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有名大学教授のセクシュアルハラスメントから、私たちが取るべき行動を考える

 この記事に関して色々な意見があって難しいな、と思う今日この頃ですが、自分の考えをまとめておきたかったのと、後にもお書きする様にTwitterという文字数が限られた環境で言いたいことの一部だけ言って後はノータッチにするのはなんだか虫酸が走ったので長くなりますが書いてみました。

 最初にお断りしておきますが、今回の騒動に関して私は当事者の方もその噂も一切知りません。発表されているのは大学名、学部名、当事者の方の年齢のみではありますが、はっきり言って別に誰がやったかはどうでもいいのかな、と思います。憶測で飛び交った名前を拝見しましたが、私はその方の講義を受けたこともないので別段思い入れがあるわけでもなく、むしろ万が一にでも同じ理学療法士の方がなさった行為であったとしても、どこまでも遠い世界のようなことに思えました。
 ただ、少し考え方を変えれば同じ業界にいる私でさえそのような他人事として今回の事案を眺めており、率直な感想はただ一つ「古いおじさんだから、言ってもわかんないんだろうな」と言ったその方を通して世の大半の50代男性を否定するような意見を抱いてしまいました。しかし、です。と、いうことは世間の方の反応は、と考えるとゾッとします。多くの方がなさっているように安易に「当事者の方が理学療法士である」ということを想定できるような発信を各々のSNSで行い、暗喩的に「理学療法士のセクハラ常習犯だったおじさんがとうとう怒られて停職食らった」くらいのどうでもいい情報を全世界に向けて発信なさっているということです。
 そう、世間はどうでもいいのです。ご覧なさいニュースを。嵐くらいのビッグネームが活動を休止するか、テニスの世界ランキング1位になるか、市長選前の大事な時期に現職の市長がとんでもないリテラシーの低い暴言を職員に浴びせるテープでも流れない限り世間は感心を示しません。なんでわざわざ自分たちでセンセーショナルな発言を繰り返して世間に発信して恥だけ晒して気が済んだら今度はもっと世間が興味のない研究だの筋の起始停止だのどうでもいいことばっかり。あ、失礼しました。

 実際に行動を起こしている方もいらっしゃることは事実です。その方には心から敬意を示します。でもほとんどの方は違いました。だったら言うなよ、野次馬ダッセーなが本音です。これは単にセクハラ問題に感心の高い世間の方達に対する「理学療法士」のネガティブキャンペーンに他なりません。ダッセー。

 この業界に限ったことではないのかもしれませんが、世界のニュースと自分たちの業界のニュースに隔たりがあることをあまり理解していないように思える節がいくつもあります。
 先の東京オリンピックボランティア問題が勃発した際にも、条件が厳しすぎるとか費用は誰が負担するんだといった腹わたの煮え繰り返ったツイートを熱心にされる理学療法士の方が大勢いらっしゃり、それをどこかの誰かがせっせとリツイートして多くの方の感心を引いたことがありましたが、暇な私がツイートなさっている方をせっせと調べてみた所、途中から発信されている方がコメディカルのスタッフではなく単に野党政党を支持されている活動家の方だったり、オリンピックを通して政治批判をなさっている方だったりと、まったく違う方面での炎上の仕方になりつつありました。Twitterなんてそんなもんなんですよね。これで一見、多くの理学療法士が怒り心頭していたと思われた事案が全く異なる方向の怒り心頭をかっていたということがわかりました。アメージング。

 さて、話をセクハラに戻します。ここまで生意気を言っておいて自分の考えなしでは私も先ほど批判したネガティブキャンペーンと同じになってしまうので、頑張って考えます。

  セクハラのボーダーは曖昧です。それは男女間でも世代間でも異なります。河合隼雄先生の心の処方箋にもあるように、男女は協力し合えても理解し合うことはできない、そもそも他人を理解しようとするなんて命がけの行為だ、というのが私の信条です。だからこそ、私たちは私たち自身が目に見えるボーダーラインを引いていかなくてはいけないのかと思っています。こと、セクハラやパワハラといった受け手の主観に委ねられるものに関しては。

 今回の件、上の世代の方々の反応を見ると「噂には聞いていた」「こんなの氷山の一角」といった声が多数聞かれています。私が一番、腹立たしく思うのはその点です。いざ事実が明るみに出たら手のひらを返したように世界に向けたSNSで恥ずかしげもなくそんなことを言っている。思ってたならもっと前に言ったらどうなの?私が親なら恥ずかしく思います。
 自分は大丈夫かな?そんな風にも思う人もいるでしょう。思ってくださるならまだましです。一番怖いのは「そんなの、信じられない」という反応をされる男性です。人の振り見て我が振り直せ、とはよく言ったもので自分は大丈夫だと思っている人が一番危険なのではないでしょうか。これは男性に限ったことではないかと思われますが。世代によってギャップがある以上、それぞれのモラルに任せることは非常に危険です。限界が来ているのではないか、と思います。

 繰り返しになりますがセクハラのボーダーは曖昧です。これは理学療法士の業界に限ったことではなく日本中、世界中に共通して言えることです。国際政治評論家の三浦瑠璃さんが「大切なのは女性がNOと言えること」とブログに書いていましたが、私は本当にその通りだと思います。

 この記事は実は女性こそ読むべきなのではないかと思っています。やはりルールは必要であり、ルールを設けることで受ける側の女性が「NO」と言いやすくなるのではないか、という意見です。好きな人に触られたい、触りたいという気持ちは悪いものではありません。しかし今の世の中ではその気持ちまで否定され兼ねず、私はそんな世の中は生きにくいと思います。ラインは私たち女性自身で引かなくてはならないのではないでしょうか。

 セクハラをする側のモラルと私たちのモラルは異なります。これはもう明白で言ってもわからない大人がいるのですからルールを設ける他に手段はないのかと思われます。育った環境や年代が違うのだから、感じ方や考え方に差が生じるのは当たり前です。それをどちらか一方のモラルに合わせて話しをしようとするからこじれるのではないでしょうか。ましてや相手のモラルに委ねてしまうような環境は、弱い立場のストレスを産み場合によってはその方を追い詰めます。また追い詰められるまでいかなくとも双方の誤解を招き事態の悪化を招きやすくなります。

 「ソクラテスのパラドクス」という言葉があるように何が美徳で何が悪徳が真に判断できる人はこの世に存在しません。理解し合えずとも協力して同じ目標に向かえるよう、中立なルールを定める以外に術はないかと思われます。またここでも問題になりますが、おそらくそういったルールを理学療法士協会で決めようとすると、その話し合いに出向くほとんどの方がおじさんです。世間のモラルとギャップがある理学療法士の、しかもよりによっておじさんばかりが集まってセクハラの定義を決めるなんて考えただけでもゾッとします。ここのテコ入れを望みます。若年層の女性の方を話し合いに参加させることはもちろん、個人的には然るべき外部の機関に頼るのが一番かと思われます。

 世の中の物事はもうおじさんだけでは決められないのです。男女、年齢を問わずに一人でも多くの人がその事実に気づき、声を挙げて話し合っていける理学療法士業界になることを望みます。あとパワハラ対策もお願いします。

 もしも最後まで読んでくださる方がいらっしゃいましたら、駄文乱文にお付き合い頂き心より感謝致します。

読んでいただきありがとうございます。まだまだ修行中ですが、感想など教えていただけると嬉しいです。