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70年代、Emarson,Lake&Palmerの衝撃‼

これで、プログレ・バンドを取り上げるのが3組目になります。
60年代後半からの新しい潮流がアートロックであり、サイケデリック・ロックでもありました。既に、R&Bやブルースをなぞるような活動では注目をあびる事もなくなり、よりバンドの個性を前面に押し出す事が重要視されていたのです。そのような状況で、キーボードのキース・エマーソンが率いるバンドNICEが、ロックにクラシックやジャズの要素を取り入れた演奏に人気を得ていました。そして彼は、運命的な出会いを果たします。それは、King Crimsonを飛び出たばかりのVo/Bグレッグ・レイクAtomic RooosterのDmカール・パーマーでした。さっそく意気投合した3人はバンド結成に進みます。Emarson,Lake&Palmarというスーパー・バンドの誕生でした。
このバンドの特徴は、ロックではあり得ないギターレスのバンドだったのです。キースは、ジャズのピアノ・トリオをロックに持ち込んだのです。当然目指したのは、キーボードを前面に押し出したプレースタイルでした。このキースの目論見は大当たり、バンドの人気は英国を超えてヨーロッパや米国、日本と拡大していきます。後に、このトリオ編成を模倣した、イタリアのEL&Pと言われたLe Orme(レ・オルメ)、ドイツのEL&Pと呼ばれたTriumvirat(トリアンヴィラート)、オランダのEL&Pと称されたTrace(トレース)など、影響力は計り知れませんでした。

それでは、彼らのアルバムと曲を紹介していきます、彼らの1stアルバム『エマーソン、レイク&パーマー』の1曲目は、ハンガリーの作曲家バルトークのピアノ曲『アレグロ・バルバロ』をアレンジした作品になっています。
曲は「ELP - The Barbarian(未開人)」

次に紹介するのは、2ndアルバム『Tarkus(タルカス)』です。このアルバムの凄いのは、のっけからキースのキーボード・プレイがハイテンションで始まる所です。アルバム・ジャケットもアルマジロとタンクが合体した感じで、デザインが斬新でカッコよかったので、壁に飾ったりもしていました。

タルカス


曲は「EL&P - TARKUS」

続いて紹介する3rdアルバムは『展覧会の絵』です。ムソルグスキーの「展覧会の絵」をLIVEで演奏し、それがLIVEアルバムとして出たのです。本来はアルバムとして出す予定が無かったモノが、海賊版が出回った為、それを回収して本作が発売され世界的なヒットになり、彼らの知名度を一気に上げたアルバムになりました。
曲は「EL&P ‐ Mussorgsky:Pictures At An Exhibition」

そして4枚目のアルバムは『Trilogy(トリロジー)』です。グループがノリにのって、バンドとして充実していた時期です。紹介曲は、キースの凄まじい速弾きテクニックが披露されています。この曲はコープランドのバレエ曲をアレンジしたものです。
曲は「EL&P - Hoedown」

実は、余談になりますが、今は亡きキース・エマーソンの後継者的存在は、ジャズ・ピアニストの上原ひろみじゃなかろうか?と、思うこの頃です。この場を借りて彼女のプレイを紹介しておきます。一流プレイヤーを従えてのプレイは圧巻です。
Piano:上原ひろみ 
Bass:アンソニー・ジャクソン 
Dm:サイモン・フィリップス
曲は「Hiromi The Trio Project - Alive」

そして、紹介する5枚目のアルバム『恐怖の頭脳改革』は、彼らの最高傑作と呼ばれています。今回のジャケット・デザインは、スイスの画家H.R ギーガーでした。後に映画『エイリアン』のクリーチャー・デザインで有名になった人です。しかも、ジャケットは観音開きの変形ジャケットで、扉を開けると目を閉じたメデューサが描かれており、彼らのロックを聴いて目を開いたメデューサによって、石(ロック)にされるという、粋なメッセージが込められていました。

H.R ギーガー
内ジャケット


曲は、作曲家アルベルト・ヒナステラのピアノ協奏曲第1番の第4楽章『トッカータ・コンチェルタータ』からです。
曲は「EL&P - Toccata」

このように、順調にバンド活動が進んでいきますが、バンドでやりたい事をやり尽くした感があり、74年8月に『レディース&ジェントルメン』という3枚組LIVEアルバムを出した後、休止状態に入ります。バーンアウトと言える感じですね。同じ頃にKing Crimsonは解散し、Pink Floydも『炎』を75年に出して小休止、Yesは、キーボードのリック・ウエイクマンが抜けて、後任を探している状態でした。Genesisは75年にピーター・ガブリエルが抜けたりと、75年を境にプログレの勢いに陰りが出てきた時期でした。そして、76年からのパンク・ブームで、プログレ・ブームが去ったという印象がありました。

そして、EL&Pは契約上の為、78年に『Love Beach』というアルバムを出したのですが、これが酷評を受けたアルバムになりました。
個人的にも、アルバム・ジャケットを見た瞬間、このバンドは終わったと、正直思いました。バハマのビーチで3人が仲良く笑っている写真には、即死級のインパクトがありました。キース・エマーソンはやる気がなく、グレッグ・レイクに丸投げしたような感じで、アルバムの前半5曲は、レイクの書いたラブソングが並んでおり、お通やの気分で聴いたのを思い出します。せめて、ジャケットがお気楽なモノでなかったら、若干評価が上がってたかも?と、思うのでした。

曲は「EL&P - Love Beach」

それでは、この辺で…

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