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3.ジハードのための施し

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ジハードへの施し: イスラム世界における慈善活動とテロリズム
(Charity and Terrorism in the Islamic World)

ジハードのための施し: 「イスラム世界における慈善とテロリズム(Charity and Terrorism in the Islamic World)」は、元米国国際開発庁(USAID)のスーダン救援調整官であったアメリカ人作家のJ・ミラード・バーと歴史学者のロバート・O・コリンズによる2006年の共著で、テロリズムの資金調達における「イスラム慈善団体」の役割について論じている。

BBC ONEパノラマのハマスの記事は驚く内容だったけど、本当かどうか確認したかった。それで検証のnoteを出した。慈善団体を監査する役目のチャリティ委員会に圧力がかかり、監査がグデグデになっていことがわかった。

似た事件で、イスラム慈善団体に寄付すると、テロの資金になるという本を出して出版差し止め騒ぎがあった。その話です。

ーーー本編ーーー

論争

ケンブリッジ大学出版局

2007年8月、英国の出版社ケンブリッジ大学出版局(「CUP」)は、サウジアラビアの実業家ハリド・サリム・A・ジャスティンによる英国法制度に基づく名誉毀損訴訟を理由に、同作品を流通から削除させようとした。 ビン・マフフーズ氏がアルカイダに資金提供していると本で非難されていたからだ。

非難された、ハリド・ビン・マフフーズ(Khalid bin Mahfouz)

ハリド・ビン・マフフーズ(1949年12月26日 - 2009年8月16日)は、サウジアラビアの億万長者、銀行家、実業家、投資家であり、国立商業銀行(NCB)の元会長である。ハリド氏は、小規模の両替商からサウジ初の民間銀行であるNCBの創設者にまで上り詰めたサウジ人起業家セーラム・ビン・マフフーズ氏の息子である。個人資産はおよそ 60 億ドル。

9月11日のニューヨークとワシントンへの攻撃(ハイジャック犯19人のうち15人がサウジ人だった)の後、テロ資金源としてサウジアラビアの資本家や慈善団体に大きな疑惑がかけられ、ハリド・ビン・マフフーズ氏は書籍、新聞、雑誌で告発に直面した。彼の家族はアルカイダに資金を注ぎ込んでいた。

ケンブリッジ大学出版局の知的財産責任者であるケビン・テイラー氏は、この本は 「英国の裁判所が納得するまでの虚偽が立証された」 情報源を引用しており、 「以前の情報源から繰り返された『ジハードへの施し』の著者が作成した証拠は、必要な検証に耐えなれなかった」 と述べた。

ケビン・テイラー(彼のその発言の魚拓

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