インベーダーゲーム 2話
2話
◯2階 衣服売り場
リョウ「どこだアイツ」
フミオがエレベータで2階に上がったところ、リョウはフミオを見失った。
スポーツウェア売り場には誰もいない、女性の下着売り場に目のやり場に困るリョウ、何かを見つける
リョウ「お前!! 何やってんだ」
女性下着売り場に下着を両手に持ち、パンティーを頭に被るフミオがいた
フミオ「履いてるやつが良かったなァやっぱり、何すんだお前」
フミオから下着をもぎ取るリョウ
リョウ「やめろ、やめろ離せ!!」
フミオ「うるせぇ、人間なんて皆死ぬ!! 日本はもう終わりだ! 」
下着の取り合いをする2人
ガシャンギィと、シャッターをナイフで切り付けている音が遠くからする
取り合いを止める2人
何かを引きずって歩く音がどんどん近づいてくる
リョウ「おい隠れろ、あいつらだ」
下着売り場の物陰に隠れる2人。
リョウ「あの靴は、ミナ……?」
2人の前を通過したのは、ミナを引き裂いたインベーダーだった。ボロボロの衣服や血まみれの靴、ミナの体だったものを引きずってフードコートの方へ移動している。今、2人の目の前を歩いている。
フミオ「今、デケー声出したら俺もお前も捕まっちまうなァ」
話し出すフミオ冷や汗が出るリョウ
フミオ「俺が死んだらみんな死んじまうかもなァ
嫌ならヨォ、もう1人のあのガキとヤりてぇな」
リョウの眉間に皺がよる
フミオ「5秒以内に決めろ、答え次第で叫ぶ」
ごぉ、どうする? どうすりゃいい
よぉん、モモは絶対守る。手なんて出させねぇ
さぁん、こいつを殴って少し気絶させるか
にぃ、仕方ねぇよ必要な暴力だろ? だよなアキト
いち、やるしかねぇ
リョウが拳に力を込めたその時
ジリリリリリリリン、ジリリリリリリン
リョウのスマホが鳴る。アキトからの着信だった
フミオ「チッ」
着信を拒否し、呼び出し音を止める。
助かったが、インベーダーに見つかった、どこに逃げようかとリョウが走り出そうとしたとき
インベーダーは音に反応せずに2人の前を通り過ぎていった。
リョウ「通り過ぎた? 音は聞こえてただろ」
◯2階 奥トイレ
モモノと合流したアキトとマキは、アキラのオムツ替えとモモノを落ち着かせるために100円ショップの近くのトイレへ逃げた。
敵に囲まれやすいため100円ショップとスマホ修理館の間にバリケードを築いた。休憩用のソファや植木鉢を置いた簡易的なものだ。
アキラ「あーあぁぁぁー」
ご機嫌でマキに抱かれるアキラ
暗い表情のモモノ。赤子を見つめる
マキ「よかったねーきれいきれいだね」
きゃははと笑うアキラ
モモノ「かわいい、手握ってみてもいい? 」
少し顔色が明るくなったモモノ
マキ「触ってごらん。ゆっくり」
アキラの握っている手を触るモモノ
アキラはモモノの人差し指を握り込むと笑みを浮かべた
唇を振るわせ泣き出すモモノ
見つめるマキ
マキ「私、あなたと初対面だし歳も違うけど、子を持つ親だから言えることはねああなるのは私だったかもしれないし、あなただったかも。この後もいつ死ぬかわからない。怖いよね。
私はミナちゃんが繋いでくれたもの、無駄にしたくない。私も未来に繋げたい。だからあなたのこともこの子のことも全力で守る。私がいなくなったらこの子をお願い。あなたもまた未来を繋いで」
アキラが笑う。モモノは涙を拭い、アキラに笑い返す
モモノ「マキさんも、みんなでゴールしよあたしも頑張る」
マキはアキラを挟んでモモノとハグをしながら
マキ「うん! 行こう、きっと大丈夫だから」
アキト、トイレに入ってくる
アキト「2人とも、監視カメラ室、入れた! ゴールの位置もインベーダーの配置全部わかったよ、それと」
リョウも続いて入る
リョウ「久しぶり!! 」
モモノ「リョウ、無事だった、良がった」
また泣き始めるモモノ
リョウ「おい泣くなよ俺は強えから当たり前だろ」
アキト「おじさんも無事だよバリケードの内側にいる」
マキ「良かった、これからのこと考えようみんなで」
数分前…
アキトは100円ショップの奥に関係者以外立入禁止の監視室を見つけていた。
アキトはリョウに電話するが出ない。留守電を入れた。その後すぐに着信
リョウ「もしもしアキト? 」
アキト「僕だよ、こっちは監視カメラを見つけた。館内丸わかりさ、ゴールの位置も把握した、そっちは無事か? 」
リョウ「ナイス! こっちは今インベーダーいた。ミナの、ミナを持ってた」
アキト「ミナは僕らを守って‥インベーダーに」
リョウ「メソメソしてる暇ねぇ、アイツのためにも俺たちが脱出すんだ
あとインベーダーのことだ、先のやつが俺たちの目の前を通った時ちょうどお前からの電話が来た」
アキト「ご、ごめんそれは」
リョウ「あいつ俺らのこと無視して行ったんだ、襲われなかった」
アキト「音に反応しなかった? 」
リョウ「そうかもしれない、姿は完全に隠れてた音に反応しないやつなのか? 」
