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お茶は メッセージ

お茶やを始めて毎日いろいろな実験が日課になりました。お茶やを始めたもともとのきっかけも実験からです。目覚めの一杯ですっきりした日本茶を飲みたくなったある日、忙しい朝の時短で水出しして美味しかった古い記憶が蘇りました。水出しなら洗顔やシャワーをしながらも気にする必要がありませんからね ^_^ それを思い出し、いろいろと条件を変えてやってみたところ、新たな発見があって面白かったのです。失敗も多いですが、中には偶然うまく行くことも。だいぶ前の話ですがパリの展示会でシェフ向けに水出し煎茶を実演し試飲提供したところ大好評でした。

"あの人は元気だけど頑張りすぎるところがあるから心配。旨味成分のテアニンはリラックスできる効果があるからチョッと高いけど、高級な煎茶を贈りましょう。"

"お父さんはちょっと太り気味。渋み成分のカテキンは脂肪を分解するから日常的に飲んでもらいたい。でも甘党だから「必ず水出しで飲んでね」とメッセージを添えて。水出しや氷水出しなら渋みを抑えて甘味がでるから。”

”昔ホームステイに来てくれたジェシカは元気かしら。日本の味を忘れないように飲みやすいほうじ茶を誕生日に送りましょう。彼女はミルクが好きだったから「濃い目にだしてミルクを加えたら、ジンジャーかカルダモンの粉末をかけてね。軟水を使うことも忘れずに。」とメッセージを添えて。”

昔の会社は、早く帰って欲しいお客さんには安い茶で熱く渋い茶を、お得意さんには高いお茶を適温でだして、「無言のメッセージ」を伝えていましたね。また昔、私の顔色をみて無言で「これ飲んでみな」と言って幻のカクテル「ジャーナリスト」をだしてくれた老バーテンダーがいました。多忙すぎて過労状態の体がシャッキとしながらも癒されました。

私は日々いろいろなパターンのお茶を作ります。改良もあるので、新パターンも1-2週間に1回程度ですが。お茶はシンプルです。茶葉・水・温度・アレンジで決まってしまいますが、それが物凄い数のパターンになります。

しかし、そのいろいろなパターンを私は「メッセージ」だと思えるようになりました。私が日々いろいろな商品やメニューを試しているのも「メッセージ」をいろいろ作りたいからです。お茶は身体へのメッセージなのです。自分へのメッセージでも、大切にしたい家族や恋人、友人へのメッセージでも。そう思ってみるのも面白いのではないでしょうか?

高いお茶だから贈り物用とか型にはめて考える必要はありません。私はキッチンカーで前述の老バーテンダーのように、その場で茶葉を調製してお客さまに会った商品やドリンクをその場で提供するのが究極の目指す姿と考えています。

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