マーダーポリス・スクリーム

「ギィアアアアアッッ!!」

 深夜、暗い倉庫。悲痛な叫びが響く。

「イイですね……もっと聴かせてください」
「ギィアアアアア!!」

 華奢な少年が、素手で大男の腹を引き裂いていたのだ。
 血と内蔵がボロボロ溢れ出て、男の顔は蒼白になる。
 明らかに、常人の力ではない。
「僕、悲鳴を聴かないと生きている気がしないんですよ」
 ぐいぐいと腹を押し広げながら、少年は語る。常人の力ではない。彼は改造手術を受けていた。
 20XX年。機械技術が進歩し、人体の改造が容易になった時代。犯罪者たちは己の身体を顧みず、危険な改造によって化け物じみた力を手に入れていた。
 無論、並の人間は対抗出来ない。警官である俺でさえ、見ている事しか出来ない。
「全身が震えなくて、血が冷えるんです。だからほら、人助けだと思って、もっと……あれ?」

 彼はきょとんとした顔で呟き、こちらを見る。

「死んじゃいました……」

 彼は、そんな改造犯罪者を狩る猟犬だ。


【続く】

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