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東映「警視庁物語」シリーズを全部観たという話

「刑事モノ」というドラマのジャンル、和洋問わずに好きです。もっとも今はTVを持たない事にしているので最近のそれは全くわからないのですが。
2004年の地上波放送を観たのか、それともスカパーのAnimaxだったのか、もう記憶も定かではないけれど、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」を観ていた時に母が(押井版「攻殻機動隊」ばかりか「ブレードランナー」も大好きで、P.K.ディックの「電気羊…」まで読む人でした)「これって刑事モノだよね」と、いきなりこちらにストレートな剛速球を投げつけてきた事があって、古い「刑事(デカ)モノ」やら時代劇を再放送で見まくっていた登校拒否児時代の記憶がドカッと降り注いできたのを覚えています。「太陽にほえろ」よりも「特捜最前線」の方が好きでした。変な子。

…で、いわゆる「刑事モノ」のパイオニアであろう所の、犯罪捜査群像劇である映画シリーズ「警視庁物語」、すごく観たかったのですが、名画座ではなかなか掛からないし、ビデオのレンタルも見かけたことが無い(スカパーはもうとっくに解約してしまったし)、わたしにとって幻のシリーズでした。
ですが!
今はAmazonPrimeの(「東映Junk Films」改め)「Toei On Demand」や、U-Nextで観られるっていうんだから、マジ生きていてよかったっす。

さて、シリーズ全24本(1956~64)の具体的な内容や解説、考察は偉大なる先人がすでに書かれておりますので、そちらをご参照いただきたく存じます。
映画の國 コラム『日本映画の玉(ギョク)』 Jフィルム・ノワール覚書⑦『警視庁物語』の時代

で、全部見終わった感想ですが、これ、(昔の)東映好きの人ならニヤニヤしちゃう事間違いなし。潮健児や今井俊二、曽根晴美、谷本小夜子たちが出てくる度に(はい、シリーズを通して何度も別人役で出てきます。「仁義なき戦い」方式のスターシステムです)、「ヨッ!待ってました!」「日本一!」とか声をかけたくなります。でも気を抜いていると沢村貞子や佐久間良子、こまどり姉妹まで出てきます。すごいな。

お話の内容も戦後から高度経済成長期へと進む時代背景を写したものが多いのですが、やっぱり、刑事モノはスマホはもちろん携帯電話、ネットの影も形も無い時代の方が面白く作れるんだなと思います。もしゲームで刑事モノ作るならこの辺りを踏まえて、時代設定はがっつり昭和中期にした方がいいだろうなとも。売れないでしょうけども。
だって、犯人を追跡しながら公衆電話や喫茶店、下手したら聞き込み先の民家の電話を借りて本部と連絡するんですよ?データベースなんか無いから、刑事がみんな残業して台帳をペラペラ一枚一枚読んで前科者の中から容疑者探すんですよ?犯人のモンタージュをつくるのに絵のスライド使うんですよ?超面倒くさい地味な捜査の果てにやっとホンボシらしき奴を洗いだしたら、とっくに死んでんですよ?でもでも、最後は悪党は捕まって手錠をかけられて、でっかいテロップで
刑法240条「強盗人ヲ死ニ到シタル時ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス」
とかってドーンと出て終わるんですよ?
めっちゃ最高に暗くて、でも、面白いですよね?ね?(書いていて不安になってきたぞ)

すべての人に、おすすめなんか出来ません。そういうのはもっときちんとした方々にお任せします。こんなひどい紹介でも、誰かひとり、一人だけでも興味を持っていただければ幸いです。(この項、まだ続く予感)

(文中では敬称を略させていただきました。
Dedicated to オールド東映オールスターズ)

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