ブラックジャックを100倍楽しむ裏話10選
今回は「ブラックジャックを100倍楽しむ裏話10選」をお届けいたします。
…と派手に啖呵切りましたけど
手塚ファンなら当たり前、
ブラックジャックファンなら朝飯前のネタでありますので
ガチ勢の方にはもう知ってるよって内容だと思います(笑)
ですがまだブラックジャックをあまり知らない
手塚治虫をあまり知らない読者の方にとっては
非常に面白いネタになるかと思いますので
ぜひ最後までご覧くださり
ブラックジャックを読むキッカケとして頂ければ幸いです。
それでは本編行ってみましょう。
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さぁでは早速裏話ネタいきましょう。
①ブラックジャック連載時最大で8本連載
これは裏話ってほどのネタじゃないんですけど
何も知らない読者からするとちょっと信じられない話だと思います。
そんな8本もどうやって並行して連載していたかって想像できませんよね。
そもそも手塚治虫という漫画家は
MAXは連載11本抱えていたときもありましたから
実はこれでもまだマシな方なんです(笑)
その他に短編やちょっとしたイラスト、アニメの仕事などもこなしていましたしなにより生涯原稿枚数15万枚と言われておりますから
これは実労働40年で割ると1日約11ページ書いていたという恐ろしい数字です。しかも最高月600ページの時もあったそうなので、この時は1日20ページ換算にもなっちゃいます
それほど手塚治虫という漫画家は異次元であり怪物作家なのであります
ここら辺の凄まじさについてはこちらの記事で解説しておりますので
見てみてください。
破壊的に面白いエピソード満載ですよ。
②ネタは4つ用意していた
これは常に4本のネームを用意していたというものです。
ネームとは漫画の原型になるものなんですが毎回ブラックジャック1話描くのに4本のネタを用意していたそうなんですね。
ブラックジャックは一本一本が本当に高品質の漫画なんですけど
これは残りの4分の3のボツの上に成り立っていたという裏返しとも言えます
先にもご紹介したように
めちゃくちゃ忙しい中でも常に4本のネタを用意していたなんてこれは
マジで神がかり的な仕事量です、ちょっとにわかには信じられないレベルですよね
それだけ作品に情熱を注いでいたとも言えますが
むしろ無尽蔵に溢れ出るアイデアに驚かされます。
しかも1話1話が驚くほどに完成度が高いんで
本当に手塚治虫という作家の頭の中にはあらゆるアイデアが詰まっていたと
言わざるを得ない破壊的なエピソードと言えます
③1本の制作時間はわずか2日
そんな膨大な仕事量を抱えた手塚先生がブラックジャックの執筆に充てることができたのは…
わずか2日と言われております。
まぁ消去法で考えるとそうなるんですけどね(笑)
冷静に考えるとこの大傑作をわずか2日で仕上げていたのはとても信じられない病的なスピードです
ネタ作りも含めとにかくあり得ない執筆スピードで
なにもかもがとにかく異次元の所業であります
やはり手塚治虫というのはとんでもない化け物、変態作家だったということが分かるエピソードです。
④1日で書き直した伝説がある
先ほどよりさらに強烈な逸話なんですが…(笑)
締切をとっくに過ぎたある夜中に
残り1ページを残した状態で手塚先生が編集に原稿を見せに行くんですね
「これでどうですか?」って…。
…で締め切りもとっくに過ぎて一刻も早く仕上げて欲しいときに
あるアシスタントが「ちょっとイマイチかな…」って
正直な意見を言っちゃうんですね(笑)
とっ~~~~~~~~~~~~くに締切が過ぎてるんですけど
なんと手塚先生が
「明日の朝までに全部書き直す」って言いだしちゃうんです
時間にしてあと8時間… 8時間で20ページです
もう絶望です。むちゃくちゃです。
誰もがもう終わったと思った、
その明け方…
手塚治虫は一から構成しアイデアを練り上げた新しい完成原稿を
見事書き上げたそうです。
もうこれはね、完全に狂気の沙汰ですよ。
ここら辺のトンデモエピソードはこちらの記事に
死ぬほどありますのでぜひご覧になってください。
⑤1作品につき1ページ描いていた。
これは極限に忙しいときに出る手塚治虫の必殺技なんですけど
締切間際になると各出版社が原稿の取り合いになるのでそれぞれの作品を
1ページづつ描いていたという変態技です。
つまり「ブラックジャック」1ページ描いて
次に「三つ目がとおる」1ページ描いて
「ブッダ」「火の鳥」って…
ひとつの作品を1ページ描いたら次の作品の1ページを描いていくことで
原稿の仕上がりに不公平感をなくすって言う変態技なんですけど
もう頭ん中どうなっているのか凡人には理解不能です。
しかも普通の人なら1時間に1枚仕上げるところを手塚先生は下書きなしで
1時間に3~4枚仕上げていたというからまさに神業。
そんな描き方でよく構成できたなぁってほんと信じられないですよね
⑥単行本掲載順は手塚治虫の好きな順
通常単行本というのは雑誌の連載順に掲載されるのが普通ですが
実はブラックジャックの単行本は連載順に掲載されておりません。
ではどんな順番になっているかと言えば
単純に「手塚治虫の好きな順番」からと言われております(笑)
