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『獣旋バトルモンスーノ』に導かれてきた

何を言っているのか分からないかもしれない。だがモンスーノDNAに触れたことのある人間なら必ず理解していることだろう。このアニメは尋常じゃない。我々には計り知れない何らかのエネルギーを放っているのだということに。

そのパワーに触れた結果、私はこうして感想を書かずにはいられなかった。

そう、感想。感想だ……
あくまでも個人的で、私見に満ちた記録だ。故に、既に全身までモンスーノの世界に浸かっている者たちからすればおかしなことを書くかもしれない。

けれど、テレ東がモンスーノの世界から足を洗った今。今こそが書くべき時なのだ。傲慢かもしれないが、書かずにはいられなかったのだ。

モンスーノとは何か

モンスーノとは、太古の隕石に付着していた特殊なDNAから誕生した強いパワーを秘めたモンスターのことであり、時としてパワーそのものだ。

普段は小さな筒状の装置に入れられていて、スピンすることで8分間だけ地上での活動が出来る。

そしてモンスーノというアニメは、このモンスターの入った筒を売り出すための販促アニメだ。筒をスピンし、中のフィギュアを跳び出させ、カードゲームでバトルをする……待て、私は正気だ! 本当にそうなんだ!!

カードの要素はアニメ作中には出てこない。途中からアイキャッチ画面がカード風になった程度か。製作は日米共同で行われており、脚本はアメリカで作られている。

一見日本のアニメのようにも見えるが、中身は翻訳アニメ……そのギャップも、モンスーノという作品の味を生み出す一因となっていたはずだ。

スピード

このアニメの特徴の一つと言えば、やはり展開の早さだろう。
毎回新たな場所から物語はスタートする。暑い荒野から雪原へ。そして大都会。かと思えばまた荒野や雪原……

何故そうなるか? 少なくともモンスーノ1期での物語が、「行方不明となった父を探す」というものだからだ。
モンスーノ研究の第一人者である彼は、いたる所に出現しわずかな痕跡を残していく。主人公たちはそれを追い、また父の研究を求めて他の組織も主人公たちを追う。

旅だ。モンスーノは旅の話なのだ。けれどこのアニメで最も求められている展開はなにか? 敵のモンスーノと、激しいバトルを繰り広げる事だ。

であれば、必要なのは主人公たちが『今どこに向かっているのか?』の情報だけ、ではないだろうか?

故にモンスーノの話は、毎回どこだか分からない場所から始まり、目的のため……或いは脱出のため、敵や敵の車両、周囲の建物を盛大に破壊して飛び去っていく、明朗快活なストーリー展開となっているのだ。

そのテンポ感に、本放送時の私はついていけなかった。モンスーノに触れる資格を持たなかった。だがYouTubeで配信されている今は違う。圧倒的気楽さでそれを楽しむことが出来る。だからこそ私は、モンスーノの世界に足を踏み入れてしまったのだ……

パワー

このアニメのもう一つの特徴が、時折繰り広げられる常軌を逸した展開や行動である。

二手に別れよう。手分けしてヤツを捕まえるんだ!

このセリフが用いられるシーンのキャプ画を見たことはあるだろうか?
この後のシーンで、主人公たちは三手に別れる。二手とは何かを深く考えさせられるシーンだ。

だがこれは、モンスーノの不思議なパワーを示すシーンではない。単純におかしいシーンだ。

モンスーノらしい異常なパワーを示した回といえば、やはり第7話だろう。

いきなり砂漠の街に向かっている主人公たち。そこに現れるマニピュレーター執事。バスの天井をくり貫いて崖を昇っていく執事。ラーメン屋。カウンターを滑っていくラーメン。破壊される店。唐突に没シュートされる主人公。毒を盛られた経験もあるのに、敵のクッキーを山盛り食べる主人公。地下からポップアウトする主人公。そしてラーメン屋……

それらはほとんど全て登場人物たちにとって『おかしなこと』としては映っていない。まぁ驚きはするけれど、理解の範疇でのお話だ。こちらがそう思っていなくとも彼らには、関係ない。

第7話はモンスーノのクレイジーな一面を凝縮したような回だが、全編を通してこのようなツッコみたくなる描写は頻発する。素早いテンポの中で、我々は準備の出来ないうちにそれを喰らわされ、心の中でツッコんだ頃には次の展開へと進んでいる。恐るべき力だ。

王道

ではモンスーノは、ネットで騒がれるために生まれたイカれたアニメなのか? ここまでの紹介でそういう印象を持ってしまった者もいるかもしれない。だがそれは違う。確かにモンスーノには我々にとって未知の部分が大きい。しかしその根幹を成すのは、友情と、絆と、勇気が織りなす王道の物語なのだ。

主人公は、行方不明となった父を探している。
その過程で、チームを組んだ仲間たちと深い友情を刻み、相棒となるモンスーノたちとも絆を結んでいく。

最初は心を許せず仲間だと認められなかった相手も、回を経て経験を積む中で、少しずつ気持ちを開けていったりする。チェイスは父や相棒との関係に不安を抱くが、そんな時は仲間たちがしっかりと背中を押す。

主人公を取り巻くチームメンバーたちの関係性をしっかりと描いてくるのが、モンスーノの侮れない点なのだ。
(その結果ノアの挙動が不安定な回も多いが、世間慣れしてない彼の一面が現れてる感じでとても良いぞ)

バトル

モンスーノアニメにおいて一番の見どころは何か、と言われれば、やはり戦いをおいてほかにはないだろう。

主人公チームは様々な敵対勢力とモンスーノで戦っていく。その戦闘は力と技の応酬で、近くに建物があれば当然、無事では済まない。

破壊。そう、破壊だ! モンスーノは破壊の描写によってその身に秘めた素晴らしいパワーを我々に伝えてくれる。そして主人公チームは、敵に勝つためなら、基地の破壊はもちろん、車両や歴史的建造物や生活に必要な橋や埠頭までモンスーノを用いて積極的に破壊していく。

下手すれば命を奪われる戦いだ。その辺りの手段は選んでいられないし、時としてはモンスーノを操る敵本人を攻撃したりもする。

また、バトルの際に行われる敵との掛け合いも魅力の一つだろう。

主人公、チェイス・スーノはよく敵に追い詰められ、高圧的なセリフで降伏を迫られたりする。そんな時大抵、彼は不敵な笑みを浮かべ、敵を煽ると共にモンスーノをスピンする。抵抗と破壊が答えだ。主演のKENNさんの声で放たれる煽りは、聞くものに痛快な気持ちを感じさせるだろう。

終わりに

モンスーノの配信が始まったころ、私は少年とモンスターが共に戦う小説を書き始めた所だった。テンポ感やバトルの描写に悩む中、モンスーノの強力すぎるパワーが作風を変えてしまわないか心配だったが、流石にそれは杞憂であった。

さておき、主人公が強いモンスターと共に戦うお話は良いものである。それがたとえ、モンスーノという兵器じみた力であっても。

YouTubeでのモンスーノ配信は終わりを告げた。未来は潰え、モンスーノDNAは消滅してしまうのかもしれない。だがひとまずは、かつて合わなかったモンスーノに再びめぐり逢い、そのパワーを堪能することが出来た事を喜びたい。第2期も、いずれ運命が巡って来たら観る事になるだろう。3期? 日本未翻訳? それは……ヴィジョンが見えないんだけど……

願わくば、この無料期間が終わらない内に一人でも多くの人間がモンスーノに出会えることを。

私の感想はひとまずこれで終了だ。

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