あの子のこと

あの子が死んだ。
どうやら自殺らしいのだが。
それ以上の知らせが入ってこない。

私達と彼女は出会って半年も経って居なかったが、彼女は私達の共通の友達と繋がっていてこれから交流を持とうと、
遊ぶ約束やお互いの話などを
仕掛けていた所だった。

しかし、なんの前触れもなく
彼女が死んだという知らせが入った。

私達は動揺し、死因が
いまのところ、何かもわからず
ただ不安な夜を過ごした。

訃報を聞いたその日の夜
縁起でもない事を考えてしまってた。

妄想のような幻覚のような
夢のような。
ふとした瞬間に見えたビジョンは

昼間にみたこともない
マンションのベランダからダイブすると
花壇が見えて、地面が猛スピードで
近づいてくる。
花はパンジーだった。

その映像が鮮明過ぎて恐ろしくなった。
パンジーの花は色とりどりだが
すぐにブラックアウトした。

もしかして彼女は
飛び降りたのではないだろうか。

部屋から勢い良く飛び出した。
昼間の蝶のように
躊躇なく蒼いそらへ。

そんな変な、、こんな時に
思考が止まらない。
友人を亡くしたのに
不謹慎な想いが巡る。


私は彼と居たけど
何も話す気になれなくなった。。
自分の気持ちと
想いが噛み合わないからだ。


そんな時、何故か
彼も黙りこくっていた。
その沈黙は私と同じ目をしていた。


重い沈黙が続き


彼が思いきったように
私にきりだした。



「彼女は飛び降りたんだよな。」


彼は言いにくそうにそう言って
その後はペラペラっと多少早口になる。

なんか変なんだけど、
頭の中で不謹慎かもしれないけど
ベランダから飛ぶイメージが
入ってきた、んだよな。


私と同じ頭の中の映像を
彼も見ていた。


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