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令和に初めて『ウルトラマン超闘士激伝』を楽しむ

円谷のサブスク『TSUBURAYA IMAGINATION』でこういう企画をやっていて。

ウルトラ戦士が鎧を纏って戦うマンガ、『ウルトラマン超闘士激伝』が無料で読める!!

ということなので、読んできました。
超闘士激伝、根強いファンのいる人気作なのは聞き及んでたんですが、生まれる前から物心つく前までの作品で触れる機会が無かったんですよね~。

作品の前知識はほとんど無くて、知っていたのは前述の通り「ウルトラマンが鎧を纏って戦う」ことと、原作者・瑳川竜さんがあの三条陸さんの別名義であるという事実くらい。ともあれ仮面ライダーWや獣電戦隊キョウリュウジャーは好きな作品なので、「どんなものかな」と期待しつつ読んだら、しっかりバッチリ面白かったです!

無料期間はあと五日ほどで終わってしまうのですが、せっかくなので令和に初めて超闘士激伝に触れた感想を書いていきますね。

なお、今回は無料範囲のみの感想になっています。
新章も気になるけど、それはまたいずれ……!


テンポの良いインフレが気持ちいい

物語の舞台は宇宙警備隊の活躍によって平和になったM78星雲次元。
地球人の技術力は進歩し、怪獣や宇宙人たちとも仲良く共存している、昭和ウルトラマン世界の未来。

そんな中、全宇宙の強豪たちが集まる"銀河最強武闘介"の開催が決定!
だがその大会に不穏な影が……!?

という内容で、話の中心はいつも戦い。
恐るべき強敵の出現に、ウルトラ戦士はどう立ち向かうか!?の連続。

猛特訓の末に高い実力を身に着けたウルトラマン、でさえ互角に戦うのがやっとのメフィラス大魔王。そんなウルトラマンやメフィラス大魔王でも歯が立たない強敵が現れ、ウルトラマンは更なる力を身に着けるも……と、次々に恐ろしい強敵たちが現れてスケールアップしていくバトルは、一戦一戦がテンポよく短く進むので気持ちが良い。コミックボンボンの連載作品だったようですし、玩具とのタイアップ企画でもあるので、月刊でもサクサク話を進めてくれるんですよね。なのでまとめて読むと、濃厚でありつつも読みやすい。楽しいペースで話が進んでいく。

で、そうやってインフレが進みまくるとパワーバランスとか妙なことになるんじゃないか?と思う部分もあるんですが、そこはタイトルにある"超闘士"の存在がバランスを取っている。

超闘士となれば規格外の力を発揮することが出来るし、超闘士でなければ太刀打ちできない敵なども出てくるんですが、そのラインを超えることは無いんですよね。そのレベルの敵が相手になってくると、"超闘士の力をどう扱うか"に話が移動する。莫大すぎるエネルギーの制御が問題となったり、色々あって敗北してしまった後、復帰するまでの時間をどう稼ぐかに話が移ったり。なので、ポンポンとインフレしつつも際限のない設定盛り合戦にはなっていない印象を受けました。

近年の映像作品だとゼロさんのイメージが近いですよね。
ウルティメイトシャイニングゼロなんて負荷甚大な高エネルギーモード持ってますし……鎧着てるし……


キャラ付けに時代を感じる

読んでいて「おや」と思ったのはこの辺り。
挟まれるギャグ描写なんかは児童誌コミックのノリだな~という感じなんですが、各キャラクターの性格付けに時代を感じた。

何がかって言うと、近年だともうウルトラ戦士って昭和も含めてキャラクターが固まっているじゃないですか。個性的な平成以降のウルトラマンと、彼らを見守り、時に先達として雄姿を見せる昭和ウルトラマンたち。
昭和マンのキャラクターは年月を経て立ち位置が変わりつつ、映像作品からそうブレないように意識してやっている面はある……と思います。

ただ、激伝の時代はまだそういう方針じゃなかったんだなーと感じさせる。
映像作品でウルトラ戦士たちのキャラクター描写がハッキリしてない部分も大きいから、今と比較すると自由に、オリジナルの性格を付与してるなって感じがします(激伝以外の昔のマンガもそうだと思うんですが)。

具体的に言うと激伝エースなに!!??

