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頼まれもせず書く

頼まれもせず書く

だいたい朝の九時くらいから書き始める。頼まれもしないのに。

書き始めると頭は霞み目は細くなる。覚醒するどころか、意識が濁り、疲労感が降りてくる。何か義務感に苛まれ、頼まれもせずに書いている。別に、ほとばしる物を押さえきれず書かずにいられないと言うことは全くなく。別にぼんやりしていてもいいものを。

誰かに読んではもらいたい。せっかく書いているものだから。

しかし、読まれることがないかも知れない。おそらく、20年前なら手段は限られていた。当時、個人誌というのか、ミニコミ誌が盛んで、それらを置いてある店もよく商業雑誌の記事に見かけた。

書きたいこと、表現したいことがあるというひとが確実に居て、そういうひとは身銭を切って、簡単な、あるいはきちんと印刷所で印刷された小冊子を作り、決して広く問える訳ではないが、世に問うべく形にしていた。

今は、インターネットという手段で、手軽に表現を発表できるようになり、自己表現の敷居は確実に低くなった。とにかく、私はとんでもない衝撃的な物がそんな表現の海の中に隠れているのではないかと出来うる限り海原を見渡していた。

それは、今、かなり見つけやすくなっていることは確かだ。自分の書く物が衝撃的なものだとは思えない。しかし、書く。書かずには居られないと言うわけではないが淡々と。とりあえず1000篇目指して書く。数を書く。頼まれもせずに一方的に。

そして、この時代、一方的に届ける。届けばいいが。すこしくらいひとの心に届くようにと願って書く。

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