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欧米で躍進する保守の波は日本にも波及するのか?

はじめに

 2022年のイタリアのメローニ首相就任から始まった保守の波が、先日行われた欧州議会選挙で中道保守勢力が伸長する見込みや、11月のアメリカ大統領選挙でトランプ候補が現職のバイデン氏を抑えて優勢であるなど、大きな波となり始めている。
 日本もこの波に乗れるのだろうか考えてみたい。

欧州議会選挙

 欧州連合(EU)は6月6日〜9日に欧州議会選挙を行い、約3億6000万人の有権者が投票した。中道保守派の「欧州人民党(EPP)」が議席を伸ばし第1会派を維持する見通しで、フランス、イタリア、オーストリア、ドイツなどでも保守系勢力が躍進した。投票率は前回をわずかに上回る51%と推定される。

2024年欧州選挙投票結果
(日本時間6月10日午前8時現在)より筆者が作成
保守系が伸長

 フランスでは、マリーヌ・ル・ペン率いる「国民連合」がマクロン大統領の与党に歴史的勝利を収める見通しで、マクロン氏は国民議会(下院)を解散すると発表。
 ベルギーでは、ドゥクロー首相が「フラームス自由民主」の惨敗を受け辞任。フラームス自由民主は5.8%の得票率で、一方でフラームス・ベラングは14.8%、新フランデレン同盟は14.2%を獲得した。

アメリカ大統領選挙の最新情勢

 最近の世論調査によると、2024年の大統領選ではトランプ前大統領が45.4%、バイデン大統領が44.6%で、トランプ氏が0.8%リードしている。激戦7州では3州が接戦で、4州ではトランプ氏が5%以上リードしている。1976年以来、激戦州の過半数を制した候補者が大統領に当選しているため、現時点ではトランプ氏が優勢だ。

リアルクリアポリティクス (6月9日米国時間現在)より筆者が作成
激戦7州でのトランプ氏とバイデン氏の支持率の平均値

伸長する欧州各国保守勢力の状況

 イタリアでは、「北部同盟」と「イタリアの同胞」が移民反対と国家主権回復を訴え、支持を広げている。特に「イタリアの同胞」を率いるジョルジャ・メローニは欧州議会選挙で重要な役割を果たす見通し。
 フランスでは、マリーヌ・ルペン率いる「国民連合」が強力な支持基盤を持ち、EU批判と移民制限を強調し、2024年の選挙で影響力を発揮すると予想されている。
 ドイツでは、「ドイツのための選択肢(AfD)」が移民問題で支持を拡大し、EU政策に批判的。東欧では、「フィデス」と「法と正義(PiS)」がEUの移民政策や司法改革に反発し、国家主権と伝統的価値観の保護を強調して支持を集めている。

保守派躍進の要因

 アメリカと欧州では保守政党が躍進する要因は多くの部分で重なる部分がある。

  1. 移民・難民問題

  2. 経済不安・雇用

  3. 安全保障・治安

  4. エネルギー政策

  5. 国民アイデンティティの保護

1. 移民問題

 2023年、欧州主要国には約4,400万人、アメリカには約4,700万人の移民がいる。多くの有権者は移民による負担を感じ、保守派政党は移民制限と文化保護を訴え、支持を得ている。トランプ前大統領は厳しい移民政策で支持を得たが、バイデン大統領就任後、不法越境者が増加。5月の世論調査でトランプ氏が優れていると回答し、共和党の批判が高まった。これを受け、バイデン大統領は6月4日、南部国境管理を強化する大統領令を出した。

Eurostat、OECD、UNHCR、米DHS、米MPI、出入国在留管理庁、総務省統計局の
2023年データを集計して筆者が作成
欧米主要国の移民数と総人口に対する割合

2. 経済不安・雇用

  多くの有権者が移民の労働市場への影響を懸念し、特に低賃金労働者や高失業率地域では移民が職を奪うという認識が広がっている。グローバル化による産業の国境越え移転が増え、国内の労働市場に打撃を与え、特に製造業の雇用が減少。これが保守派支持基盤を強化している。

