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隣町八幡輪行

もう半月前からの懸案 隣町までの輪行を本日
ようやく決行した 昼過ぎまでは晴れていて ベ
ランダの向こうの桜が 行ってきなよ と咲きほこ
っていた 少し暑いかと思いつつバラクータの
スイングトップを羽織って出かけた

ここのところは法規もなかなかうるさいので
左通行を守りつつ近頃できたた湾岸までの
自動車道の側道を走っていった かなり立ち退
かせたと見え きちんと自転車道が確保され
かなり快適に走行できた その代わり信号が
カチッと設けられているため 所々で走りが
止められるのがうっとおしかった 立ち退きと言
えば 千葉県では近年まで土地収用委員会
が機能していなかったらしい 成田空港の反対
闘争に伴い いろいろといざこざしての事らしい

二十分ほども走ると遠くにタワマンが見えて
きた アネハ とかいう建築士の清水建設の
物件か それよりも前に立っていた本八幡の
タワマンの走りの物件か どちらか区別がつか
なかったが あの方向に行けば合っている
一つの目標は 京成八幡駅前の個人商店の
古本屋を見てくることだ ネットで調べたらつ
ぶれてなかった およそ10年ぶりくらいの訪問
となる

川にかかる橋に出て 踏切が遠くに見える べ
ビーカーを押した若いお母さんに本八幡は向こう
ですかと確認したところ しばらく行った突き当
りですと感じ良く丁寧に教えてくれた なんとな
くこうして 外出のたびに見知らぬ人に話しかけ
たくなる 単なる方角のやり取りだけれど

京成の踏切を越えたすぐ向こうに目当ての
古本屋は営業していた JR本八幡駅前にブ
ックオフの大型店舗があったのだが 私が
勤めを辞める前には撤退していたわけだから
なくなってもう五年以上だ 私鉄の駅近くとは
いえ人通りが尽きるあたりでこの間店を開けてた
と思うと他人事ながらねぎらいの一つもいいた
くなる

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大きな外棚があって主に単行本が並んでいる
この棚は以前にはなかった 京成電鉄の本社
が京成八幡に移るにあたって 道が整理され
たためにできたのだろう 仕事でお付き合いした
した京成だったが本社は意外に小さく見えた
外棚には中国の研究書 国文学 小説 国際
地理 それらの新旧を比較的安価に並べてい
る およそ300円から500円程度 一通り
目を通したが心動かされるものなく店の正面
の積まれた本の中に種村季弘の 雨の日には
ソファで散歩 を見つけたがビニールひもでくく
ってあったのでまだ未整理という事だろう 以前
店頭の雑誌棚で伝説の自販機本と言われる
HEVENを安く手に入れたのを思い出した 中身
はろくに見ていないがそんなに過激なものでは
無かった気がする

店内は演劇 音楽 国文 郷土などの本がな
らびこちらの値付けは結構世知辛い 坪内
祐三の本がずらりとあったが どれも3000円
を越える値付けだった 今 続酒中日記 とい
うのを探しているがそこにはなかった あっても
3000円はきつい 

店内を覗くうちに気分が充実してくる 古い紙
の醸し出す酢を限りなく薄めたような匂い マス
クの中でこもっているみずからの息遣い ほのか
に痛いような腹具合 かさかさと紙の作業をし
ている店番の人 古本をあさる というのはこ
ういう感じに満ち足りた時間がながれていくこ
となんだよな と改めて思った 何か 心惹か
れる本や未知の本 その出会いと期待 整理
された新古書店にはない足元に積まれた本の
雑とした感じ ゆっくりと舐めるように本棚の
一面一面を見定めていく快楽

じっくりと書架を舐めずる快楽を味わって結局
ひとり旅 吉村昭 文春文庫
手賀沼と文人 秋谷半七 ふるさと文庫 崙書房
の二冊 550円を入手した すこし話をしようか
とも思ったが 愛想のない接客にそうだよな
と思い直した 古本屋は愛想が無くてナンボ
だからこそコミュ障の私にも心地よいのだ

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店横に置いといた電じて(電動自転車)へもど
ろうとすると 外棚にロり系というのか 蝶々の
ように若い女性が止まっていた というか立ち
読みしていた どんな本を覗いているのか気に
なった 思わず写真を撮ってしまった カモフ
ラージュに発車する京成線の前面も撮った

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本屋を離れようとすると若い女性の大声が聞
こえた ドキリとして振り返るとさっきの女性が
背の高い男の腕にぶら下がっていいるところ
だった 何のことはない 駅前でデートの待ち
合わせをしていただけだった

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