ウルトラ兄弟の中でも、エースは特段にアホの子として扱われているというか、脳筋コメディキャラとして描かれてるのにちょっと戸惑った。嫌いではない。鳥みたいなΣ型の口が可愛いですね。なんで??

難しい言葉が分からなかったり、とにかく突っ込めば良いんだなの精神で戦っていくエース、ともすればゼット君よりもアホっぽいので新鮮でした。でもなんか、ウルトラ兄弟全員が真面目でしっかりしてると硬くなるし、ジャックやレオ・アストラがギャグやっても似合わないし、まんまるお目目でちょっと足が短く見えるエース、適任なんだなぁ。見た目がちょっとかわいいとこあるもんなぁ。ここぞというシーンではめちゃくちゃカッコいいんだけど!

ド真面目で諦めないウルトラマンさんは印象がさほど変わらないし、そんなマンの親友ポジションなセブンは比較的常識人で、人間味が強い辺りはちょっとそれっぽい。映像作品とはちがうながらも、「このポジションに置くならこの人だよなぁ」という納得感はあるので面白いですよね。

それはそれとしてタロウがめっちゃ可愛いんだなぁ。
末っ子時代のタロウだもんなぁ。純真ゆえに未熟な面が垣間見えて、だけどポテンシャルはウルトラ兄弟でも随一。そんなタロウがあの人の元で修業してその才能を開花させていく流れ、めっちゃ好きです。

また、ウルトラ兄弟たちだけでなく、パワードやグレートといったビデオ作品の最新ウルトラ戦士を登場させてるのも良いポイントですよね。
これらもキャラ付けは独自感あるなと思うんですが、ウルトラ兄弟とは別の使命を背負っていて親友同士のパワードとグレートとか、設定の付け方が美味しい。コミックス終盤には若手戦士としてネオスやセブン21が出てきたり、今のギャラクシーファイトにも繋がるお祭り感が楽しいです。

人によっては映像作品と違うキャラ付けに戸惑うこともあるだろうけど、そこを呑み込めばむしろ楽しい要素として受け入れられると思います。

しかし……激伝次元でのゼットってどうなるのかな……
名付け親が"あの"エースになってるゼット……
ギャラファイでパワードやグレートに修行を付けてもらっていたリブットは、激伝でも美味しい所を貰えそうだなぁ……

なんて、世界観の違いから空想が膨らんだりもしますね。
ゼロは超闘士にたどり着けそうだけど、タイガはどうかな……?


OVA超闘士激伝

こちらも面白かったです!!

時系列はゴーデス編の後。
完全版八巻の、エンペラ星人編が始まる少し前の話。

かつて地球に接近した彗星ツイフォンが、長い年月を経て再び地球に迫っていた。これを破壊し地球を守ろうとするウルトラ戦士だが、彗星の正体は……!?

激伝らしいインフレバトル中心の一作でありつつ、作中でも重要なキャラクターの結末が描かれる作品でもある。

ウルトラマンと彼の最期の会話がさぁ……!
彼の得てきたものとウルトラマンの優しさが詰まっていてさぁ……!
それを経て本気でツイフォンに立ち向かうウルトラマンがさぁ……!

短いながらも激伝の良いところが全部詰まっている感じがして、彼の話を抜きにすれば、ここから入るのも……アリか?と思ってしまう。
月がガンガン破壊されてくのとか、楽しいですよねぇ。
あと主題歌の「超闘士ウルトラマン」もカッコよかった。

森川智之さんが演じるウルトラマン、生真面目さとカッコよさが凄くらしくて好きでした。近年の櫻井孝宏さん声のウルトラマンさんも優しさが溢れてて好きなんですけど、主役ヒーローとしてのウルトラマンだったら森川さん声もかなり良い!

っていうかこのOVA、全体的に声が良い。
関俊彦さんのセブンは彼の(マンと比較すると)凡人ながらも懸命な性格がよく出てるし、檜山修之さんのメフィラス大魔王なんてもう完全にそれしかない選択肢じゃないですか。皆さん激伝のイメージに良く合ってて理想的なOVAだなぁと思わせてくれる。


