かくも儚きかな、人生
私は自分の人生におけるあらゆる事象が、ビンゴゲームに重なる時がある。
ビンゴ大会で、何故かいつも早くリーチになる人を見たことがないだろうか?
私である。
私は何故かいつも1つ目のリーチが早い。
「リーチになった人は立ち上がってください〜」とかよくあると思うのだが、だいたいいつも1番か2番目ぐらいにリーチになるため、「まだ立ってる人あんまいないから目立つな〜」と思いながら、立ってビンゴを待つわけである。
しかし、なかなかビンゴにならない。
私より後にリーチになり、ビンゴを決めていく人が続々と登場する。
やっとこさビンゴになった時には、真ん中より後ろぐらいか、全く目立つこともない後半の順位でゲームを終えることとなる。
例えば、恋愛。
私は大学に入った時に、それまでに彼氏がいた経験があること、大学でも割と早く彼氏ができたことから、「恋愛経験が豊富」と言われる機会が何度かあった。
文芸学部に通っていたため、控えめで奥ゆかしい子が多い中では、それなりに恋愛の場数を踏んだように見えたのかもしれない。
しかし、今はどうだ。
最近の私は付き合ってはすぐ別れを繰り返し、「私に恋愛は無理だ」という境地に至っている。
私より遅く付き合った子でも結婚している子はたくさんいるし、真剣なお付き合いができている子も多い。
例えば、仕事。
私は新卒で入った会社で、結構順調に昇進できていた。2年目の時には役職に就いたりして、周りからは「キャリアウーマンだ!」と言われたりもしていた。
しかし、今はどうだ。
会社を辞めてから、本当は留学したかったのだがご時世的に難しくなって断念して、水商売で身体を張って、キャリアもない。
会社員の頃から接客業だったため、事務経験もない。キーボードだって人差し指でしか打てない。
入社当初は全然大した仕事をできてないよ、夏のせいはすごいよ、と言ってくれた同級生達は、今では大した仕事をちゃんとこなしている。そのスキルを身につけている。
一見素早く、何でもリーチをかけたかのように思える、見られる。
でも実際は地盤が緩くて、諦めが早くて、運もツキもなくて、なかなかビンゴにはならない。
そういう生き方をしてしまっている、自分。
またもや水商売系の仕事をすることになった。
去年やっていたものと同じだ。
今も細々と別のマイルド水商売みたいな仕事は続けているのだが、去年やっていた程のものではない。
とはいえ、ゴリゴリの風俗と比べたら全然マシだ。
先日、友人の紹介で添い寝とは名ばかりの、風俗店の面接を受けに行った。
体験入店を前に、
私には絶対無理だ!と悟り、
辞退させて頂くことにした。
ちなみに友人はそのお店のNo. 1なので、お店の人は「あの子の紹介の子なら期待できる!」と思っていたかもしれない。
それが、「キス無理です」「乳首舐め無理です」「聖水無理です」
とNGを出しまくり、挙げ句の果てには
「全部無理なんで、辞めときます」と断った。
きっと、お店の人もガッカリしたことだろう。
というわけで、去年やっていた、若干身体を張る水商売を再開することにしたわけだ。
というのも、私はお金を貯めなければならない。
春から海外に行くためだ。
実は去年ガッツリ貯金したのだが、歯の手術とか実家のトイレの修理費とか、あと突然パソコン買ったりして、諸々により貯金はかなり減ってしまっていた。
去年、あれだけしんどい思いをしながら働いていたというのに。
20代前半の若気の至りぐらいに留めておこうと思っていたのに。
またしても、お金欲しさに水商売に手を出した。
言っておくが、私は水商売や風俗の仕事を低く見ているというわけではない。
特にAVの女優さんなんて、まじで尊敬だ。
あんなに容姿やスタイルともに完璧な上で、自分の身体の隅々までを曝け出して働いているわけである。
めちゃくちゃすごいことだ。
(ちなみに今は活動されておられませんが、私は北野のぞみという方がめっちゃ好みです)
しかし、私の友人には水商売や風俗関係で働いている方が少ない。
(No1の子と、あともう一人ぐらい)
同級生はみんな真面目に会社員をしていて、今はもう4年目。会社でもしっかりした地位を築いている子が多い。
そうなるとやはり比べてしまうわけだ。
自分は何をやっているんだろうか。
会社員を2年で辞めて、去年は水商売したりして、夢なんか追い続けて、でも叶わなくて、挙げ句の果てには海外に行くだの何だの言い出して、また水商売再開して。
「いい年してキャリアもないじゃん」
「水商売にずっと頼ってられないよ」
「まだ親に面倒見てもらってるの?」
「人生詰んでるね」
と、別に誰に言われたわけでもない言葉が、自分のことを責める。
特に生理前の情緒不安定な時期には。
せめて今、再就職すれば間に合う気がする。
去年の5月に会社を辞めて、1年と半年ぐらい夢を追いかけて、でも諦めて、それでまた就職しました!
であれば、そこまで時間のロスにはならない気がする。
なのにここに来ての、一度断念した海外留学にまた挑戦したくなった。
あやふや英語を完璧にしたいこと、日本の外に出て暮らしてみたいこと、旅行に関する仕事に就きたいことから留学したい気持ちが出てきた。
しかし、これは時間の無駄ではないか?遊んでいると思われないか?英語が上達しなかったらどうしよう。
この1年の間にも、同級生は結婚したり、昇進したり、確実に人生のステージを昇っているのに、私はずっと止まったまま。
こんなことをしていて大丈夫?
人生詰んでない?
本当に、これでいいの?
母親は
「20代の内は、いくらでもやり直し効くからOK!」
「夢も諦めなくていいやん!今の時代、色んなアプローチで仕事できるんやから」
「海外行って、生配信してよ!」
と言ってくれた。
この言葉にはだいぶ救われた。
確かに、ワーホリだと30歳までと年齢が決まっている。まだ20代後半の今のうちに行っておいた方がいいのは確かだ。
それに、元々会社も海外へ行くために辞めたのだ。ご時世的に断念したのだが。
それを思えば、やっとだね!という気持ちも出てくる。
今ならまだ間に合う、安定できるかもしれない、就職。
逆に今を逃すと機会すら無くなる、海外。
私は海外を選んだのに、まだまだ心は混沌としていて、来月から再開する水商売に不安ばかりが募る。
リーチは取れたのに、早いビンゴはとっくに逃した。
私はこのまま行って、いつかはちゃんとビンゴになれるのかな?
一生ビンゴにならずに、社会のお荷物になってしまったらどうしよう。
今生きてる人間は100年後には誰もいないかもしれないぐらい儚いのに。
明日生きてる保証はどこにもないのに。
どうしてこんなに未来の不安ばかりで、今を生きられないのか。
そんなことばっかり考えているうちに、儚くも終わるんだろうな、人生。
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