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つよい匂い

少女はその日
人前で会計監査報告を
することになっていた
緊張する
と 顔をこわばらせていた
愛らしい顔が真っ赤になっていた
議事が進み
彼女の番になる
並んだ机の後ろから立ち上がり
壇上で彼女は
以上の会計報告に関して
誤りのないことを確認しました
と言うようなことを宣言し
自分の席に
戻っていった
振り返ると
しぬほど緊張した
と周りの少女たちと手を取り合っている
自らの事のように
安心していた
心を寄せていた
しばらくして鼻がにおいをとらえた
深い森の中で
獲物を狩るのに駆けずり回って
汗の滲みだした獣のような匂い
血なまぐささを含んだ刺激臭

それからしばらくして
少女をわがものにした
東京の
あちこちへと出かけた
北の丸公園で
半日ベンチに座っていた
そこから千葉の自宅へ戻り
車で彼女を送ったりした

その日
車は
はじめてビニールのカーテンを
くぐった
二人はベッドの端に
腰かけそのままゆっくりと
倒れた
そのとき
以前感じたあの刺激臭が
彼女の脇から
強烈ににおった
とても
いとおしく感じられた                        それが

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