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映画感想2023

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2023年5月の記事一覧

映画感想『クリード 過去の逆襲』

原題「CREEDⅢ」 色んな意味で『ロッキー』からの独り立ち。 マイケル・B・ジョーダン自ら監督した今作はLAサウス・セントラル、黒人社会と言う犯罪と隣り合わせだったアドニスのルーツ的なものを背景に人生を分けた2人の男の姿を描く。 見せ場はアドニスとデイムの一騎討ちだが相手の情報量が多いデイムはとことんアドニスの弱点を研究する。 汚い位にウィークポイントを狙う映像には迸る二人の汗が跳ね皮膚までもが波打つ様子が映し出される。危うい空気が漂うがどこか美しさも感じるその映像に

映画感想『最後まで行く』

これコメディなの?ww 狂気とコミカルの交錯がめちゃ面白かった! 確かに韓国映画にはよく見られるそのバランスを日本映画でもちゃんと表現出来るんだって思ったよ。 2014年公開オリジナル韓国版は観てないので比べようは無いのだが人間の内臓を抉る様なサスペンス劇に引き込まれる。 主演二人のキャスティングもドンズバじゃないかな。 ひらパー兄さんこと岡田准一ならではのコミカルさが活きてるし綾野剛の“隠し切れないサイコ”ぶりが板につき過ぎてた。 とにかく始終工藤のダメダメさが

映画感想『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』

原題「FAST X」 ⚠️ネタバレに通ずる書き込みあります。 腕に縒りをかけたおったまげアクション炸裂なこれぞ『ワイスピ』!で面白いよ、面白いけど「ちょっと待ってよー!」って言いたくなるストーリーww いやシリーズも締め括りに向かってんよなーって所にこの展開かーい! 参ったね。 確かに10年の集大成としてやりたい事は解るからもちろんめちゃくちゃ楽しんで観たんだけど「過去の布石全回収する気か?」って脳裏をよぎってたのもある(๑¯ω¯๑)フフフ.. ストーリーもアクショ

映画感想『TAR/ター』

原題「TAR」 リディア・ターが指揮する「マーラー:交響曲第 5 番」はクラシック音楽に明るく無い私も知ってるし数々の有名指揮者がタクトを振っている。 映画好きならあの映画史に残る名作『ベニスに死す』に使用された曲としても有名だし、我が家にもCDがある。 どうやらこの曲はマーラーの妻に対する愛情の表現らしいが最終的に愛を失って行くこの物語には皮肉的だな。 この映画はターと言う世界的指揮者を丹念に描く事で彼女の地位転落の過程とその要因、そしてその後までを徹底的に表現してい

映画感想『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』字幕

原題「GUARDIANS OF THE GALAXY VOL. 3」 素直に完結編として納得! とにかくジェームス・ガン監督の才能とセンスに全自分が持ってかれて全編隈なく楽しませて貰った。 「あぁ、こういう描き方でガーディアンズを締め括るんだな」って思ったよ。 MCUの乱打にそろそろヒーローもの飽和危機だったが今作こそ“これぞヒーロー”と思わせる展開! 私利私欲の独裁による生体実験、暴力、虐待、差別など、生物間で起こり得る凄惨な愚行に対しての対峙であり全面的な対決が

映画感想『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』

「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__」と第3期TVシリーズ「PSYCHO-PASS サイコパス 3」をつなぐエピソードが描かれる。 常守朱がなぜ囚われの身となっているのか?と言う疑問を投げ掛けた3期。 その連続性の欠如を幾つものエピソード層を重ね複雑に入り組ませながら、それでも『PSYCHO-PASS』たらん出来栄えで繋いだ手腕には敬服する。 とにかく10年間のピース達が今作でカチリと嵌りこの

映画感想『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』

“死者を一人も出さない”を標榜し、事故や災害現場で人命救助に当たる都知事直轄の救命医療チーム“TOKYO MER”の活躍を描く鈴木亮平主演の人気ドラマ・シリーズ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」の劇場版。 TVバージョンの緊張感そのままにドラマの振り返りも差し込みながらのチーム描写は映画のみでも楽しめる様に作られている。 もちろん喜多見率いるTOKYO MERチームの活躍ありきだが劇場版は音羽の心情に焦点が強めに当たってて個人的には物凄く楽しめた。 涼香の回想シー