今のウルトラに繋がるもの

というわけで、無料公開分の激伝を堪能したんですけど。
マンガ作品ながら、激伝の色々な要素って今のニュージェネにも通じるものが色々あるんだなぁと分かりましたね。

ニュージェネというか、銀河伝説以降ですかね。
ウルトラマンゼロに始まるウルトラ族を主体とした宇宙でのエピソード、けっこう激伝の遺伝子を感じさせる部分が多い。

特にギャラクシーファイトってそうじゃないですか。
色々なウルトラ戦士が一堂に会して、新たに出現した強敵と戦っていく。
怪獣特撮というよりもヒーローとして、バトルを中心に据えた話の展開ってまさに激伝と近いものがあるんじゃないか、と感じます。

そう言った意味では、ティガ以前の作品ながら、今読んでも古さはあまり感じないかもしれない。むしろマンガだから出来ていたことが、令和の今なら映像作品でも出来る……追い付いた、という感覚が無くもない。

今まで触れる機会の無かった激伝ですが、この機に読んでみて本当に良かったと思います。面白かったもんなぁ。近年ウルトラを観始めた人や、ずっと観てるけど激伝はまだ……って方にもおススメです。みんなで読もう。無料期間は九月九日までだが……


ところで、ツブイマに入ったら

今回の読み放題、ツブイマのスタンダード会員限定なんですよね。
月550円。安い……と思うけど、激伝の為だけってのもなぁと感じる方に他の作品もおススメしておく。

・セブンガーファイト
セブンガー主役のファイト系作品だ!全体的にゆるいノリながら、ストレイジの面々のナレーションと共にセブンガーの活躍を観ることが出来る。
これ正史だぞ正史!

・戦え!セブンガー
またセブンガーだ。
激伝のおまけマンガではあの扱いだったセブンガー、単体主役を二本も持ってるんだなぁ。「てれびくん」連載作品がツブイマでも読める。毎回短いながらも本編に登場しない色んな怪獣と戦うぞ。
これも正史だぞ正史!

・THE RISE OF ULTRAMAN
アメリカンコミック作品。
ウルトラマンの世界をアメコミアレンジした作品が、ツブイマでも読める。
ウルトラQ~セブンまでの世界観の再構築が興味深くて、話はまだまだ始まったばかりなんだけど、今後が気になる作品。
本作のウルトラマン、かなり宇宙人然とした宇宙人なんだけど、だからこそ地球人との距離感が原典とは色々違っていて面白い。続編の『THE TRIALS OF ULTRAMAN』ではハヤタとの掛け合いが楽しかったり、そろそろダンも話に関わってきそうだったり、マジで続きが気になる。どうなるんだこれ?

・大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア
ラッシュラッシュダイカーイジューラァァーーッシュ!!!
ウルットラッ!フロンティアァッ!!!!
データカードダス連動のCGアニメ作品。
独自アレンジされた宇宙人たちがカッコいいんだよマジに。
強力なエネルギー資源・プラズマソウルによって変貌した超巨大怪獣が出現するようになった宇宙が舞台。
宇宙人たちはチームを組み、一攫千金を狙ってプラズマ怪獣に挑む!!
ゴールドラッシュモチーフの独自の世界観がグッと来る作品で、平川大輔さんが声を務めるバルタンバトラー・バレルなど、カッコいい宇宙人が多数登場する。列伝や映画などのおまけとして放映されていたので、各話がかなり短いのも特徴。サクサク見ていきましょうね、ラッシュハンターズを!

・擲命のデシジョン・ハイト ーストレイジ創設物語ー
小説作品。
これはもう完全にウルトラマンZ観た人向けに。
ストレイジ結成までの前日譚なんだけど……もう……
ヘビクラショウタ!!!!!!!!!!


……とまぁ、ツブイマには他にも楽しめるコンテンツが色々あります。
ステージショーの配信なんかも今後増えていくみたいだし、現時点でも博品館THELIVEウルトラマン編や、すかがわ2018などのショーがスタンダード会員になると観られる。これもおススメ。

時勢柄、活用しにくい場合も多いと思うんだけど、スタンダード会員月550円なのにイベントチケット500円引きみたいなキャンペーンをやったりもするので、けっこうお得。ともあれ激伝の為に一月だけでも加入をすれば、他にも色々楽しみ放題なのは確実です。無いコンテンツやプレミアム限定も色々あるんだけども。UIは改善の余地があると思うし。でもやっぱここで見られるもの、多いからな……!


改めてですが、激伝のコミックス無料期間は2021年9月9日まで。
あまり時間はないようなので、お早めにどうぞ。面白いから!!!


という辺りで、感想と紹介を終わりますね。
お読みいただきありがとうございました!

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