救い

耳鳴りがする
幻聴のときもある

7月中旬に入りタイムカードは裏になった。
6月はじめから暑かったりそうじゃなかった熱ももうこもりきるほうが多くなっていた。それに気づいたのは今週に入ってからだった。
いつもしているイヤホンを叔母の家に置いて来てしまって、今日初めてバイトは耳を空にして行った。
そして初めて蝉が鳴いて、夏が来たんだと解った
今年も夏が来てしまったかーそうか、と蝉の声に耳を傾けながら曇り空で一昨日とはまるで違う空気を吸った。

5月か6月あたりからちょっと様子がおかしい。
暑さが早かったのもあるのだろうけど食欲がまるでない。体重が1,2週間で五キロ減った。長年顔も出さなかった肋骨が知らない間に顔をだした。
睡眠は殆どできなくて、ハイとローの繰り返し。
ローになるとまるきり動けなくなる。ハイは常に動いていないと死んでしまうようだった。というか今なら死ねる〜！だ。風呂で気絶することもあったし食べたら全部吐く日もあった。

数日に1冊、多い日は1日に2冊本を読む。
ずっと読んでる。文字を見ていないともうそわそわしてしまう。
夜中少しだけ散歩をする。初めて夜中に散歩をした一昨年の冬3時間位歩いて帰ってきたら、その音で起きた大家に少しだけ怒られたのがトラウマで、0時過ぎる前に出て2時前には帰るようにした。（初めて散歩をしたときは4時くらいに帰ってきた）

夜中ずっと起きて、朝も起きてそのままバイトに行って帰って数時間寝てまた起きて。
それを繰り返したやめたり繰り返したりしていた。この時点で自分の自律神経のことも考えられていたらもう自分の体はボロボロだと自分で認識するまでには至らなかったかも知れない。
もっともっと暑い日が続く。これ以上熱くなったら私はどうすればいいんだろう。

私はもともと数年前から軽い鬱が続いていたけど引っ越しを期に病院を辞めていた。酷くなって当然なのかもしれない。最近は鬱というより躁鬱のような気もしてきた。

寝れない代わりに本を読んで勉強を始めた。もともと勉強は嫌いだ。でもある二人のライバーの言葉で学ぶこと、知ることへの意欲が膨れ上がった。去年はそのうちの一人の言葉で免許を取得したけど。それができてしまった今、何かを学びたいのに何に興味があって何を目指す為にすればいいのかわからない。漢検や英検は嫌だった。あくまでそうじゃないものが良かった。そんな思いが奥にあり続けたあるとき、6月下旬もう一人のライバーのある配信とツイートを見て、美術検定と世界遺産検定を学びたいと思った。私はそれに興味を惹かれどうしてもそれが頭から離れずに、バイト帰り何度も何度も本屋に行ってその教本が並んであるところで立ち止まる。やるかやらないか。如何しよう、とりあえず検定日を調べた。世界遺産は8月下旬から9月上旬、美術は常設だった。

まず始めるなら目安がはっきりしている世界遺産検定だ
やるしかない
今この本を手にとってノートを買って、ペンを買え。
そう脳の奥から聞こえた気がした。気づいたらそれらは部屋の机の上にあって、私はそれをみた。
謎の高揚感に侵されて教科書を手に取りページを見た。頭の中には嬉しいと、楽しみと、少しの恐怖だけがあった。

次の日、いざペンを持って目の前のそいつと対峙しライバーの過去に行ったstudy with meという配信と共に、ペンを走らせ教科書にのる文字をなで、気づいたら3時間経っていた。

きりのいいところまで終え、終わってしまった配信画面を呆然と見た。書きなぐった文字、今学んだことを脳で反復するそれを教科書で確認し一息つく手前で涙が溢れ出た。
嬉しかった 本当に。一週間続けられたらその日の勉強を終えたあとありがとうと伝えよう。もし一週間続かなかったら死のう。本気でそう思った。ただただ嬉しくて、感動して嬉しさの波は寝るまで続いた。

その次の日からは友達と作業通話をしたり、勉強配信をしたりなんかして続けていたが、したくないの言葉は脳に現れず、毎日2時間から4時間勉強した。単語、漢字、読み方人名を一つ知るごとに喜びが増した。小テスト感覚でウェブに掲載されてある問題100点を取ったら喜びは感動に変わるほどだった。

そして7月12日有名人の自害が報道された。
私の世界はバイト読書と勉強とSNSで今の所形成されていて、SNS暇さえあれば好きを見て見るくらい日常を侵略している。そんな中でどのアカウントどうスクロールしてもそのことばかり、私は人の死に多分敏感なのかもしれない。
言語化するにはまだ難しいけど、日頃その人に対するSNSでの言葉は決していいものではなかった。SNSをしている人の殆どがその人を悪く言っているように思えたのは今に始まったことじゃない。そうじゃないひとがいることもわかった上ではあるけれど。
そんな中でその報道を告げるニュースが上がると出てくる言葉は「びっくりした」「辛いならそう言ってくれたら良かったのに」「信じられない」「嘘でしょ」「ざまぁない」「消えてくれてよかった」」「元配偶者と子供が可哀想」「無責任」「逃げた」「死んで逃げれて擁護されて構ってもらえてよかったね」「私も昔〜、それで〜」

