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インベーダーゲーム 3話


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3話
アキト「ミナの、インベーダー……?」
モモノ「どういうことよ、ミナのインベーダーって! 
ミナはもういないのに」
リョウ「わっかんねぇ、おっさんもヤベェ、他の奴らまで集まってきてる、でも…ミナの…あっ、ああ…」
通話が途切れてしまった
モモノ「ねぇ、リョウやばいんじゃないの? やられちゃうかも」
アキト「でもみんなで行ったら共倒れだ、別の作戦を考えよう」
マキ「リョウ君がピンチならそっちに加勢に行ったほうがいいよ、2人が死んじゃうのが一番ダメよ」
考えるアキト
モモノ「あたし達マキさんとあたし、アキラで下から行くのはどう? だって2階に集まってきてるからさ」
アキト「無茶だ、危険すぎる」
モモノ「ちょっとくらい無茶しなきゃ全滅するわ、やってみるべきよ」
アキト「ルートは? ここからどうやって行くんだ」
マキ「私、ここでバイトしてたことがある、従業員用の特別階段がフードコートの奥の階段に繋がってるの。そこから行けるよ」
モモノ「なんか武器になるもの持ってくからアキトはリョウのとこ行ってきな、
もう友達を失わないように」
アキトは2人の提案を了承し、リョウがいるシャッター前へ行こうとした
モモノ「ねぇ、聞いてアキト」
方向を変えたアキトがこちらへ向き直る
アキト「何か心配? 」
モモノ「今回、なんであんたとあたし達が映画に来たかわかる? 」
アキト「みんな仲がいいから? 」
モモノ「鈍いわ〜、ミナあんたのこと好きだったのよ
今日告白するつもりだったの」
驚き、頬を赤らめるアキト
マキ「若いっていいわねぇ〜」
モモノ「なのに、気持ちも伝えられずに…、いいや! アキトあんたが仇取ってきなさいよ! あとミナのインベーダーがいた、返事をしてあげて」
じゃあね! っと歩き出すモモノとマキ
アキト「そんな、そんな僕に…? ……行かなきゃ」

◯2階 シャッター前
リョウ「クソ、これじゃ共倒れだ」
フミオを抱えながら、触手の攻撃を避けるリョウ
足は震えて、身体中が汗ばんでいる。限界が近い
その上、シャッター破壊を見て、手に刃を持ったインベーダーが後ろから近づいてきている。
リョウ「もう、ダメだ」
リョウの両足の力が抜けたその時

プシュウウウウウウウウウウウ

消化器の噴煙が辺りを包み込む
アキト「リョウ! こっちだ」
リョウはアキトの声の方へ飛び込んだ
リョウとアキラそしてフミオはクローバーという雑貨屋に逃げ、店のシャッターを閉めた
リョウ「お前、なんでこっちに来た! 」
アキト「お前、1人じゃ大変だろ。さ、これからどう行くかなー」
リョウ「じゃなくて、2人にしたら危険だろ! インベーダーがあっちに行ったらどうすんだ!! 」
アキト「だからこっちに引きつける、視覚のやつと触手はもうそこにいるし、シャッターが破られるのも時間の問題だ
こっちもね」
アキトはぐったりと倒れたフミオを見る
額からは血が流れており、このままではクリア条件が達成出来ない
リョウ「はぁー、なんでお前はいっつも冷静なんだ俺は今でいっぱいいっぱいだっつーの」
ため息をつくリョウ
アキト「考えたんだ、こっからどう出るかってさ」
リョウ「どうでんだ? 」
アキト「なんにも思いつかない、変なことばかり考えてさ、あいつらはゲームと言ったけど、ゲームってのは遊ぶ側と遊ばれる側がいるはずだろ?
あいつらは俺たちに直接手を下さないでインベーダーを使ってる。デスゲームだったら大勢の人間を殺すとか殺し合いをさせるとかだろ? でもこんなに人数を絞ってモールに集めて自分らは黙って見てる。それってゲームじゃなくて、実験みたいじゃないか?
あとインベーダーも単眼のホログラムのやつと同種には思えなかった」
アキトは不安な顔で喋り続ける
リョウ「待った、わかった、お前はいつも考えすぎ、あいつらは地球を乗っ取りたくて、なんかおもしれー乗っ取り方ねぇーかなーと思って始めたんじゃねーの? 深い意味はねぇーんだよきっと」
不安げなアキト
外からシャッターをギギギギギと傷つける音がする
リョウ「ほら来たぞお出ましだ、時間ねぇな」
リョウ「これとか、使えそうじゃないか? 」
リョウはピンクとリボンがついた防犯ブザーを手にする。
リョウ「これで聴覚の野郎をこっちに引き付ける」
アキト「おじさんを運ぶの大変だよな? どうする引きずってくか紐あるよ」
アキトは雑貨屋にあったトートバックの紐を切り、フミオに縛り付ける
リョウ「おっさん死にそうなのにそれはダメだ、後ろに運ぶようなもんねぇーかな? 」
雑貨屋のレジ後ろをうろつくリョウ
ガギガギギギジジジ
シャッターを引っ掻く音が大きくなる
リョウ「おい、こっちと隣の店、繋がってるよ、あとカートもあるぜ!」
雑貨屋の従業員用の扉は、隣の店からも出られるようになっていた
カートは壊れて店で使えないものを再利用していた大型犬も入れそうなくらいの大きさだ
アキト「前の車輪が外れてるけど、まぁ使えそうだな」
カートにフミオ乗せ、作戦を練る2人
アキト「僕は裏の扉から隣の店へ出る、そんで防犯ブザー鳴らしてあいつらを引きつけるから、リョウはカートをもってフードコートへ走れ」
リョウ「それじゃあお前が危なすぎるだろ、お前まで捕まったらどうする! 」
アキト「おじさんさえゴールすればクリア条件が達成できるんだ! このゲームでの生き死には現実には影響しないかもしれないだろ、クリアさえすればどうにでもなる、多分」
シャッターは今にも壊れそうだ
アキト「シャッターとおじさんが限界だ行くぞリョウ、絶対ゴールしろよ」
アキトは隣の店へと飛び出して言った