これは飽きやすい子供を惹きつけるために初っ端から面白いものをエンジン全開で読んでもらうという狙いがありました。
そして単行本の1話目と最終話にその巻の最高傑作を配置していたそうなので単行本の最初と最後のエピソードが手塚先生のお気に入りのエピソードになっております。
さらに豪華版においては当初3巻までしか発売されない予定であり
手塚先生自らが収録エピソードを決めていたので
この「豪華版1~3巻までに掲載されている作品」が特にお気に入りとされており、言わば手塚治虫が選ぶブラックジャックのベストエピソード集と言われております。
ぜひその辺りも参考に見てみると面白いんじゃないでしょうか
ちなみにチャンピオンコミックスの20巻以降
漫画全集の17巻以降の作品はあまり好みではないという噂もあるとかないとか…
⑦一番のお気に入りは「コマドリと少年」
手塚先生一番のお気に入りは「コマドリと少年」だそうです。
ちなみに先ほどの豪華版では3巻に収録されております。
先生はとりわけ「鳥」に対して神秘的な思い入れを寄せており
手塚作品全体の中でも「鳥」を扱った漫画が多いです
その代表作が「火の鳥」「鳥人体系」といったところが有名ですね
非常に高度な知能を持ち人間を超越した存在として描かれておりますが
先生自身も空の上から見下ろす鳥の存在を神の使いであるような
コメントを残しておられますので「鳥」に対しては
どこか一方ならぬ思いを抱いていたのは間違いありません。
⑧設定はすべて後付け
実はブラックジャックにおける設定はすべて後付けなんです。
というのも元々はブラックジャックは短期連載4~5話の話だったため
明確な設定は存在しておりませんでした
顔のキズ、ピノコ、家族の事やキリコ、恋話など
その後のストーリーや登場人物などはすべて後付けであります
もっと言うと連載自体が手塚治虫の大スランプ期
ブラックジャック連載が始まる9日前には虫プロ倒産してますからね
もうこれが手塚治虫最後の作品くらいの時に描いたのが
この「ブラックジャック」であり世間はおろか、出版社からも全く期待されていなかった作品なんです。
だから設定も期待もまるでなし(笑)
そんな作品が日本を代表する歴史的な傑作に成長したわけですから本当に奇跡的な作品ですよね
⑨「日本外科学会」から認められた
ちょうど2000年に日本外科医の総本山「日本外科学会」が
「ブラックジャック」の特別展を開きました。
特別展に際し当初は学会内部からこのような意見が挙がっておりました。
「弱者には温かいかもしれないが金持ちからは法外な報酬を要求する
無免許医が主人公の作品を展示するのは…」
と反対する声があったんですね。
しかし
「患者の痛みと命への優しさを忘れてはいけないという作品の主題は極めて重い、医療技術が長足に進歩している今こそ外科医は作品に込められたメッセージを思い起こすべきだ」
と非常に熱い想いを込めた30~40代世代の医師グループの意見が集まって
展示会は実現されました。
当時の30~40代世代ですから2021年現在ですと50~60代の世代のお医者さんたちです。
まさしくブラックジャックリアル世代ですよね。
このガチ世代が影響を受けお医者さんになりそれを紡いでいく
これはすごいです。
モグリの医者であり本編では学会から認められることは叶いませんでしたが
現実世界ではその功績を讃えられていたのは喜ばしいことですね。
⑩連載終了の理由
先生曰く「本当はもう少し続けても良かった」と言っておられましたが
続けてこうも言っています。
「あまりにも制限や制約の多さに描きようがなくなってしまった」
つまりいろんな団体や組織からこれはダメあれはダメという抗議が来て
物語の幅が出せなくなったんですね。
そもそもブラックジャックというのはただの治療をするだけの漫画じゃないのでそこにドラマを描けないのなら書いていてもしょうがないと
筆を置いたんじゃないかと思われます
「扱える病気やドラマが無くなった」とも言っておられましたので
偏見や差別に対する社会の変化、
表現の自由に限界が来てしまったのでしょう。
手塚先生は「死」を描くことで「生きる」ことを肯定する対比描写を得意としているので
その負の部分、そこの表現に規制がかかってしまうと
表現者としては何ともやるせない気持ちになっていたんだと思います。
ですが反対にあの時代だからこそ生まれた作品とも言えます
天才手塚治虫の才能が十分に発揮された漫画
時代が生んだ奇跡の作品、
全日本人必読の歴史的漫画それがブラックジャックであります。
…というわけで今回は「ブラックジャックを100倍楽しむ裏話10選」をお届けいたしました。
如何でしたでしょうか
生と死という手塚治虫のテーマが最もストレートに現れた作品
時代が移り変わろうと
世代を超え読まれ続けているのは
一生変わることのない命の尊厳を扱った漫画であるからであります。
ここまでご覧になられてまだブラックジャックの事を
知らないという方はぜひこれを機会に
手塚治虫の変態伝説と共に楽しむキッカケになれば幸いでございます。
最後までご覧くださりありがとうございました。
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