オレたちバブル入行組 俺たち花のバブル組 からみた統合失調症

池井戸潤さんの「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」という本がある。「半沢直樹」というテレビドラマで一世風靡した物語でもある。半沢直樹は慶応大学出身でバブル期に入行し、バブル崩壊、金融危機を乗り越えた設定である。

半沢直樹と母校が一緒で同期に近藤という人物がいる。銀行は右肩上がりの時代から巨額不良債権処理の時代に入る。近藤は秋葉原東口店に勤務、課長代理という肩書で働いていた。しかし上司と折りが合わず仕事のストレスから統合失調症を発症し、1年間休職する。銀行という職場で、病気による戦線離脱は昇格に響く。「調査役」という肩書で部下もなく名刺もない部署での飼い殺しだ。調査役にもかかわらず年収は700万を切るという。

近藤は統合失調症を発症したが仕事はきついかもしれないが恵まれているように僕は感じた。家族は専業主婦の妻と子供二人。年収は700万円を切るが世間から見ればいい部類に入る。そして同期に恵まれている。近藤が妄想の症状からおかしなことを言っても、受け流してくれる同僚がいる。

しかし東京中央銀行は甘くはなかった。銀行は近藤の取引先の出向を命じる。近藤は人事を受け入れる

「銀行にいる限り、オレはこれ以上の仕事は望めない。いくら病気がよくなったといっても、いったん病気になったという経歴を消すことはできない。一度ついたバッテンは永久に残るだろう。」と言う。

近藤はタミヤ電機というちっぽけな会社に出向する。タミヤ電機は訳あり会社だった。他の社員から近藤は銀行さんと呼ばれ、銀行から融資を受けてもらえればいいという境遇だった。社長や経理課長から同じ同僚として信頼してもらえず、病気が再発する一歩手前までに追いやられる。

しかし近藤は元々は優秀な人物だ。会社の不正を見つけ、かつての自分を取り戻した。遠慮ばかりしても、認められることはない。だったら思い切り本音で行こうじゃないか。本当の自分をさらけ出し、それで認められなかったらしょうがない。と近藤は開き直れた。そこからは仕事ができる近藤に変わっていた。自分を取り戻したと言っていい。そして運が回ってきて、銀行に復帰できることになる。近藤は統合失調症を発症したが、社会復帰して、紆余曲折あったけれど一級戦ではないけれど銀行に戻れたという話だ。

僕は「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」読んで思ったことは自分は知らないけれどこういうケースもあるんだろうなと思った。僕は会社を休職して、退社したけれども、踏みとどまる道もあったんだなと思う。ただそこから上手く立ち直って、行くケースもあれば、再発してしまうケースもある。ただ近藤は元々の能力が高かったのは事実だと思う。そして現実問題に対処する判断力も持っている。統合失調症という障害を持っていてもそれに有り余る能力を失わず、回復したんだなと思う。池井戸さんは実際の職場で精神疾患を患った同僚を見てきたからこそ、ここまでの文章を描くことができたんだと思う。

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