アキト「個体ごとに性能があるのかも。僕らがペットショップでみたやつは目っぽいのがなかった。ペットショップのやつは耳っぽいとこが空洞で音を拾う個体、ミナを殺したやつは目がいい個体なのかも」
リョウ「試してみるか? 」
アキト「試すって? 」
リョウ「アイツんとこ行ってくっから」
アキト「無理はすんなよ、僕らは100円ショップの奥のトイレにいる。まっすぐはシャッター閉まってるから着物屋の方から回って、おじさんのことも連れてきて」
リョウ「おしっ、わかったじゃあな」
現在 ◯2階100円ショップ前トイレ
アキト「これから目指すのは、クリア条件の達成とミッションクリアです」
リョウ「アキラくんとおっさんの生存でゴールだな」
マキ「ミッションいくつあったかしら」
モモノ「2つだったよね、アキラくんを見つけ出し、マキさんと合流はクリアしてるし」
リョウ「全部クリアしたか? 」
アキト「いや、もう1つある。インベーダーの正体を暴くってやつ」
モモノ「あったっけ? そんなの」
リョウ「まぁ大部分はわかってきたな」
モモノ「インベーダーは全部で何匹なの? 」
アキト「監視カメラから見るに、3匹。フードコートに2匹、1階に1匹」
リョウ「で、俺が確かめてきた所、3匹には性能差があるっぽい」
マキ「性能差? 」
リョウ「はい、ミナを襲ったアイツは目と攻撃に特化してる。ペットショップ
のアイツは音特化だ」
マキ「いつの間に行ったの? 危ないことはダメよ」
リョウ「サーセン、音特化は音をよく聞き取る。攻撃の手段はないからアラームを鳴らして仲間を呼ぶ。仲間としてきたのが3匹目」
アキト「リョウが隠れて取ってきた動画に3匹目が写ってます」
みんな3人がリョウのスマホを見る
フミオは端っこに佇み黙っている
リョウ「お前も聞けよ話」
フミオ「聞いているよ、もう観念だ逃げねぇよ」
説明を続ける
アキト「3匹目は羽が生えててスピード重視、でも音も目も特別秀でているわけじゃない。ここ2匹目のアラームを目印に加勢に来てる」
リョウ「で、この真ん中の口で」
3匹目が大きな口で犬を食べている
マキ「あぁ、ワンちゃん」
モモノ「これで全部なのね」
アキト「今は3匹ともフードコートにいる」
モモノ「ゴールはどこなんだっけ、見つけたのよね? 」
アキト「それが… フードコートなんだ。ゴール」
マキ「それじゃあ敵に向かって行かなきゃいけないのね」
うなづくアキト
リョウ「作戦を考えてみた、2班に分かれて、2つの道から行く。シャッターが閉まってる方からリョウ、おじさん、反対側から僕、マキさんアキラくん、モモノで行こうと思う」
3人が頷く
あアキト「カートとそれから消化器持って強行突破って感じだ、おじさんとアキラくんを最優先でゴールさせる。」
マキ「最後のミッションはいいの? 」
アキト「はい、ミッションはクリアしなくても出られるみたいなのでまずはゴール最優先で、」
モモノ「ねぇ、おじさんは? 」
おじさんがいなくなっている
リョウ「さっきまでその辺にいたはずだ、俺が探す。みんなは位置についてくれ、いたら連絡する」
◯シャッター前
フミオ「あーアイツら仲良し団結しちゃってさァ。気にくわねぇ」
1人歩くフミオ
フミオ「ゴールの場所は分かってんだ俺1人でゴールしてアイツらを殺すように宇宙人に言ってやる、ガキくせに俺の言うことも聞かねぇ、お仕置きくらいいるだろ」
フミオはシャッターを開けようとするが
フードコート側からシャッターが破られてしまう
バギバギバギバギ
鉄の扉を触手が貫く
フミオ「なんだお前は」
フミオの目の前には、これまでのインベーダーとは違い、人の形を成していた。頭がパカりと開き、そこから無数の触手がうねり出ている
目は白く濁り、耳は枯れた緑色で、つま先が、少し宙に浮いている
フミオ「あ、ああああ、」
フミオは触手に絡め取られてしまう
肥えたフミオの体が触手によって締め付けられる
口の中から太い触手を出すとフミオの額に当て、ブチュリと突き刺した
フミオは圧迫された苦しさで泡を吹き、額に刺された触手の痛みから白目を剥いて気絶してしまった
リョウ「おっさん!! おい起きろ」
フミオが脳を吸われる寸前で、リョウはインベーダーにカートをぶつけ、助けた
フミオは額に穴を空けられてしまったが、かろうじて生きているようだ
ゴホッ、ゴホッと呻き声をあげながら目を覚ました
フミオ「うんほぉ、お、おっ」
だが意識は不明瞭のようだ
人型インベーダーと睨み合いながら
スマホを取り出し、アキトに電話をするリョウ
リョウ「アキト、作戦は中止だ
新しいインベーダーがおっさんをやっちまった」
アキト「無事か、どんなのだ、目か口か? 」
ペナルティ! ペナルティ!
アイタミナ 脱落ペナルティ
インベーダー 1体追加
館内放送が流れる中、震える声で話すリョウ
「人間みたいなんだ、人型で、見た目は‥‥ミナにそっくりなんだよ」
たくさん書きます