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竿師への道

今、竿に凝っている。自分の竿に。
葛飾でのタナゴ釣りで、ようやくよさげなポイントを見つけた。
常連のご老人たちが釣りそっちのけでわいわいと楽しげなのだがみると結構、お手製の短い竹竿を使っている。私は安いファイバーグラスの竿を使って、竿なんてなんでも釣れるときゃ釣れるんだよ、などと独り言ちていたのだが、腕前は棚に上げて、なんとなく道具の方に興味が移ってきてしまった。
タナゴ釣りの世界はミニアチュールのたのしみなんですね。
―などと気取ろうとしたらミニチュアールとミニアチュールでは意味が違うことをしった。
でもなんとなく意味が通るのでそのまま。
まず、竿が短い。だいたい60センチから90センチの間。尺貫法では2から3尺。
一尺は30センチ。一寸はその10分の1。一間は6尺。竿と家はまだ尺貫法。
60センチの竿を4つほどに分割する。一つの棒が15センチ。
筆箱に入るイメージ。
釣り竿と言うと、これからしにいきますよ感がゴルフと並んで一目でわかるアイテムだがすっとサコッシェ(こんな言葉使うの初めて)から出しておもむろに振れるサイズ。
江戸前のタナゴ釣りではそういった細密な、小さな道具たちを愛し、自慢し合うのも一つの文化として盛り上がったらしい。小さいもの、憧れませんか。
釣り竿から、仕掛け、浮き、それらを合切箱という本桐の小箱に入れて釣り場に行く。
格好としては一流かもしれないが、腕は三流なのでとてつもなくみっともない。
名人と凡人では釣果が天地ほども変わるのもタナゴの不思議だ。
針から自作する人もたくさんいる。タナゴ釣りにまつわる沼は深い。
まずは竿から、ずぶ、と沼に足を踏み入れた。
100均で売っている竹の釣竿を改造するところから始めている。
継ぎ、巻き、火入れ、塗り・・・奥深い。
諸々の道具を1万円ぐらいかけてそろえた。
塗料、臭い。頭痛を誘発する。
しかし、一応の完成を見た時の自己満足感がとびきり。
削り、巻き、ぬりをかさねているときの没頭具合はほぼトリップ


竿師への道は果てしなく長い。あくまで、素人仕事でだが。



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