3. 安全保障・治安

 テロや犯罪の増加に対する不安に対して、保守政党は厳しい移民政策や国境管理の強化を主張して国民の安全保障と治安への懸念に応え、支持を集めている。

4. エネルギー政策

 ロシアのウクライナ侵攻により、欧州では原子力発電への回帰が注目されている。欧州のエネルギー安全保障が懸念され、再エネの天候依存性から安定電源を求める声が高まり、原発停止の議論が再燃している。独ショルツ首相は、エネルギー政策の見直しを示唆し、原発も含めた方針転換が必要であると述べた。

5. 国民アイデンティティの保護

 グローバル化は異文化の流入を促進し、伝統的文化や価値観を脅かすと見なされ、保守派は国家の文化的アイデンティティの保護を訴え、移民政策への反発を利用して支持を広げている。主権意識の強い有権者から支持を得るため、国境管理や移民規制の強化を主張。また、自国経済の活性化のために自国優先の経済政策を推進する。トランプ前大統領は「アメリカ第一主義」を掲げ、反グローバリズムを強調。Brexitやフランスの国民連合、イタリアの北部同盟、ドイツのAfDなども同様に国家主権回復や移民制限を訴え、支持を拡大している。

保守の波は日本にも波及するのか?

 日本では自民党は長期間にわたり保守的な政策を推進してきたが、岸田政権以降、その方向性は変わり始めており、2023年6月16日には、ほとんど審議されないままLGBT理解増進法が可決、即施行された。
 また、外国人労働者の受け入れを拡大し、少子化による働き手不足を緩和しようとしており、特定技能2号の拡大や、経営管理ビザ、高度人材ビザ、永住許可の要件緩和など、外国人との共生を強調する政策が進められている。さらに、6月4日に北海道が国家戦略特区に指定され、金融・資産運用特区として様々な支援策が受けられるようになる模様です。

 一方で、自民党は憲法改正を党是として掲げていますが、これまで70年間実現しておらず、岸田首相は自民党総裁任期満了までの憲法改正を目標に掲げているが、時間的にはすでに遅く不可能で、また「ヤルヤル詐欺」である。
 このように自民党政権が保守的からリベラルに移行し、日本を外国に安く売り渡し、移民によって雇用不安や日本文化を破壊しようとしており、これらの動きは、日本の未来に大きな影響を与える可能性がある。

 また、日本のテレビや新聞の既存マスコミの多くはリベラル色が強く、事実を客観的に伝えておらず、日本を貧しく弱くするのに一役買っている。
 筆者の両親は、テレビや新聞を見ていると、LGBTとか移民政策って何か反対意見や異論を言えないような重苦しい同調圧力があると言っていた。
 筆者はYouTubeで、これとらは一線を画すネットニュース番組も視聴することにより、何が正しいか、何が日本を豊かに強くするのかということを判断している。
 アーカイブでも観れるので、ぜひ参考にしてほしい。詳しくは下記のnote記事を見てほしい。

 筆者が支持している日本保守党は決して極右政党ではなく、ど真ん中の政策を掲げている数少ない保守の政治団体である。

 こんな国政政党じゃない出来立ての小政治団体に何ができると思う方も多いだろう。しかしながら先日の衆院東京15区補選で、地盤や組織票の無い諸派扱いの日本保守党公認で無名の飯山あかり氏が告示前に大本命とされた乙武洋匡より多い有効得票率14%を獲得する快挙だった。
 これは、一つの保守の波の兆候だと考えている。飯山氏は極めて普通の考え方で「保守とは、大事なもの、大事な家族や人、大事な場所を守ることである。」と話しており、これは普通のの日本国民なら賛同でき、政策に関しても移民政策、LGBTなどの懸念に対してわかりやすく演説している。これらの辻説法が有権者やそれ以外の一種のムーブメントのように集まった支持者の心に響いたのであろう。支持者だけでなく、街宣を聞いた普通の有権者が、無名の彼女に投票したのである。

筆者は、極右とか右翼とは一線を画す「新しい保守運動」の芽が出始めたと考える

 移民政策、再エネ、治安悪化、LGBT問題など欧米の失敗に日本は学んで、新しい保守の流れをつくり、来るべき総選挙や参議院選挙では、日本保守党をはじめとする保守を掲げる政党や、与野党の保守派がリベラルと鎬を削って戦うことであろう。選挙後、同じような保守の考えを持った国会議員や支持者が団結して政治の中心で活躍できるようになれば、保守の波は日本にも訪れ、日本が豊かに強くなっていくと考える。

その波は必ず来る。



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