怪獣を売る男

「地球産の怪獣は体力があって使いやすいですよ」
「らしいな。しかし特殊能力では劣らないか?」
「侵略方法にもよりますが……能力持ちの怪獣は、値が張りますよ?」

 俺は悩むイェルゾ星系人にあくまで地球怪獣を推した。
 見た所ヤツは大した金も科学も持たない。侵略対象も数段ランクの劣る原始惑星とくれば……無理に大物を売りつける必要も無い。

 結局、イェルゾは俺の推した二体の怪獣を購入していった。
 それで原住民を恐怖のどん底に叩き落とすのだと、楽し気に笑っていた。

「……侵略される方の身にもなれよ」

 呟きつつ、自分が言っていいセリフじゃないなと自嘲する。
 その侵略のための兵器を売りつけているのは、どこのどいつだ?

 怪獣は金になる。だから捕まえて売る。
 それだけのことだろう? 自分に言い聞かせながら仕事を続けていると、俺の端末にある連絡が届いた。

「……恨滅怪獣が?」

 それは。
 俺の故郷を焼いた怪獣の、復活の報せだった。


【続く】

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