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都とタンジェリン

風呂から上がって布団に寝転がりながら読書
する 居間との仕切は開け放しているのでさま
ざまな音が来る まず ユーチューブでジャズを
かけ流している このかけ流しは気が付くといつ
もビルエヴァンスに戻っている何をかけていても
ビルへとめぐる テレビは二台並列していてメイン
はいつもテレ東になっている 息子のこだわりで
帰宅後はずっとテレ東となる それから家族の
話し声 娘は無口で 大声を出すことがない
主に妻がテレビに話しかけテレビを存分に楽し
んでいる 妻は古式ゆかしき昭和生まれの女
なのでテレビがかかっていないと寂しいらしい
ええーっ うそぉ などとテレビに反応し楽しそう

磯崎憲一郎という人の厚い本を読んでいた 私
小説も好きだが新しい感覚を持ち込んでくる
タイプの書き手も好きだ と言いつつこの人の
小説は未読だ ジミヘンやツェッペリンの話が
ちょくちょく出てくる 多分 もっとマニアックなロ
ックも聞き込んでいるのだろうがわかりやすい
所を例に挙げているのだろう レジデンツとか
ホワイトハウスとか言われても困る 小説の
グルーヴ といった話をしている バックに何故
か 巡り巡ってシンセサイザーの自動演奏的
なチトチト言うビートが流れている ああそうか
にさんち前にお勧めに出てきたタンジェリンド
リームをかけて すぐに飽きてしまったのだった
そのビートの奥の間から テレ東でやっている
歌い継ぎたい唄100曲 みたいのが鳴っていて
都はるみがこぶしを効かせて北の宿かなにか
歌っている そちらに少し気を取られてしばらく
聞き耳を立てていると タンジェリンのチトチト言
うマシンビートと都はるみがシンクロしている
丁度速さが一致したのだろう ずれたかと思え
ば微妙に同期している なんと間抜けなシンクロ
だろう

小説のグルーヴというのはつまり流れ ツェッペ
リンの初期のライブでは 幻惑されて とか長丁
場の曲の即興部分が どのように変化し流れて
いくか 実際やってみないとわからない ギター
にバイオリンの弓を叩きつけたりして その場の
流れを盛り上げていく と言ったところでまだタ
ンジェリンのシンセビートがチトチトチトチト刻ま
れていて 今度は キャンディーズの 春一番
が流れ出している キャンディーズのバックバンド
は結構手練れのミュージシャンで たしかスー
とそのバンドメンバーの誰かが付き合っていた
とか そこに シンセサイザー黎明期の古臭い
単純なサイン波だかノコギリ波だかの明らか
に曲から浮いたアナログシンセの変なアレンジ
のメロディがまた タンジェリンドリームの最先端
のシンセビートにシンクロしだした 小学校で
習うたてぶえに似たひょろひょろしたメロディに
重厚なシンセのストリングスとシーケンサービ
ート

大抵いくつかの事を並行していると思った 音
を聞きながら映像を見て しゃべりながら物を
食べ 寝ながら音楽を聴き本を読む 何かに
集中していることがない 今 インプラントの
CMとマイルスのジャズを聴きながら鼻をすすり
つつこれを書いている 奇跡のシンクロはそう
そう起こらなくても間抜けなシンクロはしょっちゅう
起こる 妻と同時にテレビに なんだこれ など
と口を合わせたりする そういう時にハッピー
チョコレートと言って先に相手にタッチした方が
チョコを奢るという遊びなのかしきたりなのか
そういうのが昔流行った

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