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熊本出張3

ホテルの朝食にはいろいろな人が来ていた。おそらく建築関係のひと、行政関係のひと(背中に○県と書いてある)、観光客。みんなでバイキングの朝食を食べている。

私も莫迦見たく食べた。しかし、日中の運動量のせいか太らなかった。むしろ痩せた。一日、午後少し時間が空いた日があって、熊本城の立ち入れるところまで行ってみた。テレビの映像で見たとおり、石垣が崩れ塀が垂れ下がっていた。良く晴れた暑い日だった。

広場になっているところから対岸に臨むように城を見た。城下町なのだ。熊本の市内には丸く二つの川があるという。一つは白川という川で、何度も渡ったり、近くを通ったりした。もう一つは忘れた。加藤清正が治水灌漑を整備したらしい。いまでも清正公と親しまれているとのことだった。

そのときは案内してくれた人が居て、辛子蓮根をくれた。これが本物の辛子蓮根と言って、わざわざ店に行って買ってくれた。今晩か明日までには食べないと、辛子蓮根独特のつんと来る辛みが消えてしまう。くれぐれも早く食べて、と渡してくれた。それは、同行者にあげた。つんとくる辛みを味わってみたかった。

すべての業務を終えて、空港行きのバスに乗った。デパートからくまもんが垂れ下がって、がんばろう熊本、と言っていた。しばらくバスに乗り、空港が見えてきた。被災地から離れる。

ここの地ではここの生活が続き、私たちは自分たちの地での生活に戻る。空港で土産を物色しているとふかし饅頭を売っていた。試食して、と言われて食べたそれは程良くしっとりと甘く、とてもおいしかった。それを同行者の「奥さんへ」と買って、帰りの飛行機に乗った。

帰りは丁度翼にあたって、しかも三人席の独り占めだった。ゆっくりと足を伸ばしたまま羽田へ着いた。同行者にはすぐにバスが来て見送った。私のバスは小一時間到着までに間があった。快晴だった。日陰で、トランクを椅子に、亀有行きのエアポートバスをぼんやりと待った。


おわり

先日 熊本城の復興のニュースを見ました

おそらく熊本県人の心の象徴である城

同行者がみかん農家のおかあさんにとんでもなく気に入られていたことを思い出した 熊本に来たら泊りに来てと言われていた わずか30分ほどの会話でそこまで言わしめるとは凄いと思った 有明湾から少し上がった海風の当たるところ


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