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映画感想『零落』

◆あらすじ◆
8年間、ひたすら走り続けてきた連載が終了を迎えた元人気漫画家の深澤薫。新たな漫画が描けなくなり、鬱屈した日々を過ごすうち、多忙な漫画編集者の妻との間に大きな溝が生じてしまう。そんな中、“猫のような目をした”風俗嬢のちふゆに出会い、彼女に惹かれていく深澤だったが…。




これは観る側の立場で感情がハッキリ別れる作品じゃないかなぁ。

自分が至高であり他人を侮り人間の中に住む陰鬱を露わにする落ち目の漫画家主人公。
若い頃に離れていく彼女から指摘された一言が心の奥底に澱み“心の解放”を失い世間の浅はかさを蔑む。

そんな男を囲む女達の存在描写が良かった。特にMEGUMIと山下リオは凄く良かったね。

全てを失い荒んでいく残酷なまでのこの男の業に同情を寄せる人が居ない事を表す描き方の凄まじさにはちょっと笑ってしまった。

傲慢の列挙!ww

何かを生み出すには或る意味己を過信する事は必要だとは思うが、だからと言って自分以外の価値観を否定して良い物ではない。
ましてや自分の作品に好意や賛辞を表してくれる人に対しての彼の悪態は受け入れ難い。

【過信】が姿を変え【心の奇形】を創り出す。

彼にとって漫画を描く意味は何なのか?
描く意味はあるのか?
それとも天邪鬼が過ぎるのか?

……子供かっ!

10代の頃の同級生の台詞で「お前はずっと漫画の事しか頭に無かったからな」「お前はずっと同じだな」と何度も言われる。

好きな事にしか目を向けずその好きな事に背を向けられ取り残された自分を顧みず全て他人のせい。

一度造られた【心の奇形】はただの【過信】には戻れないのかもしれない。

自己再生後の姿にやっぱり近寄りたくないと思ったのは私だけかな?
あたしゃ好きな物を生業にはしたく無い派なんだよなぁ。


やはり“その他大勢”には理解出来ない【屈折】が必要なのかね。

因果応報でどーにかならん事を祈る。


しかし…斎藤工、凄くはまり役じゃない?
この人の持つ核心を見せない掴み所の無さ感がこの漫画家の存在にリアルさを齎してる。


てか、デリヘルの顔ぶれ箸休め的?ww



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