怒りが込み上がり吐き気がした、どこを見てもそんなことが目に止まる。死んだ人間に口はない。死ぬのにどれだけの絶望と恐怖と勇気がいるのかそれを知らない。ネットは誰が死のうとどれだけ当事者や近い人がが声をあげようと、見世物にしてその声で遊び、自分の悦に利用する。すべての言葉が棘だった。擁護も避難も自分語りも全部全部棘のようで勝手に刺さって苦しかった。見るのも聴くのも声に出すのも嫌だった。自分の周りもそればかり。私は聴きたくないと声を上げることができなかった。浅く冷たい風呂に沈んで勉強にのめり込んで本を読んだ友達とゲームをしたときだけ風呂から出て、相手が寝たらまた本を読んだ。

そして次の日、7月13日、目標の一週間だった。たった一週間でも私にとってはあり得ないほどに大きい。浮かれた気持ちで起きてすぐ勉強を始めた。たまたま昨日はスマホの通知を全部切ってなんの通知も来ないアイパッドで勉強配信を流していたから私は何も知らなかった。
3時間の勉強を終え、いつも見ている配信の結末を見届けて、一息つき終えたあとでスマホを手に取った。ありがとう魔界ノりりむ、家長むぎ。一週間目標を達成し終えたその瞬間は喜びと感謝で「おい！聞いてくれよ！貴方と貴方二人のお陰で凄えこと成し遂げたんだ！ありがとう！ありがとう！本当に嬉しいぜ！キャッホーイ！！」そう頭の中で激しく踊りそれを伝えるぞ〜！感謝言うぞ〜！出いっぱいだったのに通知をオンにして出てきた通知の真ん中に、『家長むぎがあなたをフォローしました』とあった。

思考が止まり、ツイッターを開いて通知欄に行くとやはりそうある。それをタップすると家長むぎのツイッタホーム、右上には自分が家長むぎをフォローしている印、その下にはあなたをフォローしています

私はもともとファンアートを気ままに描いていて、むぎちゃんにのめり込んでからはむぎちゃんを描くことが増えたし、相互である私の友人も家長むぎにフォローされている。だから多分今日じゃなくてもされたときは超テンションはあがり嬉しいとありがとうになるのだろうけどなぜ今。

私は言ってしまえば家長むぎに命を救われたのだ。やることが無い、出来ることもない、体は一向に良くならないこの数週間は勉強をするを目標に生きてきて、いざ勉強し始めると一週間毎日やって、できなかったら潔く死ぬ。だけど頑張るそれだけで生きてきた。毎日毎日いろんなことが自分の中でおこり、ぶつかり消えても、ありがとうと今すぐ伝えたい！になっても、一週間経つまで我慢、頑張るんだ。生きるんだ。むぎちゃんの配信むぎちゃんとリスナーさんと頑張ってきた。ただありがとうが言えればそれでよかったのに、それよりももっと上のことが起こったのだ。
それを黙認したあと混乱と喜びといろんなことへの感謝で爆発した。子供のように大泣きして。これが号泣の見本ですみたいに泣いた。
気づいたら文字を打って、ツイートという形で送った。それでもこらえきれず号泣スペを開いた。
そこに来たのはいつもよく私の絵を見てくれる人、勉強を応援してくれていた人、友達、そして家長むぎという一人の人間を通してつい数日前に友達になった人が来てくれて。ある人は私の言葉を見届け、ある人はありがとうって言えてよかったねと言葉で背中を撫でてくれ、ある人は一緒に泣いてくれた。

私がどうして勉強ができなくなったのか、嫌いになってしまったのか、それを克服するきっかけはどんな言葉でその言葉にどれだけ救われたか、いろんなこと、ものに対するありがとうの言葉

何度も繰り返し何度も何度もずっと一人で抱えた感情を言葉にした。そしてそれとそれに対する言葉を貰うたび、声を出して、初めて泣いた子供みたいに泣きじゃくった。

途中無理かもと思うことは何度もあって、勉強が無理なのではなく、生きることが無理かも知れない、そんな不安で頭がいっぱいになり、だけどそうなるとむぎちゃんとりりむちゃんにありがとうが伝えられない。どうしても言いたい。その気持ちだけで生きることをやめなかった。

そして感謝を言い終えた今日、私はこの6月から7月までの話しを書き終え投稿を終えたら、また勉強をする。次また日記がかけますように。

ありがとう