ビビビビビビピビビビ

防犯ブザーの音が鳴った。シャッターを引っ掻く音が鳴り止む
代わりに走り出した音とその後に続く足音が聞こえ遠ざかって行った
リョウ「よし、行くぞおっさんラストスパートだ! 」
リョウはシャッターを開け、カートを持ちゴールのあるフードコートへ駆け出して行った

〇移動中アキト

防犯ブザーを鳴らし、走り出したはいいもののこの後はノープランだった
すぐ後ろには触手と視覚のインベーダーがいる
アキトは100円ショップに逃げ込んだ
園芸コーナーで足を止める
長い枝切りバサミと栄養剤、そして懐中電灯手に取った
いつの間にか真後ろにいる触手に捕まってしまう体をぐるぐる巻かれ、アキトのことを触手本体の頭へ飲み込もうと、アキトを近づけたが、触手の出ている頭に向かって園芸用の栄養剤をぶちまける
ウオエエエエエエ
触手の力が抜け、アキトを離す
嘔吐し、悶え苦しんでいる

アキト「ハァハァ、ミナの顔と声まんまじゃないか……宇宙人も趣味が悪い」
100円ショップからでるアキト
もう1匹の視覚インベーダーは外で待ち構えていた
アキト「ほら、来いよ人間の底力見せてやる」
視覚がアキトに飛び掛る、刃を枝切りバサミで受け止めるアキト
だが押されて、枝切りバサミが刃こぼれしてしまう
アキト「ダメだ、硬すぎる」
刃を振るうインベーダー、今度は枝切りバサミの柄の部分で受け止めるが、これも受けきれず壊れてしまう
ハサミを捨てて逃げるがすぐに追いついてくる
振り返った瞬間、インベーダーの左手の刃が
アキトの頬へ向かってくる
もうダメだ終わりだ

本当は素早い攻撃なのに、ゆっくりゆっくりと自分に向かって刃が振り下ろされる
これが走馬灯か
アキト「いや、本当に止まってる? 」
スローに見えた攻撃は、アキトの頬を掠めることなくギリギリの距離で止まっている
アキト以外の世界が全て停止しているのだ

パンパカパーン!チャンスガチャのお時間です!

〇2階フードコート前
雑貨屋から出たリョウは、フードコートに向かってカートを押して走っていた
リョウ「インベーダーはアキトが引き寄せてるし、このまま行きゃゴールだ! 」
フードコートへの一本道を走り切り、ついにゴールを目前に捉えたリョウ
だがフードコートの中は羽が生えて大きな口が真ん中にあるインベーダーがその辺を飛び回っていた
リョウ「視覚聴覚ときて、もしかしてアイツ、嗅覚か? 」
リョウはフードコートのうどん屋に置いてあった七味の蓋を取り、反対の方向に投げた
こちらにまで七味の匂いが香る
ギュバ、ギュルルルルル
羽付きのインベーダーが床に散らばった七味を嗅ぎ回っている
リョウ「おい、おっさんそろそろ……なんだ冷て、心臓動いてるか? コレ」
フミオの心臓はまだ辛うじて動いてはいるが、もうすぐ限界がくる
リョウは走り出し、フミオを乗せたカートをゴールへぶん投げた
ゴールに吸い込まれていくカートに乗ったフミオ

パンパカパーン!!

オヤキフミオ、ゴールおめでとう!!

残りニシアキラ、ニシアキラ

館内放送が鳴る。
ギョギョギョギョ!!!!
羽付きが驚いてこちらに近寄ってくる
大きな口の歯をガチンガチンと鳴らし、リョウは逃がさないぞとばかりに歯ぎしりする
リョウ「とりあえずアキトの方へ戻ってみよう、まぁこいつどうにかしてからだけど」
リョウが逃げようともどろうとするが来た道には、いつの間にか触手のインベーダーがいた
リョウ「逃げらんねぇ」
近くに武器になりそうなものもない
触手から逃げる体力も使い果たしてしまった
リョウが諦めかけた時

ビ、ビ、ビ、ビ、ビ

大きな規則正しい音が後方から響く
目覚まし時計のようだった
そして同時に、
時限爆弾のような音でもあった
アキト「走れ、ゴールへ走るんだ」
アキトの声が、音と共に聞こえてくる
まるでアキトのすぐ近くに音源があるようだ
リョウ「アキト! 早く来い!ゴールするぞ」
リョウが、アキトの元へ走る
ようやくアキトの姿が見えた、だがアキトはフードコートの中に入ってこない
2匹のインベーダーがリョウを素通りし、アキトに引き寄せられていく
アキト「ゴールしろリョウ!!元気でな!」
リョウ「待て、お前1人で、」

アキトはリョウに声をかけ、ミナのインベーダーに飛びつき
爆発した


#創作大賞2024 #漫画原作部門


たくさん書きます