Another Real monster

『――が発令されました。繰り返します――』

 人類は一つ上の存在へ進化する。

 馬鹿の一つ覚えのように叫ばれたのが五十年前。
 そして現在。人間は脳や手足にマイクロチップを埋め込むことで、様々な恩恵を得ていた。
 現実には様々なレイヤーが被せられ、ただ見るだけであらゆる情報を手に入れられるようになった。
 金銭の支払いや身元の確認は手をかざすだけで済むし、指一本動かさずにピザの宅配を頼むことだって出来る。

 大昔のSFに出てくる超能力者のような存在に、俺たちは成った。
 これからも進化し、繁栄していくのだと、思っていた。

『バグリアス反応を感知 周囲への避難勧告が発令されました。繰りか』
「黙ってろ!」

 脳内のチップに怒鳴ると、頭に響いていたサイレンは消える。
 今更何処に逃げろというんだ。もう、目の前にいるんだぞ。

『グルルルぅ……』

 拡張現実は、人類だけの世界のハズだった。
 なのに、どうして、俺たちはこんな怪物を……


【続く】

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