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小沼丹と煙と水槽

小沼丹の本を読んでいたら正月みたいな日 と
いう言葉が出て来て そういう日 あるな と同感
があった 何となく空気が澄んで 斜めの陽が
差した眩しい感じの日 このとき 眩い日 と書く
と書き文字っぽくなるのであえて書かない 詩
を読むと まぎゆき日 みたいに妙に格好をつけ
ているのがこそばゆい 格好をつける方向では
なく如何に脱臼したような文章にするか 自分が
物を書くときにはそちらにおもに注力している
しかし わざとらしくなっても興ざめかと思われる
のでその加減含めて全体の調和 いや あまり
調和は考えない 文章がまとまるとスリルがな
くなる これはギタリスト チャーの受け売り 彼
は文章ではなく音楽と言ってはいたが

正月みたいな日というのが映像化されている
この視覚から正月みたいな日のイメージが付い
たのだろうかとも思う 映像の中で 時期は正月
で 晴れた日にビルの脇で男たちが悪だくみ
している 一人は和服を着ていた その男が
吸っていた煙草の煙が斜めに差した昼前の冬
の陽光に自分の半身くらいにわっと広がり ふ
たりの姿がにわかに霞む 宇崎竜童が好演
した日本映画の 刺青あり タトゥーあり という
映画 長じて 自分も煙草を吸う年頃になって
街角でそのシーンを真似て見たりした 1990年
辺りまでは煙草に甘い世の中だった 仕事の
際自席でもくもくやっていて 部屋全体が煙って
朝出勤してくるとパチンコ屋みたいな匂いがし
た 仕事がひけると 職場のような匂いがする
パチンコ屋に行っていた ともに35を機にきっ
ぱりやめた

小沼丹は私小説の中でもほのぼの系というか
ドラマも死んでいく人も私が読みえた中ではほ
ぼ出てこない しかし私小説好きの中では結構
人気があるようで ここの下り とくに根拠はな
いが名を出すみんなが小沼を褒めているので 
人気があるのだろうと予想 とぼけた読み味と
最後にふわっと軽い幻想が入って狐につままれ
た感じが残ったりする それは結構パターンな
のだけれど その毎回のパターンが魅力なのか
癖になるのか 何という事のない内容をなんと
いう事のない文章で読ませるというところが
玄人好みということかしらん?

四年ぶりに開催された花火大会は途中で中止
されてしまった 強風のためだそうだが同時に
隣の市と区で同時開催された花火大会は遠花火
となってローカルチャンネルに映っていた 場合
によってはちょうど中間地点あたりの土手に花火
を見に行こうかとも思っていた 写真に撮ろうかと
思ったがそれをSNSにアップする自分を思って
何となく萎えた 花火は慰霊のために上げられ
るという事を恥ずかしながら今年知った だから
夏のこの時期なのか となれば 山梨で平日に
花火大会があったのは何か惨劇の日に合わせて
の事だったのだろうかと思い返す 

各パラグラフの何となくの共通点は煙なのか
などと軽くこじつけてみる ならば最後に水槽の
濁りについて触れぬわけにはいくまい とかいう
言葉遣いをふわりとしてみた 結局 バクテリアに
よる生物濾過を諦めて あたらしい濾過フィルター
を買ってしまった 黒い筒の中でUVライトが通過
していく水を殺菌するという仕組み この方式
は水槽をやり始めた頃に知ってはいたが 装置
が手に届く価格まで低下しているのを最近まで
知らなかった 知ったので導入した それでまた
暑い中 自粛していた水路行きを再開したくな
っている

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