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超初心者のための手塚治虫ってなんだ?

今回は
今更だけど手塚治虫ってなに?

超初心者のための手塚治虫をテーマにお話ししようと思います。

手塚治虫先生の偉業は、
たしかに今の人の基準だとわかりにくいかも知れません。
また「凄さ」の価値基準もそれぞれ違うのでに比較って非情に難しいと思います。

そこで今回は超初心者のためのということで
細かい偉業を語るとキリがないので超代表的な偉業のみを羅列して
ご紹介してみようと思うわけであります。

唯一無ニと呼ばれるマンガ界の巨匠の偉業にぜひ触れてみてください。


【コマ割りの革命】


まずは
コマ割り

それまでは従来のマンガはコマを上から下に読んでいました。
イメージとすると4コママンガをイメージすると分かりやすいです。

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たとえば1ページに8コマあるとすると
4コママンガが2個並んでいるイメージ
上から下に 1. 2. 3. 4と呼んでいき
5コマ目は左上に戻って5. 6. 7. 8と下に読んでいく。
縦に読ませていました。(というかこれが普通)

今はどうですか?

マンガって横に読んでいきますよね。
右上から始まって左に読んでいき
段落を変更して下に読み進めていきますよね。

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このコマ割りをダイナミックに変更したのが
手塚治虫が最初(らしい)と言われています。
(上の画像の右ページの一番下のコマのようなイメージ)
最初ではなくてもそれを広めた功績は大きい。

これによりどういう変化が起きたかと言いますと
横長のある大きな表現ができるようになりました
これまでは4コママンガの羅列なのでコマの大きさは(一定)限られていたわけですが横に読ませれば大きなコマ割りが可能になったというわけです。
TVで例えるなら大画面TVが目の前に現れた衝撃です。

しかも大小さまざまなコマを効果的に使うことで
感情の起伏なども表現できるようになり、
マンガ表現の見せ方の幅が圧倒的に増えたわけですね。
これによって表現の自由度が圧倒的に広がることになりました。

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当時の子どもたちにとって
手塚治虫の出現はある種のカルチャーショックだったと思います。
例えるなら
マンガという世界に映画館ができたような印象ですかね。

これはマンガとはこれまでのような淡々としたものではなく
エンタメとして確立された瞬間でもあります。
そして多種多様なマンガがこれに追随していくようになっていき
日本のマンガ文化が大きく成長していきます。

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戦後の荒れ果てた日本に
子どもたちの娯楽も文化的な物も少なかった時代に
当時の子どもたちがどれほど手塚作品に感動したことか
当時を体験した方々は「異次元の衝撃が訪れた」と語っておられますから
相当の衝撃があったことは間違いありません。

これは例えると
その昔地球中心が主流だった天動説が信じられた時代に
太陽中心の地動説を唱えたコペルニクス的な発見に匹敵するくらいの衝撃を与えたと言えるのではないでしょうか。(言い過ぎ…笑)


このある種の革命的オリジナルプラットフォーム
今日誰もが無意識に使用されているように
もはや本当に当たり前すぎて凄さが伝わりにくいかもしれませんが
この革命はマンガ史における歴史の転換点であることに間違いはありません。


【奥行革命】


そして次の偉業は奥行を持たせたということです。
それまでは漫画は舞台劇、演劇のイメージで
登場人物は右から左へ動くだけ
奥行きというものがあまりありませんでした。

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しかし手塚先生は
映画のようなコマ割りを採用したことで
奥行が表現できるようになり
舞台そのものの在り方を大きく変えてしまいました。

吹き出しのないコマや背景だけのコマ
状況を説明するだけのコマ
まさにこれまでのマンガの概念を大きく変える表現方法を確立しました。


「自動車が凄いスピードで真っ正面から近づいてくる」(新宝島より)
という構図を初めて見た当時の子供は
絵から自動車が飛び出してドーンとはねられる錯覚に襲われたそうです。

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この辺りの解説はこちらの記事でじっくりと!


【SF革命】

そして次は
日本にSFというジャンルを日本に定着させたことです。

「鉄腕アトム」に代表されるように手塚先生は未来を描いた作品を数多く残しており今読んでもその想像性は極めて秀逸。

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1940年後半にSFの世界なんて夢のまた夢
荒唐無稽の世界観で誰もがすんなりと溶け込めた訳ではありません。
SFは今でこそ当たり前のジャンルではありますが
現代のSF界を作り上げた著名人たちの多くが
手塚治虫の影響を受けたと語っていることから
手塚治虫がいなかったら日本SFの発展が大きく遅れていたのは間違いありません。

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マンガ家や作家、アーティストに限らず
研究者や科学者、電子部品、電化製品、自動車製品
日本の高度成長を支えた技工士たちもその影響にあったといいますから
テクノロジーの発展に関与した功績はかなり大きいと言えます。