映画感想『BAD CITY』

小沢仁志が顔面凶器な刑事っつーだけでもワラワラ沸き立つのに冒頭からまっ裸な墨のオンパレード&血染めの殺戮にはやられたわ。 山口祥行めちゃカッコよかった〜 タイトルもそのままに日本版『犯罪都市』と言う具合だが韓国マフィアvs極秘特殊犯に日本ヤクザが絡まってそこにTAK∴も登場しちゃうもんだから園村健介監督腕の見せ所で全編完璧超速ド派手アクション炸裂!! ザ・小沢映画なVシネ常連の豪華顔ぶれも然る事ながら数々のアクションをこなして来た殺陣師・三元雅芸にやたら魅せられたのは間

映画感想『ノースマン 導かれし復讐者』

原題「THE NORTHMAN」 アイスランドを舞台にヴァイキングの伝説を「ハムレット」になぞらえて描いた復讐劇。 予想以上に殺戮描写がグロい。 まぁそれはイイとして、ちょっと尺長いなぁ…物語の決着が着く手前でやや食傷感出た。 が、独特なアート世界に拘った美術や衣装、テーマ性を活かすダーク且つペイルトーンの色調、その中で描かれるバイオレンス・アクション。 そして何よりホラーとも思える不穏な妖しさには魅せられた。 自分が信じていたものの背景が露見した時の喪失感と新たな

映画感想『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』

原題「SHE SAID」 ちょっとぉ! 複雑に色んな感情がぐるぐるしちゃったよ。 これ【PLAN B】が製作なんだね。 ブラピが選択する作品は割と好みな物が多いなぁ。 いつ頃からだろうか? 「それ、セクハラですから!」と女性が肩に置かれた手を振り解ける様になったのは…。 まぁ、世代によっては「世知辛い世の中だ」と嘆く男性も少なく無いだろうが肩に触らなくてもコミュニケーションは取れるんだよ、アナタ達。 記憶に新しい【#MeToo】運動は世界中の女性にとっての革命だっ

映画感想『非常宣言』

原題『英 Emergency Declaration / 韓 비상선언』 韓国発の新たな傑作爆誕!! 2023年初っ端から凄いの観せられちゃったなぁ。 めっちゃチカラハイッタわぁ ୧(๑ ⁼̴̀ᐜ⁼̴́๑)૭ 殺人ウィルスによる航空機バイオテロ発生! 逃げ場の無い機内とそれに対応する陸の警察と政府。 何気ない伏線の張り方がシャレオツ! 群像劇としても、総じて描かれる親子の物語としてもドラマ性に優れ見応えしか無い! 犯人がそのフライトを選ぶ理由から事件に至る背景

映画感想『ドリーム・ホース』

原題「DREAM HORSE」 ウェールズの田舎の感じが堪んなかったなぁww そんでもって動物達の描写がまぁイイのなんのってね!! そしてやっぱり馬が走る姿は美しい! 超盛り上がりのレースシーンは有馬記念でボルドグフーシュが上がって来た時ばりの興奮!(笑) 椅子から動かない夫、高齢の親、介護と自分の事以外にばかり費やされ、味気無く過ぎてゆく日々…主人公に共感出来る要素は多々ある中この作品は"生きる"と言う事は何か小さくても"熱を実感"する事なんだと伝えてる。 馬主

映画感想『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』

原題「I WANNA DANCE WITH SOMEBODY」 事実、彼女の晩年は「これがあのホイットニーの人生?」と苦しさしか無かった。 有名な国家斉唱は米国人じゃないけど涙が出る程素晴らしかったのを覚えてる。 その歌声の衰えも正直「もう歌わないで」と思ってしまう程で、圧巻の歌唱力で共演のM.キャリーを凌駕したあの圧倒的な歌声はもう聴けないのかと残念な思いでいっぱいだった。 映画のラストはやはり彼女の悲惨な最期を避けていたが彼女の才能に愛を注いだ者とその才能の"産物

映画感想『フラッグ・デイ 父を想う日』

原題「FLAG DAY」 どうした?ショーン・ペン監督! 一家総出で制作したのに自分には何一つ共感出来ず伝わってくるものが無かった。 『6月14日はアメリカ国旗制定記念日の事。この日に生まれたジョンは、自分は生まれながらにして祝福されていると感じ、特別な存在として成功する当然の権利があると信じていた。』 思い込み激しい。 凄い精度の贋札作れるならその技術をもっと他に活かせば?と思うんだがコツコツ働いてたマトモな金よりそっちがイイんだね。 その過程と末路が家族を相当悲