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習近平独裁に終わりの兆候?

はじめに

 予定より約半年遅れて開催された中国共産党の三中全会で、習近平主席は「イデオロギー(民主主義 vs 先生主義)問題」、「経済問題」、「外交問題」、「社会不安(雇用、社会保険)問題」などの問題は認識したが、「努力すれば克服できる」と強調するのみで、これに対する具体的な解決策を示せなかった。
 習近平は腐敗追放の名のもとに政敵を排除し、イエスマンを要職に就けたが、要職に着いた幹部からも不満が高まっている。
 2022年10月の政治クーデターで共青団の長老胡錦濤前主席が退席させられ、同じ共青団のホープで次期首相候補だった胡春華副主席が降格されたが、最近巻き返しを図っている模様だ。
 習近平の健康問題もあり、今後の独裁体制の変化があるのか考察する。

三中全会での異変

 7月15日〜18日に約半年遅れで開催された三中全会のある会議で、失脚したはずの胡春華前副主席が習近平の隣に座っていた。昨年末に特使として外国に派遣されたことからも、実務能力の高い胡春華を取り立てざるを得なかったと考えられる。 また、新華社が15日に配信した「改革家習近平」記事が17日に取り下げられるという異例の事態が起きた。記事は習近平を卓越した改革家として礼賛していたが、取り下げられた。
 さらに、三中全会期間中、習近平のメディア露出が少なく、代わりに李強首相、趙楽際全人代大会常務委員長、王滬寧中国人民政治協商会主席の3名の露出が多かった。

中央が習近平、左が胡春華
現在のチャイナセブン

習近平健康不安説

 以前より習近平は健康不安説が燻っており、三中全会に露出しなかったのは、会期中に脳梗塞になったと言う噂が広がった。これは裏は取れていないが、糖尿病や肝臓がん説がある。台湾メディアなどによると肝臓がんのため以前に肝移植を受けたが、拒絶反応に苦しんでいて、三中全会途中で動静が途絶えたのは、これが原因で中国人民解放軍総医院(301医院)に緊急入院したためではないかと噂が出ている。意識や判断能力には問題ないとのことだが、あと一年持つかが焦点になっているとか。三中全会後、ベトナム共産党総書記阮富の弔問や東ティモールやイタリアの要人と会談したと写真や映像が公開されているが、音声はほぼなく公開されているのはまるでAIがしゃべっているような謎の音声だったり、同日に会見しているのに白髪の量が違うと替え玉説が根強い。
 また8月1日の人民解放軍建軍97周年記念大会に習近平は出席しておらず、健康不安説を裏付けているかもしれない。

災害や感染症への政府の無対策

 7月の大雨や台風で湖南省では洪水被害が発生し、豪雨だけではなく三峡ダムの放水の影響も災害に拍車をかけたとみられる。7月末に北戴河で習近平は災害対策を指示したとされ、8月1日に入りやっと李強首相が被災地を視察したが、被災者からは「習近平はどこだ」など批判を浴びている。通常このような時はまず首相が視察し指揮し、その後国家主席が視察するのが通例だったが、今回首相視察も遅く、習近平は就任以来ほとんど災害で訪問した事例はない。

 央視新聞によると、山東省聊城市陽谷県七級鎮の肉牛牧場で炭疽菌感染例が確認され、5人が感染し隔離された。(現在は閲覧できない)
 当局は人への感染を否定しているが、6月11日以降、当該地域の検疫を強化しているとしている。
 ニュースが8月になって報道されたことから、感染を隠蔽していた可能性があり、この地域で機械設備を取り扱う企業は、社員向けに炭疽菌への注意喚起を行ったが、その通知が偽物だと企業は主張している。今後の動向や政府の対応に注目が集まっている。

WeChatでの会話
地元企業のスタッフ宛の通知
(この通知は偽物で警察に通報しているとこの企業は発表している)

国民の不満は頂点へ

 習近平政権が現状の問題に無策であることに対し、国民の怒りが高まっている。7月30日、湖南省の高架橋に習近平を批判する横断幕と音声が掲示された。この事件は、2022年10月の北京の四通橋事件を彷彿とさせるもので、その時は白紙デモが各地に拡大した。今回の首謀者は当局に拘束されたが、2年前の白紙デモに参加して当局に拘束され拷問や投薬など虐待を受けた後に再び民主化を目指して行動したとされる。再び白紙デモへと拡大するかが注目されている。

ついに反旗を翻す側近、軍部

 三中全会で、チャイナセブンの側近達は習近平に対し中国の問題への対策を問いただしたが、具体的な答えが出なかったため、側近達は反旗を翻し始めた。首相の李強は3月の全人代での閉幕時の首相会見をスキップされ習一強とされていたが、側近や軍部は公開造反を始めた。7月31日の国務院会議後の記者会見で李強は習近平を無視し、翌日湖南省の洪水現場を訪れるなどの行動をとった。また、趙楽際や王滬寧も習近平を礼讃せず、人民解放軍の機関誌も批判記事を掲載し、失脚した胡春華を支持する動きが見られる。

そして歴史は繰り返すか

 様々な情報を総合すると、習近平は中国人民解放軍総医院に軟禁状態である可能性がある。余命も見えてきた今、側近や軍部の造反が始まり、2年前のような政治クーデターや軍部のクーデターの可能性も取り正されている。
 発言を強め始めた側近の李強、趙楽際、王滬寧や習近平後継とされている丁薛祥や軍部が推す胡春華の集団指導体制に移行するのか、一気に民主化が進むのか、果たしてそれぞれの軍域に分かれ国が三国志のように分割してしまうのか、今後に目が離せない。

左は2022年の共産党大会で胡錦濤が排除された写真
右はAIで生成された習近平が排除される写真
李強首相と国防相がクーデターを起こすか

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