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「エフェクチュエーション」とは?今注目の起業家の理論。
あらすじ
VUCA※時代と言われるように、不確実性が高まっていることによって社会やビジネスの未来予測が困難となっている現代。
※VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。
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そんな不確定要素が多く、予想不能の世の中で、「エフェクチュエーション」という理論体系が注目されている。
一言でいうと、"逆算ではなく積み上げ"で考えていく経営者の考え方。
ちなみに逆算式は「コーゼージョン」と言われる。
手持ちの資産をどうそのまま使うか、アレンジして使うか、など、"机上の空論"で終わらないことを避ける考え方とも言える。
従来、大企業を中心に取り入れられてきたのは「年間売上20億円」「事業拡大」など、はじめに目標を設定し、それを達成するために最適な手段を後から検討していく方法であった。
このような目標設定型の逆算的アプローチは「コーゼーション(Causation)」と呼ばれ、将来をできるだけ予測して目標達成のための手段を考え、行動を進めていくのだ。しかし、コーゼーションはある程度将来が予測できる場合においては有効であるが、不確実で将来の予測がまったくできないVUCA時代では、通用しないと言われている。
エフェクチュエーションは5つの原則から成っている。
内容は以下の通り。
1. 手中の鳥の原則(Bird in Hand)
新しい方法ではなく既存の手段を用いて、新しい何かを生み出すこと。この原則は、目標やプランによって手段を選択する目標設定型アプローチとは異なり、企業や組織がすでに保有している人材のスキルや技術力、ノウハウ、人脈などの手段を用いた問題解決型のアプローチを行う。
優れた起業家は、わずかな可能性に過ぎなかったものからでもビジネスチャンスを生み出すことができるのだ。
2. 許容可能な損失の原則(Affordable Loss)
仮に損失が生じても致命的にはならないコストを予め設定すること。従来のように、将来期待できる利益をベースに戦略を練るのではなく、どこまでの損失であれば許容できるのかを決めておき、それを上回らないように行動する。
大きなリターンに魅力を感じる人も多いが、リターンが大きければその分リスクも大きくなる。優秀な投資家は、はじめから巨額の投資を行うのではなく、リスクの小さな少額投資から始め、すぐに切り替えることができるような小さな失敗を重ねて学習することで次のプロセスへと進んでいくのだ。
3. クレイジーキルトの原則(Crazy-Quilt)
形や柄の違う布を縫いつけて1枚の布を作るクレイジーキルトのように、顧客や競合他社、協力会社、従業員などのさまざまな繋がりをパートナーと捉えて、一体となってゴールを目指していくこと。優れた起業家は、競合でさえもアライアンス可能なパートナーと見なすのだ。
マーケティング分野では、さまざまな人との出会いのなかからポテンシャルの高いユーザーを見つけて、そこに絞って商品やサービスのプロトタイプを提供することで、マーケットや競合が急速に変わっていく予測不能な時代における市場環境の変化への対応策として活用できる。
4. レモネードの原則(Lemonade)
アメリカのことわざに「When life gives you lemons, make lemonade.」というものがあり、これは「人生がレモンを与えたときには、レモネードを作りなさい。」という意味だ。
レモネードの原則はこのことわざのように、使い物にならない欠陥品でも工夫を凝らして、新たな価値を持つ製品へと生まれ変わらせるという考え方である。優秀な起業家は、ぱっと見た限りでは失敗作に思えるものでも、視点を変えたりポジティブな捉え方をすることによって、新しい製品のアイデアにつなげることができるのだ。
エフェクチュエーションでは現場の社員やリーダー層も含め、失敗を成功に繋げる行動を重要視している。
5. 飛行機の中のパイロットの原則(Pilot-in-the-plane)
先述の4つの原則を網羅した原則でもあり、状況に応じて臨機応変な行動をすること。常に数値を確認し臨機応変な対応をするパイロットのように、不測の事態に備え、外部環境の変化に対して柔軟に行動することが重要だ。
将来は自分たちで変えることができるという世界観を意味しており、未来は発見されたり、予測されたりするものではなく、ビジネスの実践者自らの戦略によって築き上げられていく、という姿勢の考え方だ。
独り言
筆者は職業柄、社長と商談することがある。企業によっては急な方針変更が起こることも日常茶飯事だったりもするが、「エフェクチュエーション」を知った時、経営者が優先的に考えることへの理解度が高まったと感じた。(解像度が上がったような感覚を覚えた)
目標を立てることはもちろん大事であるが、その一方、手に届くところにある資産をいかに活用して、パイロットのようにルートを選びながら進むかがもっと大事である、という気づきを得た。
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