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#54 災害時の電力確保 01

電力確保の重要性

自然災害BCPにおける「平常時の対応」として優先して準備すべき重要な要素が3つあります。1つは建物・設備の安全確保及び避難場所への避難行動、2つ目は水・食料などの備蓄及び復旧資材・機材の確保、3つ目に電源の確保です。
現代における日常生活において①生命の維持、②照明の確保、③通信機能の維持、④情報源の確保は不可欠であり、現代人の生活を維持するためには、電源は必ず確保しなければなりません。
我が国の発電電力量は、電気事業連合会の資料によりますと1980年代の高度成長以来増加傾向を示し、2010年には,約1兆1500億KWhに到達し、2011年の東日本大震災以後も概ね1兆KWhを維持しています。発電構成は、東日本大震災を機に、原子力発電が約30%から5、6%に激減し、天然ガス、石炭、石油などの化石燃料への依存が約60%から約85%へと増加しています。

海外に依存する電力発電構成

IEA(国際エネルギー機関)が主要国の発電電力量の比較を発表しています。欧州各国では再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)が約30%、化石燃料50%、フランスは特異で、原子力が70%、米国は化石燃料60%、原子力が20%です。中国は、石炭・天然ガス70%となっています。各国とも、再エネへの転換をめざしつつも依然として化石燃料に頼らざるを得ない状況となっています。我が国の場合も、同様の傾向を示しており、再エネ・水力約20%、原子力6%、化石燃料75%となっており、この化石燃料はほとんどが海外からの輸入に頼っています。
特に石油は、その約9割を中東から輸入しており、イスラエル・ハマス戦闘のような紛争が中東全般に拡大すると、我が国のエネルギー輸入にも影響を及ぼす可能性があります。電力確保という観点からも中東情勢には常日頃から注目しておく必要があるでしょう。

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