日本のSF界のパイオニア的存在であることに間違いないでしょう。


【日本初の少女漫画(ストーリー)の元祖】


そして次は
日本で最初の少女漫画(ストーリー少女漫画)を描いたこと。
冒険やSFマンガだけでなく少女マンガにも
これまでにはない要素を取り入れジャンルを確立しました。

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手塚治虫以前にも少女マンガなるものはあるにはあったそうですが
どこか味気なく少年マンガに比べれば無いにも等しい状態でした。
そこに少年マンガに革命を起こしたその手法で
ロマンチックにしてゴージャス、
豪華絢爛、恋愛群像劇などを取り入れ
当時の少女たちを虜にしました。

これは手塚先生が宝塚出身ということもあり
幼いころから宝塚を観ていた手塚少年の潜在的表現が大きく影響しています。

当時の少女たちは、いわゆる箱入り娘と呼ばれる時代で
女の子はおしとやなものという社会情勢があった時代です。

手塚治虫が作り出した現代を忘れさせる夢とメルヘンの世界
そういうものに圧倒的に飢えていた当時の少女たちにとって
無くてはならない存在になったのは当然と言えるでしょう。

今日において
少女マンガの発展にその功績は多大な影響を与えています


【日本初のTVアニメの登場】


そして次は
日本初の1話30分の連続TVアニメを作ったこと(白黒)「鉄腕アトム」

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ここが日本マンガ、アニメカルチャーの大きな分岐点となります。
当時アニメ制作には莫大な資金が必要になるため「週刊放送は絶対ムリ」と言われていました。
しかし手塚治虫はマンガで得た資金を
すべてアニメ制作につぎ込みこれを実現させます。

後のアニメ業界の発展のためになんとしてでも成し遂げなければいけない課題を自らに課しこの偉業を実現させます。
これは手塚治虫にしかできなかった偉業と言えるでしょう。

自身の得た収益をすべて別の事業に投資できますか?
借金してでもアニメ制作に命を注ぎ完成させるわけです。

ここら辺はまさにクレイジーというか変態というか手塚治虫にしかできなかった芸当であると言えます。


これにより日本のアニメ業界が加速度的に進化し
世界に誇れる文化になっていく礎になっていきます。


【日本初のカラーアニメーション】

続けて
日本初の週刊カラーアニメを実現させます。(ジャングル大帝)

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ここから日本アニメの週間放送が一般化し
次々と日本が世界に誇れるアニメ文化が花開いていくことになります。


【驚愕の週刊連載7本】

あとは
週刊連載を同時に7本連載していた。

信じられないかも知れませんが手塚治虫の特筆すべき事項として
異常ともいえる圧倒的な物量があります。
実に生涯に書いた枚数15万枚


手塚治虫は60歳で亡くなったので20歳からの実労40年とすると
1日約10ページ書いていたことになります。
これは恐ろしい数字です。
現在は週刊連載作家さんで1週間に約20ページくらいですから
まさに規格外と言えます。

手塚先生はよく締め切りに遅れると言われていましたが
そもそも抱えている連載数が圧倒的なため当然と言えば当然。
常に複数の編集者が側について原稿の順番を待っていたそうです。

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【日本初のアシスタント制導入】

次の偉業ですが
日本初のアシスタント制を導入しました。
キッカケは
あまりにも手塚治虫の仕事量が多かったために編集者が手伝ったんですね。
それを今度はちゃんとしたスタッフを雇ってやるようになったというわけ。
こうして漫画の週刊連載なんていう真似も可能になり、
週刊漫画雑誌が生まれることも出来たとも言われています。


【異次元のジャンル幅】

あとは描いたジャンルも多岐に渡り
医者マンガも最初
ロボットが戦うバトル漫画も最初
近親相姦漫画も最初と言われています。

とにかく色んな初めてが多くて常に何事にも挑戦的であり
無理と言われていることや
当時のタブーと言われていることに次々に挑戦しているので
結構手塚治虫が初めてという偉業は多いです。


ちなみに手塚先生は医師免許も持っており
医大生で学生の頃から連載を抱えている売れっ子さんでした。
そして執筆中にも勉強を続け医学博士にもなっています。

その時に描いていたマンガがジャングル大帝
国民的マンガとなった作品を大学生が描いていたんですから恐ろしいです。

医師免許のくだりが「ちなみ」になるくらい
すごすぎる偉業を残しているんですが
とにかく
手塚治虫がいなかったら、今日の日本のマンガ文化、アニメ文化は
間違いなく存在しなかったことが
少し分かってもらえたと思います。

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手塚治虫作品といえば代表作に
「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」「ブラックジャック」「火の鳥」「ブッダ」
「三つ目が通る」「アドルフに告ぐ」
などこれら以外にも
たくさんの傑作を残してきております。
本当これらは代表作であり。手塚作品群の一部でしかありません。

ぜひこれを機に
手塚作品に触れるキッカケになって頂ければ幸いです。


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