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手塚治虫AI「ぱいどん」後編感想

手塚治虫2020年

新作マンガ「ぱいどん」ご存じでしょうか?

AIに技術によって2020年に手塚治虫を復活させて新作マンガを描こうというプロジェクトです。
その新作マンガが2月27日号のモーニングにて掲載されました。
その時の感想はコチラ

さて今回その後編が4月16日に公開されることになりました。
現時点ではまだ発売されておりませんが
先行として特設サイトにて公開されており
一早くそのレヴューをお伝えします。
特設サイトへの進み方は下記動画にて説明しておりますのでぜひ
ご覧になってください。

後半の感想ですが

ストーリーはあまり言わないでおきますね。

う~ん。ぱいどん、変身できるんですね(笑)
役者らしいので七色いんこの影響かな。
でも70年代の作品を元にしたらしいのでその要素は入ってないと思うんですけど…

ヒョウタンツギが出たあたりはニヤリとしますね。

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しかし全体的には
キャラクターやストーリーのクセは継承できても
展開力、特に構成力が乏しいかな
手塚先生の真骨頂と言えば構成力ですよ。

そしてそれに不随したスピード感
スピード感がやっぱノロい

うん。ノロイんです。

手塚作品独特の息もつかせぬ展開、
心の準備ができないまま置いて行かれる疾走感がないんですよね。


伏線回収もできずじまい。
2030年という設定、時代観
予言者の名言、水仙の花ことば
ニオイと記憶の関係?
マリア像の秘密?

結局なんだったの?って感じです。

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残念…。

国が滅んでしまう恐怖さ、危機感もなかったですね。

なんか文句ばっかりになっちゃいましたけど…(笑)

改めて解析できない手塚治虫の深さというものが認識できました。
AIが到達できなかったことで改めて知るというね
説明できない深さといううますか。う~ん。言葉にできないですね。

手塚治虫が放つ異常さというか世界観と言いますか…
先生もご自身で良く言っていた毒っ気ってやつAIにはないですね


AIはオリジナルの代わりはできない。
ことが良く分かりました。

オリジナルとは積み上げた
知識経験見たもの、触れたもの、感じたもの
感情以外の感触温度ニオイ、そこから生まれる感動や悲しみ
そしてそれらをアウトプットする時の
感情、体調、ひいては社会情勢、経済状況など
いろんなものが交錯して作品というものが生まれます。

作品が作者の子供だとすると
AIはその子供の情報をインストールしているので
作品から親の情報をコピーできたとしても
親の経験や感情はコピーできないんですよね


手塚先生の根底にある生命の神秘、命の尊厳というものは
間違いなく壮絶な戦争体験から来ているし
その経験、空気感はコピーできるわけがありません。

ヒヨコを分析してもニワトリの考えには到達しないって感じですかね。

ダウンロード

ほんと
この企画によって手塚作品の放つ深みというのが
先生自身の技術ではなく根源、魂から湧き出ているのだと確信できる
ひとつの答えになりましたね


さて今回の「ぱいどん」
最後に総評となりますが
1つのマンガ作品として
面白いか面白くないかで言えば…
面白くありませんでした。

手塚治虫というブランドとして掲載された作品であって
決してネームの段階から試行錯誤して世に送り込まれた作品ではないということ。
ブランドなしにクオリティだけでみれば
とても雑誌に掲載されるべきクオリティには達していませんね。

だけど
AIとコラボレーションする。手塚治虫を復活させる。
近代技術を持って偉人を蘇らせるといく試みには満足です。
純粋にワクワクしましたし期待と夢がありましたね
そして手塚眞さんが絡んでいることで
決してむやみやたらに手塚先生をサンプルのような扱いにしたわけじゃなく
魂を込めてスタッフと一丸となり今回の企画に
取り組んで来た熱意が感じられました。
手塚治虫らしさを一番近くで見てきた中心人物が今回のプロジェクトに
参加協力し一緒に作り上げたと言うのは何よりも説得力を持ちます。

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作品だけをみて結果を判断するのではなく
プロジェクト全体としてみたときに非常に未来を感じさせてくれるものであったしきっとこの企画自体は今後の試金石になることでしょう。

天国の手塚先生はきっと自分が参加したかったと
ウズウズしていることでしょうけどきっと笑顔で
「お疲れさん」と言っていることだと思います。

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