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熊本出張1

熊本出張

去年の今頃、何をしていたかと思い出したら、熊本に出張していた。震災の関連での業務だ。熊本から応援要請が来て現地に行った。全国の支店から熊本に人が集まっていた。被災した顧客への対応業務。

私は、九州へ行ったことがこれまでなかった。何度か、別件で九州出張の話もあったが、断った。なぜなら、飛行機が苦手だから。閉所恐怖で、そのころは地下鉄すらきつかった。ここ数年は大分和らいで相変わらずいやではあったが何とかなるだろうと受けた。実際、飛行機に乗ったとたん夢うつつ状態となり、あっという間に空港に着いた。

空港も被災していて、トイレが仮設だった。壁の所々にひびが走っている。東日本の時と同じだ。熊本の支社にも多少被害があったが、すでに地震から二ヶ月が過ぎ、通常の業務に戻っていた。応援班は5階の会議室に集められ、翌日以降の業務のレクチャーを受けた。

業務は七泊八日で初日はオリエンテーリング、最終日は予備日で実質業務は六日間だ。その間に出来る限りのことは行う。私ともう一人の派遣者は熊本の西区を担当した。市内だが、有明湾の方やみかん畑の山もあり、都市部と郊外の両方を見て回るところだった。

ここで、たくさんの顧客にあったが、いろいろとこちらの地元にも縁のある人が何人もいた。息子さんが進学で東京にでているという人も多かった。地方から大学まで終わらせるのは金銭的にも大変だろうと思った。熊本の人は皆気のいい人ばかりで、興奮気味に地震の様子を語ってくれた。益城の方に比べれば・・・と口々に自分などまだ恵まれていると言っていた。しかし、かなり被害は受けている。

東日本の地震のように揺れがだんだんと大きくなったのではなく、いきなりどすんと来たという。直下型。ピアノが真鍮の足の受け口から飛び上がって傾いたという話を聞いた。あれだけの重たい物を飛び上がらせるとんでもないエネルギーで揺れがきたのだ。阪神のときもブラウン管のテレビが飛んだらしい。直下では物が飛ぶのだ。

全三回続きます

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