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人間引力の論文書いて誰か


 機会は意外なところにある。

 冬の寒い日車のバッテリーが上がってエンジン動かなかった時、バイト先の人にケーブルを繋いでエンジンが復活して直った話。大学2年の頃カターレ富山の会場スタッフをはじめとするイベントスタッフのバイトをしていた。イベントがある時だけ招集をかけられ行う不定期バイト。毎回はじめましてのバイトメンバーなので打ち解けるが大変だったが向こうも同じ。年齢的にほぼ一緒なので意外とすぐに意気投合するものだ。
 そんなバイトでの給料のお金はその日にもらうか、マネージャーの川上さんから後日受け取るかのどちらかだった。冬のある日大雪で1週間車を動かしてなかったおかげでエンジンがかからなくなった。走行距離15万キロを超えたポンコツbbに乗っていた。そんな日に川上さんからお金をもらうことになっていて家の近くまで来てくれるとのことだった。この人に頼るしかないと思い、電話でバッテリーが上がっていることを伝えた。こちらに向かっている途中だった。一回自宅まで引き返してバッテリーを復活させるケーブルを持ってきてくれた。
 神様に見えた。自分の家まで来てくれて早速ケーブルを繋いでくれた。

 全然復活しない。
 
 30分くらい粘ってやっとエンジンがかかった。大変なときはお互い様と川上さんはその時言ってくれた。この人はおそらくこれまで多くの困難や崖っぷちに立たされその度に自分の力や周りの力を借りてその修羅場をくぐり抜けてきた人だと確信した。マネージャーということもあり人望が厚いのは間違いない。聞けば同じ学部のOBの方でこれまた話が盛り上がった。
 その日からイベントがある毎に直接電話がかかってきてバイトを頼まれるようになった。行った時もあれば行かなかった時もあるが。機会は突然に自分が窮地に立たされてる時に来るものだ。そしてその窮地を切り抜ける時の周りの人たちは自分の目には綺麗に写る。
 これから先、こんな場面は度々くると思う。今度は自分が誰かに手を差し伸べる側にいたい。恩は与えて与えて与えて、たまに返ってくるぐらいでいい。現在、川上さんは今までいた会社をやめ、独立して活動している。
 
 時間は皆平等に24時間。しかし、人生で出会う人や機会というものは家柄、容姿、周りの環境によって天と地の差がある。いろんな人に会う度につくづく思い知らされる。「比べなくていい」と本や歌で何度もその文言を聞くが、劣等感というものは嫌でも感じてしまう。人間の悪いところ。足りない部分は努力で賄うしかないと思う。それしかない。その先に機会というものが転がってる。だが、そんな努力ばかりに熱を注いでいるとたまに息苦しくなる。
 だから、もうひとつの機会に出会う方法。出かけること。家から目的もなく飛び出すこと。偶然という怠惰な人間に易しいコンテンツがある。目的のある努力よりもかなり遠回りだが運がよければ発見や新たな機会に巡り会えるチャンスが確実にある。私は後者を選んで人生を過ごしてきた人間だと思う。どちらの方法も間違いではないと思う。
 長々と書いて結局何が言いたかったのかよく分からなくなった。最後にFさん小説に出てくる黒服の言葉で締めくくる。

「これだけは覚えておけ。人間は人生において必要なタイミングで必要な人物に会えるんだ」

おやすみなさい。

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