ダークネス・ホビー・グラディエーター

 玩具たちは竜巻を起こし、閃光と共にぶつかり合った。
 力及ばなかった側は砕け散り、勝者だけがスタジアムに残る。

 どうしてこうなった?

 俺はスタジアムに残った愛機ブルーガーディアンを手に取り、自問する。

 俺はフリーの玩具プレイヤーだった。
 最新鋭の機器を用いた電子ゲームの選手ではない。
 大昔に流行った子ども向けのホビーを集めて、懐古趣味の老人や物好きな若者の対戦相手になってやる……そんなちっぽけな仕事をしていた。
 大人のやる仕事じゃない。そう陰口を叩かれはしたが、そういったホビーを愛する者には、対戦相手が必要だったから。

「イエローサンライズっ……! どうして……!」

 向かいに立つ男は、粉々に砕けた玩具を手に慟哭する。
 山吹色に塗装されたそれは、男にとって無二の相棒だっただろう。

 俺は、こんな顔を見るためにブルーガーディアンを戦わせたのか?

「やぁ、見事だったよブルーガーディアン。
 これで君も、本選出場だね」

【続く】

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