどうよくなっていくんだろう?って観察するテーマを持てるってことでもあるなと思った」
A「めちゃくちゃいいこと言うな。できなかったことができるようになること、それが成長だもんね」
B「だから、ちゃんと観察することが選手が伸びてもっといい選手になっていく過程を見守るカギなんだなぁって」
A「そうそう。本山遥なんてポテンシャルは十分だから、上手く成長していけば思ってたよりももっともっとすごいプレーヤーになるかもしれないよ。そういう意味では佐野航大以上に自分は楽しみにしてるもん。のびしろがすごいから遥は」
B「楽しみだなあ」
A「個人的に本山遥は好きな選手なので、長く岡山を支える選手になってほしいと思ってるよ。素質はあるし、ひともいい」
B「そうだね」
A「あと声がめっちゃええ声」
B「そこもかよ笑」
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