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臨床心理学とは

心理学は大きく基礎心理学と実践心理学に分けることができる.

基礎心理学

人間の心を,認知心理学,学習心理学,応用心理学,パーソナリティ心理学(性格),社会心理学(対人関係)などから科学的に解明.

実践心理学

基礎心理学を応用して,現実世界で役立てるための学問.臨床心理学,産業心理学,教育心理学,司法心理学などが含まれる.

臨床心理学の3つの領域

臨床心理学の学問体系は大きく次の3つに分けることができる.

①異常心理学

心理的問題が生じた原因・メカニズムの探求.

異常心理は

生物学的要因(脳神経、遺伝子)

心理学的要因(パーソナリティ、認知、感情、ストレス)

社会学的要因(家族、職場、文化、教育、経済状況)の3つが複合して生じる.

→生物・心理・社会の分化モデルが重要.

②心理アセスメント論

症状の程度・パーソナリティの測定や評価.以下のように行われる.

受理面接

情報(クライアントの症状、生活史、家族歴、現病歴 など )を集め、問題となっていることをリストアップする.

各領域のアセスメント

受理面接で得た情報では不十分であった場合に行う.
DSMの5つの次元『Ⅲ軸(身体疾患),Ⅰ軸(臨床症候群),Ⅱ軸(人格・知的障害),Ⅳ軸(心理社会的問題・ストレス),Ⅴ軸(生活適応度)』から必要なものを選択し行う.

多次元診断

①身体医学的診断②精神医学的診断③臨床心理的診断にもとづく.
Ⅲ軸は①,Ⅰ軸は②,Ⅱ軸は③と結びつく.Ⅳ・Ⅴ軸は社会的診断.

ケースフォーミュレーション

アセスメントを元に総合する.異常心理学,治療を結びつける.

アセスメントにおける生物・心理・社会の分化モデルの統合

生物学・・・Ⅰ軸(臨床症候群),Ⅲ軸(身体疾患)
心理学・・・Ⅰ軸(臨床症候群),Ⅱ軸(人格障害・知的障害)
社会学・・・Ⅳ軸(心理社会問題とストレス),Ⅴ軸(生活適応度)

③心理療法論

クライアントに働きかけ、心理的に援助し、不適応からの回復を図る
生物学的治療・・・薬物療法,医学的治療→医師
心理学的治療・・・心理療法→心理士
社会学的治療・・・職場復帰,家族療法→ソーシャルワーカー

心理療法の個別技法と共通要因

個別技法(精神分析療法,認知行動療法など)には共通する部分が多いことが知られている.これらを共通要因という.共通要因は金沢(1998)によって以下の3つに分けられている.

支持

セラピストとクライアント間の信頼に満ちた関係を作る技法.
例)セラピストの温かさ,尊敬,共感,受容,純粋さ,元気付け,孤独感の軽減,緊張感の放出

学習

心理療法の成功な認知的・感情的変化,それを促進するための技法.
 例)助言,認知学習,洞察,フィードバック,情緒的体験,理由付け,過去の問題体験の消化

行動

直面化・行動のコントロール技法.
例)モデリング,練習,現実検討,成功体験,行動のコントロール,問題・状況を征服する努力

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