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映画感想『Winny』

※本作は、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者が逮捕され、著作権法違反ほう助の罪に問われた裁判で無罪を勝ち取った一連の事件を題材に、金子氏と彼の裁判を支えた弁護士・壇俊光氏の無罪を勝ち取るまでの7年の道のりを描いた社会派ドラマ。

◆あらすじ◆
2002年、データのやりとりが簡単にできるファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇は、その試用版をインターネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」に公開する。公開後、瞬く間にシェアを伸ばすが、その裏では大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、次第に社会問題へ発展していく。違法コピーした者たちが逮捕される中、開発者の金子も著作権法違反ほう助の容疑で2004年に逮捕されてしまう。金子の弁護を引き受けることとなった弁護士・壇俊光は、金子と共に警察の逮捕の不当性を裁判で主張するが、第一審では有罪判決を下されてしまい……。



⚠️ネタバレあり

2002年当時、コンピューター世界に疎かった私はこの名前は知っていても事件の内容についての詳細は知らなかったので観る価値は充分にあった。

ストーリーは警察の不正裏金事件と並行して描かれるが言うなれば当時の日本の暗澹たる未来への失望と足踏みばかりな現在にそれが描かれる意味を感じる。

創り出す側の意図を無視する様な体制側への問題提起でもあり、生み出される技術や科学の成果、匿名性の意味を含め利用する側の意思で善にも悪にもなると言う事を改めて肝に銘じなければならない。

しかし主人公の世間知らず度が凄まじくてちょいイラついた(笑)

てか、凄く心配だった。

そんな人物を演じた東出昌大は個人的にどの作品も然程良いと思った事はないが今作はその中でも過去1良かったと思う。
自分の思い込んだ世界にしか身を置かず世間からずれている事にさえ気が付かない様子だ。

警察の不当な書類に言われるがまま署名するシーンにはホントに呆れる返るほどだ。

だが、考えてみればそういう気持ちの持ち主がイイ様にはされても自ら不正を働くとは思えない事は明白で一審の『有罪判決』には正直“裁判の公平さ”に疑問を感じた。
まぁ何より、警察&検察の不当の連携が気持ち悪いんだがね。

その警察の不正を暴こうとする一人の初老警察官のストーリーが同時進行で描かれるがこちらはどんなに若い警察官を窘めても上部に逆らえず裏金作りに加担するばかり。ついに記者会見で不正を告発するがそれも揉み消されむしろ告発者の身に危険が及ぶ。

しかしこの告発された警察の不正の証拠がWinnyのソフトで流出することになるという2本の平行線が交わる瞬間を迎える。

物語の構成としては上手い作りだと思うが実に波風が立たない!
初めから終わりまで通常モードで観終わった感じ。

それがこの金子勇と言う人の怒りや憤りと言う感情をあまり見せない人物像を踏まえた作品の意図ではないか?と思わなくも無いが、やや物足りなさにも繋がる。
そこをどう捉えるかでこの作品の評価は変わりそうだ。

しかし三浦貴大は良いバイプレイヤーになったね。
お父さんも年齢を重ねて味のある役者になったけど彼も息の長い役者で居てほしいな。


エンドロールで金子氏御本人が映像で登場するがイイ人以外の何者でも無かった。
それだけは判る。

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